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天敵は砂糖!地中海式ダイエットでうつ症状を改善する方法
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天敵は砂糖!地中海式ダイエットでうつ症状を改善する方法

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・砂糖がメンタルに与える悪影響
・うつ病改善の可能性がある地中海式ダイエット
・地中海式ダイエットで得る栄養素とは?
 

 

日々の食事は、フィジカル、メンタル共に私たちの体に計り知れない影響を与えています。特にメンタルヘルスの不調のサインが出ているときは食事が原因の場合も。最近の研究では、うつ病や抑うつ状態の治療・予防において、砂糖や人工甘味料の摂取を控えることや特定の栄養素を充分に摂ることが効果的であると報告されています。

ジャンクフード生活から健康的な食生活へ…健康最優先にマインドを切り替えればそんなに難しいことではありません。具体的な避けるべき食事や、摂るべき栄養素について見ていきましょう。

 

砂糖がメンタルヘルスに与える悪影響

精製された砂糖がメンタルヘルスに与える悪影響には、以下のようなメカニズムがあります[#]pubmeddev, and M. Peet. n.d. “International Variations in the Outcome of Schizophrenia and the Prevalence of Depression in Relation to National Dietary Practices: An Ecological ... - PubMed - NCBI.” Accessed December 23, 2019. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/15123503?dopt=Abstract.

 

  • 砂糖(特に果糖)と穀物類に代表される炭水化物は、メンタルヘルスに重要な役割を果たすインシュリンとレプチンの耐性とシグナル伝達の低下の一因
  • 健康な脳の神経細胞を促進するBDNF(脳由来神経栄養因子)と呼ばれる重要な成長ホルモンの活性を抑制する砂糖。うつ病と統合失調症の人はいずれもBDNFレベルが非常に低い。
  • 砂糖の消費により、慢性炎症を促進。長期的には、炎症は免疫システムの正常な機能を乱し、うつ病のリスクを高める[#]pubmeddev, and M. Peet. n.d. “International Variations in the Outcome of Schizophrenia and the Prevalence of Depression in Relation to National Dietary Practices: An Ecological ... - PubMed - NCBI.” Accessed December 23, 2019. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/15123503?dopt=Abstract.
  • 腸内細菌のバランスを崩し、ストレス応答、免疫機能、神経伝達、神経新生の調節に影響を与える

 

2004年にイギリスの精神医学研究者の「Malcolm Peet」は、高い糖消費は、うつ病と統合失調症の両方のリスクと強い関連があると発表しています[#]Francis, Heather M., Richard J. Stevenson, Jaime R. Chambers, Dolly Gupta, Brooklyn Newey, and Chai K. Lim. 2019. “A Brief Diet Intervention Can Reduce Symptoms of Depression in Young Adults – A Randomised Controlled Trial.” PloS One 14 (10): e0222768.

 

特に、砂糖入りの飲み物は注意!

近年、甘味料とうつ病の関係を報告した研究が発表されています。研究によれば、砂糖や人工甘味料を使用したジュース・炭酸飲料を1日4缶もしくは4杯以上飲んでいた人は、全く飲んでいなかった人に比べ30%も高いうつ病発症のリスクを負うと発表しました[#]Guo, X., Park, Y., Freedman, N. D., Sinha, R., Hollenbeck, A. R., Blair, A. And Chen, H. (2014). Sweetened beverages, coffee, and tea and depression risk among older US adults. PloS one, 9(4), e94715. 。フルーツジュースであればさらに危険、リスク上昇は38%に達します。

また人工甘味料を使用した、俗にいう「ダイエット」飲料も、うつ病のリスクとの関連が強いことが示されています。通常の炭酸飲料が22%のうつ病リスク増加に関わる一方、ダイエット炭酸飲料には31%リスク増加の可能性が示されています。そのリスクは炭酸飲料だけではありません。人工甘味料を使用したアイスティーでは飲まない人に比べて25%、ダイエットフルーツドリンクだと51%ものリスク増加となります[#]Mrug, S., Orihuela, C., Mrug, M. And Sanders, P. W. (2019). Sodium and potassium excretion predict increased depression in urban adolescents. Physiological reports, 7(16).

自分の体形にコンプレックスがあるからといって、フルーツ系のいかにも健康そうなダイエットドリンクなどに安易に手を出すと、フィジカル、メンタルの両面で悪循環となる危険がありそうだということがわかります。糖類と人口甘味料の過剰な消費が精神疾患との強い関連性は科学的に証明されています[#]Peet, M. (2004). International variations in the outcome of schizophrenia and the prevalence of depression in relation to national dietary practices: an ecological analysis. The British Journal of Psychiatry, 184(5), 404-408. 。まずは、これらを断つことからはじめ、次に、うつ症状の予防・改善が期待できる食事を見直していきましょう。

 

 

栄養バランスの良い地中海式ダイエット

オーストラリア政府が推奨する食生活ガイドラインによれば、ギリシャなど地中海沿岸の伝統的な食事スタイルである「地中海式ダイエット」 が脳の神経機能に有益な効果をもたらすことが報告されています[#]Molendijk, M., Molero, P., Sánchez-Pedreño, F. O., Van der Does, W. And Martínez-González, M. A. (2018). Diet quality and depression risk: a systematic review and dose-response meta-analysis of prospective studies. Journal of affective disorders, 226, 346-354. 。また、ストレス状態が中から高程度の17歳から35歳の101名の被験者を、地中海式の食事スタイルを参考にした食事療法グループと通常の食事のグループに分け、3週間の実験を行ったところ[#]Heather M. Francis, Richard J. Stevenson, Jaime R. Chambers, Dolly Gupta, Brooklyn Newey and Chai K. Lim. (2019). A brief diet intervention can reduce symptoms of depression in young adults – A randomised controlled trial. [Internet] [cited on 10th December 2019]PloS ONE, 14(10): e0222768. 、食事療法グループには自覚されるうつ症状やうつ評価表の点数に改善が見られました。

 

以下は「地中海式ダイエット」に豊富に含まれる主な栄養素。

 

・オメガ3脂肪酸
シャケやイワシ、ニシン、サバなどに多く含まれるオメガ3脂肪酸は、うつ症状を改善することが報告されています[#]Mocking, R. J. T., Harmsen, I., Assies, J., Koeter, M. W. J., Ruhé, H. and Schene, A. H. (2016). Meta-analysis and meta-regression of omega-3 polyunsaturated fatty acid supplementation for major depressive disorder. Translational psychiatry, 6(3), e756.  [#]岡田斉、萩谷久美子、石原俊一ほか「Omega-3多価不飽和脂肪酸の摂取とうつを中心とした精神的健康との関連性について探索的検討—最近の研究動向のレビューを中心に」『人間科学研究』(30),2008,pp87-96.

【関連記事】「欠乏すると心と身体に大ダメージ!オメガ3の重要性と摂取法

 

 

・ビタミンB
ナッツ類に含まれるビタミンBが不足すると、なんと304%もうつ病のリスクを増加させるのです[#]Tolmunen, T., Hintikka, J., Ruusunen, A., Voutilainen, S., Tanskanen, A., Valkonen, V. P. and Salonen, J. T. (2004). Dietary folate and the risk of depression in Finnish middle-aged men. Psychotherapy and psychosomatics, 73(6), 334-339. 。特にビタミンB 群の一種である葉酸の欠乏を改善させると、自殺企図の症状も改善していることが研究で明らかになっています[#]Pan, L. A., Martin, P., Zimmer, T., Segreti, A. M., Kassiff, S., McKain, B. W. And Steinfeld, R. (2016). Neurometabolic disorders: potentially treatable abnormalities in patients with treatment-refractory depression and suicidal behavior. American journal of psychiatry, 174(1), 42-50.

・マグネシウム
種子類やナッツ類に多く含まれるマグネシウム。軽度から中度のうつ状態の成人がマグネシウムを摂取すると、1~2週間以内でその症状が改善されることが明らかになっています[#]Tarleton, E. K., Littenberg, B., MacLean, C. D., Kennedy, A. G. And Daley, C. (2017). Role of magnesium supplementation in the treatment of depression: A randomized clinical trial. PLoS One, 12(6), e0180067.  [#]Eby, G. A. And Eby, K. L. (2006). Rapid recovery from major depression using magnesium treatment. Medical hypotheses, 67(2), 362-370.

【関連記事】「あなたも不足しているかもしれない?マグネシウムの重要性と上手な摂取法

 

 

・ビタミンD
日光を浴びることで得られるビタミンDの不足がうつ状態を引き起こすようです。研究では、体内のビタミンD値の改善とうつ状態の改善に関連性があることが明らかにされています[#]Alam, W. And Hollis, B. (1999). Vitamin D vs broad spectrum phototherapy in the treatment of seasonal affective disorder. The journal of nutrition, health & aging, 3(1), 5-7.

【関連記事】「日本人が不足しがちなビタミンDと日光との気になる関係

 

食生活にプラスアルファ!運動が心に与える効果

食事療法に運動を加えると、うつ症状の改善・予防効果はさらに増加します。運動のうつ病に対する効果を調査した23編もの研究を総合した結果、運動療法はうつ病に最も効果のある治療の1つであると結論づけられています[#]Schuch, F. B., Vancampfort, D., Richards, J., Rosenbaum, S., Ward, P. B. and Stubbs, B. (2016). Exercise as a treatment for depression: a meta-analysis adjusting for publication bias. Journal of psychiatric research, 77, 42-51.

 その要因の1つとして体内でのセロトニンの生成増加が挙げられます。通常、私たちは食事から「トリプトファン」というセロトニンやキヌレニンという神経伝達物質の原料となる必須アミノ酸を摂取します。キヌレニンがストレスや抑うつの元になる一方、セロトニンは気分や抑うつ状態を改善してくれます。運動を行うことで、トリプトファンがより多くセロトニンに変換されることでその効果が発揮されているようです[#]Agudelo, L. Z., Femenía, T., Orhan, F., Porsmyr-Palmertz, M., Goiny, M., Martinez-Redondo, V. and Pettersson, A. T. (2014). Skeletal muscle PGC-1α1 modulates kynurenine metabolism and mediates resilience to stress-induced depression. Cell, 159(1), 33-45.

また運動を行うことで我々の司令塔、大脳や中枢神経系から神経伝達物質「β-エンドルフィン」というホルモンが分泌されます。このホルモンには気分の高揚や幸福感をもたらす作用があるため、うつ症状を改善することが示されています[#]Boecker, H., Sprenger, T., Spilker, M. E., Henriksen, G., Koppenhoefer, M., Wagner, K. J. and Tolle, T. R. (2008). The runner's high: opioidergic mechanisms in the human brain. Cerebral cortex, 18(11), 2523-2531.

 

 

今回は、うつ病の改善・予防のための食事や運動療法についてご紹介しました。特に、ダイエットドリンクなどの人工甘味料や砂糖などが入った飲み物は、うつの症状を悪化させるデータが出ています。まずは、人工甘味料や砂糖を断った食生活を目指し、地中海式ダイエットの食事例を参考に食事を改善してみてはいかがでしょうか?ちょっとの食生活の変化が気分を改善すれば、より症状の改善に前向きになれるかもしれません。
 

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