最近、『座ってばかりいると寿命が縮まる』ということがメディアで取り上げられています。『座ることは喫煙と同じ』という刺激的な言葉もアメリカではよく聞きます。実は、世界的にみて日本人は座る時間が特に長い国民で、ある統計によれば、先進20か国の中で、サウジアラビアと並んで最も座位時間の長く、平均一日7時間座っているのだそうです[1]。家でテレビを見ている時間や食事の時間まで含めると、実際にはこれよりずっと多いのでは、とも思えてきます。そこで今回は、座り過ぎずに毎日を過ごす方法について考えてみましょう。
座り過ぎることでどのようなリスクが起きる?
心臓病、糖尿病などの発症リスクを高める研究によると、運動以外の身体活動が健康的な血糖値の維持に重要であることが示され[2]、また、座り過ぎが心臓病、糖尿病などの発症リスクを高めることが指摘されています[3][4]。座ってばかりいると血液およびリンパ液の流れも鈍くなり、またどうしても猫背になりやすくなり、首、肩、腰などを痛めたりします[5][6][7][8]。
体重増加につながる
立って歩いて座ってキョロキョロして等の生活内での一連の動きは非運動活動熱発生(NEAT)と呼ばれ、自然とカロリーを消費するのですが、このNEATの欠如は体重増加の危険因子となるのです[9]。また、研究では、農業に従事している人とデスクワークをしている人では、前者が1日に最大1000カロリー多く消費し、肥満の人達は痩せている人達よりも毎日2時間長く座っているというデータも示されており、肥満と座り過ぎの関連性も指摘されています[10][11]。
メンタルヘルスにも影響
日本で近年問題となっている勤労者のメンタルヘルス。平成29年度(平成26年から変更)には、労災請求件数および支給件数が過去最多となっています[12]。
2016年に発表された研究結果によると、日本人男性勤労者において、1日の座位時間が6時間未満の研究対象群に比べ、12時間以上の群ではメンタルヘルス不良が2倍以上になったと報告されています[13]。