一般的に健康被害を与えると言われている農薬。そもそも農薬とは、農作物を害する真菌、線虫、ダニ、昆虫、ウイルスなどを防除するための殺菌剤や除草剤、殺虫剤のことで、農作物に残った農薬を残留農薬と言います[1]。果たしてそれがどれだけ危険なのか、気になりますよね。農林水産省は、農薬についてそれぞれの残留濃度の基準を設定していますが、それがどのようにして決められた基準なのかご存知でしょうか[2]? キレイな農作物の安定供給のために農薬は有効ですが、そのために健康被害が生じてしまえば、本末転倒とも言えます。
現代のようにインターネットが発達した情報社会では、残留農薬による健康への害があるのかどうかについてさまざまな情報が交錯しています。どの情報が信頼できて、どの情報が信頼できないのか分かりづらいのが実情です。
農作物によって残留農薬の量に大きな差がある
残留農薬は一般の農作物からは多かれ少なかれ検出されますが、その量は農作物によってさまざまです。米国では、米国農務省と米国食品医薬品局(FDA)のデータに基づき、EWG(The Environmental Working Group)という団体が12種類の残留農薬の多い農作物を「Dirty Dozen」として列挙し、特にこれらの農作物については有機栽培作物の購入を勧めています[3]。一方で、15種類の残留農薬の少ない農作物が「Clean 15」として列挙され、有機栽培でなくても大きな問題がない、としています[4]。
Dirty Dozen(2016年):
1位イチゴ、2位ホウレン草、3位ネクタリン、4位リンゴ、5位モモ、6位洋ナシ、7位サクランボ、8位ブドウ、9位セロリ、10位トマト、11位パプリカ、12位ジャガイモ
「Dirty Dozen」に挙げられた農作物には、果物が比較的多くあります。また、イチゴやサクランボやホウレン草のように丸ごとそのまま食べる農作物と、ネクタリンやリンゴやパプリカのように皮がうすい農作物が多いのが特徴です。
また、このリストは米国発のものであるため、日本ではあまり広く消費されていないもの(ネクタリンや洋ナシなど)が含まれています。同じ理由から、残留農薬が多めの作物であっても、米国ではあまり消費されていないものは含まれていなかったり、日米での農法などによる違いも考えられるので、注意が必要です。