心の風邪といわれるほど身近な存在ながら、まだまだ未知の部分が多いうつ病。世界中で原因究明や治療法の研究が進む中、うつ病と体内のビタミンDの濃度に密接な関係があることがわかってきました。ビタミンDの欠乏とうつ病の関係とは? また、ビタミンDを利用したうつ病予防・治療とは? 世界の最新の研究報告に迫ります。
もしかして、うつ病? 臨床から見た“うつ”とは
うつ病の認知度が上がるにつれ、「最近、うつっぽいかも」と、心の不調を訴える声があちこちで聞かれるようになりました。アメリカや日本では10人に1人がうつ病といわれ、厚生労働省が行った2016年の調査では、111万6000人の日本人がうつ病で医療機関を受診していることがわかりました[1]。
気分が沈んだり悲しみがこみ上げたりというのは誰もが経験すること。一般的な落ち込みであれば、時が経つとともに悲しみが薄れ、やがて元気を取り戻すものです。うつ病が疑われるのは、心がどん底で苦しいまま全く気分が回復しない状態が数週間以上続いているとき。「生きることに興味を失い何も楽しめない」「決断力が鈍くなり物事に集中できない」「いつも気分が沈んでいる」「睡眠困難で疲れやすい」「絶望感を感じる」などのつらい状態がずっと続くようなら、うつ病かもしれません[2][3]。
うつ病は投薬や適切なカウンセリングで症状の緩和や治療が可能ですが、薬が全く効かずに何年も何十年も絶望感や不安感に苦しむ人がいるのも事実。よくある病気ながら、反復性・難治性のある厄介な病でもあるのです。しかし、そんなうつ病も、世界中の研究者のたゆまぬ努力で疾患の謎が徐々に解明されており、最近ではビタミンDがうつ病の罹患と関係があることがわかってきました。
うつ病になりやすいのはどんな人? ビタミンDとの関係は?