風邪による喉の腫れや怪我をしたときの腫れなど、炎症は人間にとってとても身近な現象。炎症はそもそも人間の身体から害を取り除くために起こる免疫反応に起因していますが、炎症が慢性化すると腸疾患や心臓病など、重大な疾病を誘発することもあるのです。リスクを知ることは最大の予防につながります。悪い炎症を引き起こす原因を知って日々のライフスタイルを見直してみましょう。
炎症って何? 良い炎症と悪い炎症の違いを知ろう
炎症にはサッと腫れてサッと引く急性の炎症と炎症が体内にしつこく残り、何カ月も何年も腫れがひかない慢性の炎症があります。例えば、風邪をひいて喉が痛くなったり、足をくじいて足首が腫れ上がったりするのは急性の炎症。ウイルスの侵入や怪我の損傷から身体を守り、素早く回復するために、免疫システムが白血球やヒスタミン、マクロファージ(食細胞)、炎症性サイトカインなど、さまざまな物質を患部に送り込んだ結果、急性炎症が起こります[1]。身体を守る急性炎症は大まかに「良い炎症」といえるでしょう。
一方で、身体を守る免疫反応であるはずの炎症が慢性化すると人間の健康に深刻なダメージを与えてしまう恐れがあります。急性炎症では問題が取り除けなかった場合は、免疫細胞の集積で放出された炎症性サイトカインが健康な細胞や組織までも傷つけ、炎症が慢性化し細胞とその組織の機能に障害をもたらせます[2]。急性炎症が太刀打ちできない強力なウイルス、アレルギー物質や炎症性の食材などに継続的にさらされるなど、慢性炎症に陥る原因はさまざま。悪い炎症を引き起こす主な原因には例えば次のようなものがあります。
炎症性食物
食べ物の中には身体に炎症を起こしやすくする炎症性食物があります。例えば、精白パンや菓子パンなどの精製された炭水化物、マーガリンやショートニングなどのトランス脂肪を含む硬化油、砂糖やソーダ、フライドポテトなどの揚げ物、バーガーやステーキなどの赤身の肉やソーセージなどの加工肉、アルコール類なども炎症性食物に数えられます[3][4][5]。レクチンやヒスタミンを多く含む食べ物やカビから発生するマイコトキシンなども炎症を起こしやすいといわれています[6][7][8]。