ばい菌の好む環境を想像してみましょう。1年を通してじめじめしていて暖かく、脂肪分などの栄養があるところ……。あなたの家の中でこうした環境がそろっている場所はどこでしょう? 実はキッチン。蛇口があり、お湯を使い、食べ物やお皿の汚れが集まる場所です。そしてこれらのすべてにかかわるキッチンツールが、それは汚れ物を洗うスポンジです。「知りたくなかった!」と叫びたくなる、スポンジのばい菌事情をご紹介します。
家の中で一番汚いのは、なんとキッチンのスポンジ
ドイツのフルトヴァンゲン大学の微生物学者、マルクス・エガート博士の研究チームが、14個の使用済み台所用スポンジを調べた結果、1立方センチメートルあたり540億個のバクテリアが検出されました[1]。DNAシーケンスで検出したバクテリアは118属におよび、ほとんどは人体に致命的な影響を与えるものではありませんが、免疫力が落ちているときには注意を要する細菌も潜んでいることが明らかになりました。
検出されたのは、繁殖過程で雑巾のような悪臭を発し、肺炎の原因にもなるモラクセラ・オスロエンシス、下痢を引き起こす大腸菌、カンピロバクター、傷口から感染して敗血症や髄膜炎などの原因になるエンテロバクター・クロアカ、肺炎を引き起こす可能性がある桿菌クレプシエラなどです。