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その慢性下痢はIBS(過敏性腸症候群)の可能性も?
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その慢性下痢はIBS(過敏性腸症候群)の可能性も?

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・下痢や便秘を含めた便通異常を引き起こす病気「IBS(過敏性腸症候群)」とは?
・IBS(過敏性腸症候群)の症状を悪化させる食品
・腸内環境の改善が期待できる低フォドマップダイエット
・ケトジェニックダイエットとIBS(過敏性腸症候群)の関連性
・IBS(過敏性腸症候群)の原因になりえるSIBO(小腸内細菌異常増殖症)

 

IBS(過敏性腸症候群)って何?

下痢や便秘を含めた便通異常を引き起こす病気であるIBS(過敏性腸症候群)は、精神的ストレスや自律神経失調などが原因で発症すると言われていますが、そのはっきりとした原因は分かっていません[#]“過敏性腸症候群.” n.d. Accessed March 15, 2021. https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/heart/yk-079.html. 。主に、腹痛や膨満感を伴う便秘と下痢が交互に起こる不安定型、神経性の下痢を繰り返す慢性下痢型、強い腹痛が続いた後に大量の粘液が排出される分泌型の3つに分けられます。症状は人によって異なり、再発性も含めると3か月以上続き慢性化することも。消化器系のガンなどの発症リスクを高めるようなことはなく生命に影響がないと言われていますが[#]Nørgaard, M., D. K. Farkas, L. Pedersen, R. Erichsen, Z. D. de la Cour, H. Gregersen, and H. T. Sørensen. 2011. “Irritable Bowel Syndrome and Risk of Colorectal Cancer: A Danish Nationwide Cohort Study.” British Journal of Cancer 104 (7): 1202. 、日常生活の質に悪影響を与えるため、できるだけ早く改善したい疾患の1つです。

 


 

 

IBS(過敏性腸症候群)の症状を悪化させる食品

消化器の機能障害であるIBS(過敏性腸症候群)は、摂取する食品の種類によってはその症状が悪化してしまうこともあります。IBS(過敏性腸症候群)を発症していなくても避けるべき食品である加工食品[#] Schnabel, L., C. Buscail, J. M. Sabate, M. Bouchoucha, E. Kesse-Guyot, B. Allès, M. Touvier, et al. 2018. “Association Between Ultra-Processed Food Consumption and Functional Gastrointestinal Disorders: Results From the French NutriNet-Santé Cohort.” The American Journal of Gastroenterology 113 (8). https://doi.org/10.1038/s41395-018-0137-1. や揚げ物[#]MacDermott, R. P. 2007. “Treatment of Irritable Bowel Syndrome in Outpatients with Inflammatory Bowel Disease Using a Food and Beverage Intolerance, Food and Beverage Avoidance Diet.” Inflammatory Bowel Diseases 13 (1). https://doi.org/10.1002/ibd.20048. 、食品添加物[#]Rinninella, E., M. Cintoni, P. Raoul, A. Gasbarrini, and M. C. Mele. 2020. “Food Additives, Gut Microbiota, and Irritable Bowel Syndrome: A Hidden Track.” International Journal of Environmental Research and Public Health 17 (23). https://doi.org/10.3390/ijerph17238816. は避けるべき。一方、見逃しがちな以下のような食品も摂食を控えることで症状が改善される可能性があります。

 

  • 高ヒスタミン食[#]Rinninella, E., M. Cintoni, P. Raoul, A. Gasbarrini, and M. C. Mele. 2020. “Food Additives, Gut Microbiota, and Irritable Bowel Syndrome: A Hidden Track.” International Journal of Environmental Research and Public Health 17 (23). https://doi.org/10.3390/ijerph17238816.
    発酵乳製品、発酵野菜、塩漬け熟成させた肉製品や燻製肉製品、醸造酒など。
  • グルテン[#]Ford AC, Moayyedi P, Chey WD, et al. American college of gastroenterology monograph on management of irritable bowel syndrome. Am J Gastroenterol. 2018;113(Suppl 2):1-18. doi:10.1038/s41395-018-0084-x
    小麦、ライ麦、大麦などの穀物を原材料とした食品。
  • カフェイン
    コーヒーやお茶など

 

 

また、「発酵性のオリゴ糖、2糖類、単糖類、ポリオール」の略語であるFODMAP(フォドマップ)に含まれる食物の摂取などによって小腸に細菌が大量発生して発症するSIBO(小腸内細菌異常増殖)がIBSの原因になる可能性が示唆されています。特に胃腸にガスが発生しやすい人はその可能性あり。以下のようなFODMAP/避けるべき食品リストの食品を避ける「低フォドマップダイエット」を試してみることで腸内環境の改善が期待できます。

 

FODMAP/避けるべき食品リスト

フルクトース:果糖、果汁、ハチミツ、コーンシロップ、メープルシロップ、加工糖
ラクトース:乳製品および乳製品、乳糖を加工した食品
フルクタン:小麦、ニンニク、タマネギ、アスパラガス、ニラ、ブロッコリー、キャベツ、アーティチョーク
ガラクタン:豆類
ポリオール:ソルビトール、イソマルト、ラクチトール、マルチトール、キシリトール、エリスリトールなど、無糖ガムや医薬品などに含まれる甘味料

 

これらの食品は腸内細菌のエサになるもの。大腸にいる分には健康的な細菌も、いざ小腸で大量発生してしまうと病気のもとに。上記の食品をすべて避けるのは非常に難しいですが、さまざまな食事の組み合わせを実践することで、どういった食品が自分の腸内の環境を悪化させているかを知ることができます。

 

ケトジェニックダイエットとIBS(過敏性腸症候群)の関連性は?

高脂質・低糖質の食事法であるケトジェニックダイエットが、IBS(過敏性腸症候群)の症状を緩和させたという研究結果がありますが[#]Austin, G. L., C. B. Dalton, Y. Hu, C. B. Morris, J. Hankins, S. R. Weinland, E. C. Westman, W. S. Yancy, and D. A. Drossman. 2009. “A Very Low-Carbohydrate Diet Improves Symptoms and Quality of Life in Diarrhea-Predominant Irritable Bowel Syndrome.” Clinical Gastroenterology and Hepatology: The Official Clinical Practice Journal of the American Gastroenterological Association 7 (6). https://doi.org/10.1016/j.cgh.2009.02.023. 、ケトジェニックダイエットがIBS(過敏性腸症候群)の症状を改善したことを結論付ける研究結果は限られています。逆に、脂質を多く摂取するケトジェニックダイエットが症状を悪化させたという例も[#]Rej, A., I. Aziz, H. Tornblom, D. S. Sanders, and M. Simrén. 2019. “The Role of Diet in Irritable Bowel Syndrome: Implications for Dietary Advice.” Journal of Internal Medicine 286 (5). https://doi.org/10.1111/joim.12966. 。ケトジェニックダイエットを実践していてIBS(過敏性腸症候群)を発症している人は、脂質の種類が適切かを改めて確認するか少し量を減らすなど食事のメニューを少し工夫してみましょう。

 

ストレスホルモンのコルチゾールを下げる

社会的ストレスが発症の原因の一つと言われているIBS(過敏性腸症候群)ですが、IBS(過敏性腸症候群)患者の多くはストレスホルモンであるコルチゾールが多く分泌されている傾向にあることが分かっています[#]“[機能性消化管疾患診療ガイドライン2014].” n.d. Accessed March 15, 2021. https://www.jsge.or.jp/files/uploads/IBSGL2_re.pdf.  [#]Patacchioli, F. R., L. Angelucci, G. Dellerba, P. Monnazzi, and O. Leri. 2001. “Actual Stress, Psychopathology and Salivary Cortisol Levels in the Irritable Bowel Syndrome (IBS).” Journal of Endocrinological Investigation 24 (3). https://doi.org/10.1007/BF03343838. 。上記のセクションでお伝えした緩和方法を実践しても、元々の要因であるかもしれないストレスを放置しているとなかなか改善されないことも。適切な睡眠、ヨガ、メディテーション等のリラクゼーションなど、以前の記事を参考にコルチゾールレベルを下げるために実践してみましょう。

【関連記事】「意外と簡単にできる。ストレスホルモン「コルチゾール」の減らし方。

 


 

 

IBS(過敏性腸症候群)はSIBO(小腸内細菌異常増殖症)が原因の可能性も?

大腸の細菌が小腸に逆流し小腸内で細菌が繁殖することによって腸粘膜がただれ腸の透過性が亢進してしまうSIBO(小腸内細菌異常増殖症)は、IBS(過敏性腸症候群)の症状と類似した症状がみられます。このSIBO(小腸内細菌異常増殖症)は2000年頃から提唱され日本ではあまり浸透していない比較的新しい概念ですが、実は、IBS(過敏性腸症候群)の原因が、SIBO(小腸内細菌異常増殖症)と関連していることを示唆した研究結果もあります[#]Ghoshal UC, Shukla R, Ghoshal U. Small Intestinal Bacterial Overgrowth and Irritable Bowel Syndrome: A Bridge between Functional Organic Dichotomy. Gut Liver. Editorial Office of Gut and Liver; 2017;11: 196. 。ストレスが原因ということで対処法が比較的あいまいなIBS(過敏性腸症候群)も、SIBO(小腸内細菌異常増殖症)が発症しているという観点から改善策を見出すことで緩和されるかもしれません。ニームやオレガノなどを使ったハーブ療法がSIBO(小腸内細菌異常増殖症)の症状の緩和を促進する可能性があると言われ、欧米でも一部の医療機関で実践されています。以前の記事を参考にしてみてくださいね。

【関連記事】「おならやげっぷがよく出るあなた、SIBO(小腸内細菌異常増殖症)かも。
【関連記事】「SIBO(シーボ)に効果的なハーブとは?
 

 

まとめ~その慢性下痢はIBS(過敏性腸症候群)の可能性も?~
慢性下痢の人は、IBS(過敏性腸症候群)を発症している可能性があります。原因不明の病気の場合、「ストレスが原因」として片づけられることが現代医療ではよくあります。IBSもその一例。確かにストレスが原因の場合もあるであろうことは否定はできませんが、ストレスという非常に曖昧な原因の対処は安易ではありません。ストレスホルモンのコルチゾールを下げるための生活の質の改善や食事などのパターンを色々と試し症状を緩和するように試みてください。それよりも対処がより具体的になってくるのはSIBO(小腸内細菌異常増殖症)が原因の場合。以前の記事を参考に、複雑な腸内環境を整えるように努めてみましょう。

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