たくましい筋肉や力強い肢体、豊かな体毛など、男らしさの源となる男性ホルモンのテストステロン。男性の更年期障害や活力の不足など、テストステロン量の減少が男性の健康にもたらす影響の大きさに注目が集まっています。疲労感や気分の変調、肥満や性欲減退など、いま一つ調子がよくないのはテストステロン値の低下が原因かもしれません。ご自身や家族のよりよい生活のために、低テストステロンのよくある兆候と健康リスクを知っておきましょう。
テストステロンってどんなホルモン?
柔らかな肉体や艶やかな肌を作る女性ホルモンのエストロゲンに対し、男性らしい筋肉質で力強い肉体の源となるのが男性ホルモンの一種、テストステロンです。テストステロンは主に男性の睾丸で生成されるステロイドホルモンで、男性の性欲や筋肉の量、骨の量などに大きな影響を与えます[1]。テストステロンは女性の卵巣でも育成されますが、その量は男性のおよそ5~10%[2][3]。胎児期にテストステロンにさらされる量が多ければ脳が男性化するなど、性差に大きな影響を与えるホルモンです[4][5]。
女性のエストロゲンと同様に男性のテストステロンも加齢とともに量が減少します[6]。20代をピークに30代以降は徐々に減っていき、75歳になるとピーク時と比べて約30%も減るといわれています[7]。また、60代男性の20~30%がテストステロン値が不足しているそうです[8]。テストステロンが年齢とともに少なくなるのは一般的な現象ですが、急激なホルモンの減少が原因となる男性の更年期障害など、健康に与える影響は決して少なくありません。
低テストステロンの兆候をセルフチェック
テストステロンの量は通常の健康診断ではチェックされないため、見逃されてしまいがちですが、テストステロンの正常な働きは男性の健康になくてはならない大切な要素です。日本では、男性の遊離テストステロンの量は11.8pg/mL以上が正常値とされ、8pg/mL以下は低テストステロン値に該当します[9][10]。