日本の伝統的な食文化の1つである醤油。和食を中心にお料理に欠かせない調味料です。食生活の変化に伴い最近では年間消費量もやや下降気味ですが、それでも年間1人当たり約1.7ℓを消費していると言われ、特に普段の食生活で和食を好む人は相当な量の醤油を使用していることになります。日本で生まれ育った私たちの食生活には、当たり前のように醤油が存在し、何の疑問もなく食していますが、意外と知られていないのが製造方法によって異なる健康への悪影響です。今回は、醤油の製造方法を軸に醤油がどのように私たちの健康に影響を与えるのかにフォーカスしていきます。
大きく分けて2種類ある醤油の製造方法。
日本で生産されている醤油の8割が本醸造方式と呼ばれています。これは、大豆や小麦などの原料を、酵母や麹菌、乳酸菌などの微生物によって発酵・熟成させる方式。製品のラベルで「本醸造」という文字を頻繁に見かけますよね。この本醸造式は、熟成するのに半年ほどかかるため、コストと手間の観点からは高級品。これと比較し、製造日数を抑えるために発酵も熟成も可能な限り回避する混合醸造方式という方法でも製造されています。この混合醸造方式の醤油の原料となるのが、大豆の植物性たん白質を塩素分解した旨み成分のアミノ酸液[1]。アミノ酸液では、色も風味も十分ではないため、アミノ酸液に本醸造醤油を混ぜるわけですが、JAS法ではアミノ酸液を8割まで使用して良いと定義されているため、このアミノ酸液が大量に入った醤油も販売されています。ここで「旨み味成分」という言葉をどこかで見た覚えのある方もいらっしゃるのでは?そう、以前にも記事でお伝えした旨み成分MSG(グルタミン酸ナトリウム)です。