「太陽に素肌をさらすと皮膚がんになる」…長い間、世界の常識とされてきた日焼けと健康の関係性が見直されています。日焼けによるリスクより太陽光を浴びない健康リスクのほうがはるかに高いことが、2018年12月に国際環境衛生学会誌で明示されたのです。健康科学に基づく上手な日光の浴び方についての最新の研究内容をgeefeeがお伝えします。
太陽は基本的には悪者じゃない。日焼けに対する誤解を改めよう
夏が近づくとテレビや雑誌や薬局などで日焼け防止の大キャンペーンが繰り広げられます。「日焼けは健康にも美容にもNG」というのが多くの人の共通認識かもしれません。しかし、このように日焼けを単純に悪者にすることは不健康かつ非科学的だという意見が専門家の間で広がってきています。
国際環境衛生学会誌では太陽を浴びないとビタミンD欠乏症に陥り、心臓病や内部がん(皮膚がんも!)など多くの病を誘発することになると警告しています[1]。ほぼ全ての細胞や組織の生化学的機能にビタミンDが大きく関与しています。ビタミンDが不足すれば細胞内の遺伝子情報がアクセスできなくなり、免疫力が落ちて健康に深刻な影響を与えてしまいます。人の健康に欠かせないビタミンDを、しっかりと体内で形成するには太陽の下で肌を露出するのがもっとも効果的。一切の日光を避けることが健康に良いと多くの人に信じられてきましたが、そのことによる健康上のデメリットが大きいと考えられるのです[2]。
日焼けと皮膚がんとの気になる関係は?
日焼けによる悪影響として真っ先に思いつくのが皮膚がんのリスクです。「日焼けは皮膚がんを誘発する」という説に異を唱えたのがカナダビタミンD学会。炎症を起こすほどのひどい日焼けは皮膚がんの原因となる悪性の黒色腫(メラノーマ)のリスクを上げることになりますが、炎症を伴わない適度の日光浴はメラノーマとは無関係。逆に日焼けを避けることでビタミンD欠乏症に陥るほうが健康に悪影響があると指摘しています[3]。