寝つきをよくするために寝酒を習慣にしているという人もいると思います。「寝酒」や「ナイトキャップ」という言葉が浸透しているとおり、アルコールは脳中枢の機能を低下させ、眠気を誘う作用があります[1]。「睡眠薬は依存性があるから[2]」という理由でアルコールを睡眠薬代わりにしている人も少なくないでしょう。しかし、寝酒の習慣は、アルコール依存症や、深刻な睡眠障害を引き起こす原因にもなりかねません[3]。今回は、眠りのメカニズムと、睡眠前のアルコール摂取がなぜ良くないのかについて解説していきます。
脳の睡眠=ノンレム睡眠、体の睡眠=レム睡眠
皆さんご存じの通り、睡眠は「ノンレム睡眠」「レム睡眠」の2つのステージに分かれています[4]。ノンレム睡眠は一般に脳の睡眠といわれており、脳を休ませる段階です。脳が休憩している間には次のような良い効果があります[5][6]。
・成長ホルモンが生成される
・毒素の排出が行われる
・記憶の整理が行われる
ヒトが眠っている間には、様々なホルモンが生成されます。特に成長ホルモンは疲労回復の要であり、皮膚の修復や、筋組織、血管の修復、骨の再生などを助けてくれる重要なホルモンです[7][8]。「睡眠不足は美容の大敵」といわれる理由は、睡眠不足ではこの成長ホルモンをはじめとするホルモン分泌や自律神経に乱れが起こり、ダメージを受けたまま修復ができないため、しわやシミの原因となるからなのです[9]。
さらに、寝ている間に脳の記憶の整理が行われることで、記憶力がアップするといわれています。睡眠不足では、記憶の整理がうまく行われず、日中の生産性が低下します[10]。新しい情報を学んだとしても、それが記憶として定着しにくく、同じミスを何回も繰り返したり、作業が覚えられなかったりすることで効率が下がるのです[11][12][13]。