これまで安全だと考えられてきた植物性の食品にも、実は人体に悪影響を与えるさまざまな物(反栄養素)が含まれています。その代表格が小麦などの一部の穀物に含まれるグルテンですが、植物に含まれる反栄養素はグルテンだけではありません。今回は、レクチンという物質についてまとめてみました。
レクチンとは?
そもそもレクチンとは何でしょうか? レクチンはタンパク質の一種で、「糖鎖に結合活性を示すタンパク質(糖鎖結合タンパク質)」の総称です。細胞の表面の糖鎖に結合しやすいタンパク質という意味です。ほぼ全ての動植物にさまざまな種類のレクチンが何らかの形で含まれています[1]。
植物においては、レクチンは昆虫などから自らの身を守るための防備の手段として進化の過程で備わったものです[2]。人間が植物を食べる際、このレクチンが人間の健康に害を及ぼすことがあるのです。
人に害のあるレクチンを含む食材は?
健康への悪影響があるレクチンを多く含む食材には次のようなものが挙げられます。
・豆類(大豆、インゲン、ピーナッツ、レンズ豆、グリンピースなど)[3]
・穀類(特にフスマや糠など外皮部分)[4]
・ナス科の野菜(ナス、トマト、ジャガイモ、ピーマン、唐辛子など)[5]
・瓜類(キュウリ、カボチャなど。特に種の部分)[6]
・熟していない果物[7] コメント ! 熟す前に摘んで、運搬中や店頭で熟した果物(輸入物など)はレクチンはさほど減らないのだそうです。熟してから摘まれなければいけないということは、可能な限り自分が住む地域で採れた果物がよいということ。「地産地消」が健康に良いと言われますが、完熟果物のほうがレクチンが少ないというのもその理由の一つなのです。
結構身近なものばかりですよね。生のトマトを食べると痒くなるのに、火が通っていると大丈夫、という人、結構いませんか? これはレクチンに反応している可能性があります。どの種類のレクチンに反応するかは個人差がとても大きいので、一人一人ご自分の体に問いかけながら、苦手な食材を特定していく必要があります。また、場合によってはレクチンを含む食材にアレルギー反応を起こすこともあり、アレルギーテストで判明することもあります。
これらの食材をよく見ると、日本でよく「アクが強い」と言われる食べ物が多いと思いませんか? この「アク(灰汁)」はいろいろな物質について使用されている言葉ですが、レクチンこそがこのアクの主要な正体の一つなのです。
レクチンが及ぼす健康への悪影響には様々なものがあります。以下、一つ一つ見ていきます。
レクチンの体への影響➀毒性がある
レクチンは種類によっては免疫や神経を害する毒性があります[8][9]。レクチンはほぼ全ての植物に含まれていますが、含有量や毒性には植物ごとに差があります。