私が研修医を終えて最初に勤務したのが東京のとある糖尿病クリニックでした。そこでのさまざまな経験を通して感じたことが、その後の私の医師としてのキャリアに大きく影響を与えました。この記事は、その体験を通して学んだことを中心に、現代人の多くが悩んでいる糖尿病に関するさまざまな視点からの情報を盛り込んでいます。少しでも皆様の参考になれば幸いです。
私が薬を使わない内科医になった理由
私は父が内科医で、小さい頃から薬を疑うことなく当たり前に使う環境で育ちました。風邪をひくとすぐに抗生物質を飲み、皮膚に異常があればすぐにステロイドも使っていました。ただ、10代からホルモンのバランスが悪かったということもあり、西洋医学は対症療法でしかないことを自分の身体を通して分かっていました。そのため、人はなぜ病気になるのか、健康な身体でいるにはどうしたら良いのか、常にそうした問いの答えを探していました。
医学部に入って学んでも、多くの慢性疾患は原因が不明、もしくは生活習慣によるもので、それに対する薬はどこかの代謝をブロックしたり、足りないものを補うものしかなく、それらの薬はずっと飲み続けなければならない、というものばかりでした。私が望んでいたのは薬の必要のない健康な身体であるのに、西洋医学は病気の診断・治療・対処にとどまっていて、薬では健康になれないことを知ったのです。そこで、健康で元気な人がどういう食事をしているのかを学ぼうと思いました。