中高世代の3~4割が高血圧だと言われている中、最近の日本では30歳代や40歳代の比較的若い世代でも高血圧という人が増えてきました。ストレス、食生活などが原因だと言われています。高血圧の状態を長期間放置していると恐ろしい脳卒中や心筋梗塞のリスクを増加させます。血圧は多くの場合食生活などの生活習慣を見直すことで下げることが期待できるので、標準値よりも少し高め程度の方であれば、医師などの専門家とご相談の上で、薬に頼る前に生活習慣の改善を試すことをおススメします。
そこで、今回は、高血圧に効果的だと言われているサプリを紹介したいと思います。
1. マグネシウム
マグネシウムは必須ミネラルの一つであり、体内の多くの生合成反応、代謝反応において重要な役割を演じています。また、骨の健康などに大切なカルシウムとのバランスもキーポイントです。マグネシウムは血圧に直接的に影響することはありません。一方、カルシウムには血管を収縮させる働きがあるのです。マグネシウムとカルシウムは拮抗関係にあり、マグネシウムはカルシウムの血管収縮による血圧上昇を抑制して、血圧を正常に保つ働きがあるのです。注意点としては、マグネシウムとカルシウムはそのバランスが大切なのであって、マグネシウムを取れば取るほど血圧が更に下がるというわけではありません。またマグネシウムを取り過ぎると軟便下痢になりますので注意してください。この作用を逆手にとって便秘対策にも利用できます。
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参考文献 [#]“Magnesium May Modestly Lower Blood Pressure.” n.d. American Heart Association. Accessed September 3, 2019. https://newsroom.heart.org/news/magnesium-may-modestly-lower-blood-pressure. [#]“[Effects of Magnesium Supplementation on Blood Pressure].” n.d. Accessed September 3, 2019. https://www.ahajournals.org/doi/full/10.1161/HYPERTENSIONAHA.116.07664.
2. シトルリン
シトルリンはアミノ酸の一種で肝臓ミトコンドリアと細胞質内で働く尿素回路(アンモニアを無毒化する経路)に関連することは以前から知られています。一方、シトルリンは体内でアルギニンに変化し、このアルギニンは血管弛緩物質、つまり血管をしなやかに柔らかくする物質であるNO(一酸化窒素)合成酵素の基質として注目され、多くの研究結果が発表されています。
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参考文献 [#]“[動脈硬化症とアルギニン、シトルリン].” n.d. Accessed September 3, 2019. http://www.jbsoc.or.jp/seika/wp-content/uploads/2015/01/86-03-08.pdf.
3. 霊芝
キノコの一種である霊芝(reishi)は中国では古くから延命薬として用いられ、中国古代書「神農本草経」にも上品(安心して長期連用が可能である薬物)として分類されています。今までも霊芝健康食品が数多く流通していましたが、近年では世界中で霊芝の秘めたる効果を発見しようと様々な基礎研究がなされています。その中でも注目なのは霊芝は血圧上昇に関与するアンジオテンシン変換酵素(ACE)の活性の阻害効果があるのではないかという研究発表です。また霊芝には血圧だけでなく血糖、血漿NO(一酸化窒素)などにも変化をもたらし、血液力学を改善するという発表もあります。ですから霊芝のACE阻害作用が更に多くの研究で証明されれば臨床応用も実現化する日が近いのでは、と考えられています。
参考文献 [#]“[高血圧予防効果を有する化合物の探索 : アンジオテ ンシン変換酵素阻害剤に着目して].” n.d. Accessed September 3, 2019. https://catalog.lib.kyushu-u.ac.jp/opac_download_md/1500785/agr0804.pdf. [#]“[霊芝併用の難治性高血圧患者の血圧,血糖値, 血漿NO,微小循環及び血液力学への影響].” n.d. Accessed September 3, 2019. http://www.jcam-net.jp/data/pdf/06030.pdf.
4. コエンザイムQ10
コエンザイムQ10はミトコンドリア内膜などに含まれる電子伝達系の構成物質でエレルギー産生に深く関与しています。その働きによりコエンザイムQ10はアンチエイジングサプリ、体の錆から守るサプリなどとして販売されています。近年ではコエンザイムQ10サプリ摂取により収縮期血圧の減少が報告されています。拡張期血圧への影響はまだまだ研究が必要ではありますが、様々な効果を持ったコエンザイムQ10、注目したいサプリです。
(ワーファリン服用の方はワーファリンの薬効が減弱されるので医師や薬剤師の指示が必要です)
参考文献 [#]Tabrizi, Reza, Maryam Akbari, Nasrin Sharifi, Kamran B. Lankarani, Mahmood Moosazadeh, Fariba Kolahdooz, Mohsen Taghizadeh, and Zatollah Asemi. 2018. “The Effects of Coenzyme Q10 Supplementation on Blood Pressures Among Patients with Metabolic Diseases: A Systematic Review and Meta-Analysis of Randomized Controlled Trials.” High Blood Pressure & Cardiovascular Prevention: The Official Journal of the Italian Society of Hypertension 25 (1): 41–50.
これらのサプリは既に広く多くのサプリ会社により販売されており、粗悪品も多く出回っているのが現状ですので良質なものを購入するようにしましょう。また既に血圧の薬を服用されている人は血圧の低下、めまい、ふらつきなどが生じる可能性もありますので、医師と相談し、血圧測定計などで自己血圧を観察しながらの服用をおすすめします。
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