geefeeでは以前、「私たちに安定と安心をもたらす幸せホルモン「オキシトシン」」という記事で、心の安定をもたらすホルモンであるオキシトシンについてご紹介しました。実はこの幸せホルモン、オキシトシン以外にもいくつかあるのをご存知でしょうか?今回はその代表格「セロトニン」について見ていきたいと思います。また、そのセロトニンを作り出すアミノ酸である「トリプトファン」についてもご紹介します。ストレス社会にさらされるあなたの心と脳に栄養を。 セロトニンの働き・効果・増加法とは?
心の健康に大切なセロトニンとは?
セロトニンとは、心の安定に大切なホルモンであるとともに、神経伝達物質でもあります。
自律神経には興奮に働く交感神経と安静に働く副交感神経の2種類あります。その交感神経の過剰な興奮を抑え、自律神経のバランスを整えるセロトニンには、以下のような効果があると考えられています。
・良質な睡眠やスッキリとした目覚め
・ストレスの緩和
・不安の軽減
・うつ病の予防
など[#]Frazer A, Hensler JG. Serotonin Involvement in Physiological Function and Behavior. Basic Neurochemistry: Molecular, Cellular and Medical Aspects 6th edition. Lippincott-Raven; 1999. 。
したがって、不足すると心のバランスを保つことが難しくなり、ストレス障害やうつ、睡眠障害などを発症しやすくなるのです[#]Whitney MS, Shemery AM, Yaw AM, Donovan LJ, Glass JD, Deneris ES. Adult Brain Serotonin Deficiency Causes Hyperactivity, Circadian Disruption, and Elimination of Siestas. J Neurosci. 2016;36: 9828–9842. [#]Slattery DA, Hudson AL, Nutt DJ. Invited review: the evolution of antidepressant mechanisms. Fundam Clin Pharmacol. 2004;18: 1–21. 。そのため、処方薬の抗うつ薬には脳内のセロトニンの働きを増強する作用のあるものが多いのです。
セロトニン産生に必要な5-HTPはサプリで
抗うつ薬は、重症のうつ病などの場合には強力な味方になる場合もありますが、深刻な副作用の心配もあるため、可能であれば食事やサプリで自然にセロトニンを増やすのが理想。
体内のセロトニンは、トリプトファンというアミノ酸から作られており、感情や気分のコントロールに深く関わっていますが、実は脳内の中枢神経系にはその約1%しか存在しておらず、その多くは小腸の粘膜(95%)、残りは血小板内に存在しているのです[#]Richard DM, Dawes MA, Mathias CW, Acheson A, Hill-Kapturczak N, Dougherty DM. L-Tryptophan: Basic Metabolic Functions, Behavioral Research and Therapeutic Indications. Int J Tryptophan Res. 2009;2: 45–60. 。脳内のセロトニンは脳幹と呼ばれる大脳の下に位置する部分で合成され、腸で生成されるセロトニンが脳に作用することはないと考えられています[#]Palego L, Betti L, Rossi A, Giannaccini G. Tryptophan Biochemistry: Structural, Nutritional, Metabolic, and Medical Aspects in Humans. J Amino Acids. 2016;2016: 8952520. 。
では、どうすればこの脳内セロトニンを増やすことができるのでしょうか?セロトニン自体は食品にはほとんど含まれていないし、サプリなどで摂取したとしても脳の血管には届きません。他に食品やサプリで対応する方法はあるのでしょうか?
その方法としてよく言われているのが、玄米やパスタ、鶏肉や乳製品など、トリプトファンを多く含む食品を食べる、というのがあります。トリプトファンはセロトニンの前駆体であることは確かですが、実際には、トリプトファンの大部分は肝臓で代謝されてしまうため、セロトニン生産の観点からは効率が良くありません[#]Magnussen I, Nielsen-Kudsk F. Bioavailability and related pharmacokinetics in man of orally administered L-5-hydroxytryptophan in steady state. Acta Pharmacol Toxicol . 1980;46: 257–262. 。食事から得たトリプトファンは他のアミノ酸の血中有効濃度により競合的に脳に運ばれるため、その比率によってはほとんど脳内セロトニンレベルに影響を与えることがないのです[#]Palego L, Betti L, Rossi A, Giannaccini G. Tryptophan Biochemistry: Structural, Nutritional, Metabolic, and Medical Aspects in Humans. J Amino Acids. 2016;2016: 8952520. 。また、トリプトファンは穀類に多く含まれるため、糖質制限をしている人にはちょっと痛い話。さらに、老化やストレス、インスリン抵抗性、マグネシウムやビタミンB6の欠乏などもトリプトファンからセロトニンへと生成する効率が下がるなど、こうした要因がたくさんあるのです[#]Palego L, Betti L, Rossi A, Giannaccini G. Tryptophan Biochemistry: Structural, Nutritional, Metabolic, and Medical Aspects in Humans. J Amino Acids. 2016;2016: 8952520. 。
そこで注目したいのが「5-HTP(5-ヒドロキシトリプトファン)」というセロトニンの前駆体。
トリプトファンがセロトニンに体の中で変化する前にいったんこの5-HTPになるのです[#]Lynn-Bullock CP, Welshhans K, Pallas SL, Katz PS. The effect of oral 5-HTP administration on 5-HTP and 5-HT immunoreactivity in monoaminergic brain regions of rats. J Chem Neuroanat. 2004;27: 129–138. 。つまり、5-HTPはトリプトファンよりセロトニンに近い物質と言えます。5-HTPは脳血管にまで届き、脳内でセロトニンとなることができるのです [#]Magnussen I, Nielsen-Kudsk F. Bioavailability and related pharmacokinetics in man of orally administered L-5-hydroxytryptophan in steady state. Acta Pharmacol Toxicol . 1980;46: 257–262. 。
経口サプリメントとして5-HTPを摂取すると、その約70%が血流に吸収されるといわれています[#]Magnussen I, Nielsen-Kudsk F. Bioavailability and related pharmacokinetics in man of orally administered L-5-hydroxytryptophan in steady state. Acta Pharmacol Toxicol . 1980;46: 257–262. 。目安となる摂取量は食事とともに一日に3回50mgからとされていますが[#]Birdsall TC. 5-Hydroxytryptophan: a clinically-effective serotonin precursor. Altern Med Rev. 1998;3: 271–280. 、抗うつ薬などのセロトニンレベルに影響を与える薬物と一緒に5-HTPやその前駆体であるアミノ酸のトリプトファンを服用すると、副作用をもたらす可能性も。すでに他のお薬やサプリメントなどを服用している場合、あるいは重度のうつ病などの場合は、必ず医師と相談しましょうね。買うならこういうのがありますよ。
心の栄養であるセロトニンを脳での産生を増やす効果が期待できる方法として、5-ヒドロキシトリプトファンのような変換前の物質を摂ることが挙げられます。また、地味ですが、日中日光を浴びる[#]Azmitia EC. Evolution of Serotonin: Sunlight to Suicide. Handbook of the Behavioral Neurobiology of Serotonin. Elsevier; 2010. pp. 3–22. 、有酸素運動をする[#]Ohmatsu S, Nakano H, Tominaga T, Terakawa Y, Murata T, Morioka S. Activation of the serotonergic system by pedaling exercise changes anterior cingulate cortex activity and improves negative emotion. Behav Brain Res. 2014;270: 112–117. などの一般的な健康習慣もセロトニンレベルを上げるために大変効果的であることが分かっており、こうした方法の効果はあなどれません。少し心が疲れてきた、、乱れてきた、、と感じたらサプリとともにこうした地味だけど効果的な方法も取り入れて様子を見てみるのがgeefee流です。
コメント
コメントを追加