溜まると疲れや筋肉痛などの原因になると言われている乳酸。疲労物質として長い間悪者にされていました。よって、乳酸を除去するための健康食品や乳酸を溜めないトレーニング法などが一時期話題に。今でもサプリメントなども販売されていますよね。しかし、この乳酸、以前のクエン酸の記事でも少々触れましたが、疲労物質であるどころか運動パフォーマンスの向上に好影響を与える可能性があることに加え、脳の栄養としても有益だと言われているのです。乳酸が悪者だというのは最新の研究だと間違いということ?今回はこの乳酸が体に与える影響の誤解と効果について紐解いていきます。
乳酸って何?
私たちのエネルギー源である糖(グリコーゲン)をピルビン酸などの有機酸に分解する代謝過程を解糖系と呼びます。ジョギングやサイクリングなどの有酸素運動では、糖はこの解糖系で代謝されますが、筋肉トレーニングなどの無酸素運動で酸素の供給が追い付かなくなる条件下において、急激に代謝された糖によって生成されたピルビン酸の量が増加します[1]。このピルビン酸が蓄積・分解された解糖系の最終産物が乳酸です。乳酸が激しい運動後に生成される疲労物質と言われるのはこのため。しかし、血中の乳酸は、肝臓で新たにグリコーゲンに合成されエネルギー源として再利用されるため、冒頭で述べたように、乳酸が疲労物質であるというのは誤解だということが近年分かってきたのです。