1998年の医学研究によって認知されるようになった必須栄養素のコリン[1]。日本では特に推奨摂取量が定められておらず1日の摂取量も不明とされ、一般的にあまり認知度が高くありませんが、コリン欠乏症とまではいかなくとも、アメリカ人の多くはコリン不足というデータもあります[2]。今回は、最適な健康を維持するために必要な必須栄養素のコリンにフォーカスしていきます。
必須栄養素のコリンとその役割とは?
ビタミンB群に分類されることもあるコリンは、実際にはミネラルでもビタミンでもなく水溶性の有機化合物です[3]。肝臓で少量のコリンが生成されますが、それだけでは足りず、食品やサプリメント等で摂取する必要があります。体内でのコリンの働きは、神経伝達物質(アセチルコリン)の合成、細胞膜シグナル伝達(リン脂質)、脂質輸送(リポタンパク質)、およびメチル基代謝(ホモシステイン還元)等、非常に複雑で[4]、肝機能、脳、筋肉の動き、神経系、代謝等に大きな影響を与え、健康を維持するには十分な量が必要とされています[5]。