健康的で美しい身体の維持を意識する際に気になるのが体脂肪。多くの人にとってこの体脂肪をいかに減らすかは大きなテーマだと思います。この体脂肪、肥満の原因となる「白色脂肪 (white fat)」と脂肪を燃焼する役割を持つ「褐色脂肪 (brown fat)」の2種類があることをご存じでしたか?この「褐色脂肪」の働きを理解し、それを活性化させることで、肥満に対抗し、また、様々な疾患になりにくい体質を作り出すことができます。今回はこの「褐色脂肪」について詳しくみてみましょう。
ほとんどの体脂肪は白色脂肪
一般的に言われている、「脂肪増加=肥満」の脂肪が白色脂肪です。体内の脂肪のほとんどがこの白色脂肪で、余分なエネルギーが蓄えられています。この脂肪は、身体の器官を守る働きもありますが、この過大な貯蓄が肥満につながるだけではなく、心臓疾患、糖尿病などの病気を引き起こす原因にもなります[1]。
健康寿命を延ばす褐色脂肪は通常は体内に僅かだけ
白色脂肪が体の脂肪のほとんどを占めるのに対し、通常肩や首の周辺にわずかな量だけ存在している茶色、茶褐色をした脂肪が褐色脂肪[2]。赤ちゃんには比較的多く存在する褐色脂肪ですが、成人になるにつれて減少していきます[3]。子供が平気で真冬に長時間雪の中で遊んでいるなど、大人よりも寒さに強いように見えるのは、この褐色脂肪細胞がカロリーを消費することで熱を産生して寒さから守ってくれているのが一因だと推測できます[4]。厚着をするなど、他の耐寒手段を自らとることが難しい幼児に備わったサバイバルのための能力の一つと言えます。
白色脂肪と違って褐色脂肪は鉄分が豊富でエネルギー代謝の中心的な役割を持つミトコンドリアが多く存在し、熱産生のために脂肪や糖を消費します[5]。また、最近の研究では、痩せている人ほどこの褐色脂肪が多く存在し肥満な人ほどその働きが低いと報告されていて(van Marken Lichtenbelt et al. 2009)、褐色脂肪の減少と生活習慣病との関連が注目されています。褐色脂肪の活性化によって体に以下のような恩恵を与えてくれると考えられています。