石油由来の製品を避けるべき4つの理由。
石油由来の製品を避けるべき理由をもう少し具体的に説明していきます。
・代謝がされない
ここに興味深い研究があります。帝王切開を受けた女性の皮下脂肪と母乳の両方からそれぞれ約52.5 mg/kg体重、約10~30 mg/kg体重のMOSH(ミネラルオイル飽和炭化水素類)が検出されました。成人1人当たり1g相当以上です。このMOSHとは何か?要はワセリンの主成分のこと。肌などから吸収されてしまったワセリンは体内では代謝されず、加齢に伴いヒト脂肪組織に蓄積されるということが結論付けられています[#]Concin, N., G. Hofstetter, B. Plattner, C. Tomovski, K. Fiselier, K. Gerritzen, S. Semsroth, et al. 2011. “Evidence for Cosmetics as a Source of Mineral Oil Contamination in Women.” Journal of Women’s Health 20 (11). https://doi.org/10.1089/jwh.2011.2829. 。
MOSHは、空気吸入、食物摂取、皮膚吸収などさまざまな経緯で体内に取り入れらますが、ハンドクリームやサンクリーム、リップクリームなどのコズメティックが体内汚染の主な原因であろうと言われています。長年ワセリンやワセリンを含んだ軟膏を使用している乾燥肌やアトピー性皮膚炎の人の身体の中には多くのMOSHが蓄積されており、これらがさまざまな健康上のトラブルの原因だったりするのです。
EFSA(欧州食品安全機関)が推定したMOSHの1日の摂取量が0.03~0.3mg/kg体重になりますが、こういった研究結果を考慮すると公的機関が発表している推定量よりも多くのMOSHが体内に蓄積されている可能性が懸念されます。
・発ガン性がある
アメリカのEWG(環境ワーキンググループ)の分析によると、15,000の石油由来の化粧品のうち約22%が1,4-ジオキサンという発ガン性が懸念されている物質を含んでいるということが報告されています。。
この1,4-ジオキサンは、IARC(国際ガン研究機関)では、
「ヒトに対する発ガン性の可能性あり(グループ 2B)」
U.S. EPA(アメリカ環境保護庁)では、
「おそらくヒト発ガン性物質(グループ B2)」
とされる合成有機化合物。上記で記載した発ガン性が懸念されている物質のMOAHとは別の物質で、ベビーソープの57%、ボディーローションの34%など、乳児、幼児向けを含んだ多くのパーソナルケア製品にこの1,4-ジオキサンが含まれていることが分かっています[#]“EWG Research Shows 22 Percent of All Cosmetics May Be Contaminated With Cancer-Causing Impurity.” n.d. Accessed February 1, 2021. https://www.ewg.org/news/news-releases/2007/02/08/ewg-research-shows-22-.... 。
こういった物質は、特別に規制や制限がされていませんので、自分自身で含有成分を確認する必要があります。
・皮膚を密閉してしまい、皮膚の正常な機能を防ぐ
スキンケア製品は、肌の柔軟性、保護、保湿をはじめ肌に栄養を与えることが主な使用目的のはす。ワセリンをはじめとした石油由来の製品は、その性質上、閉塞性に優れていて、外界の刺激から肌を守るというのがメーカーの主張です。しかし、逆にその性質が毛穴の詰まりの原因となっていたり、肌の正常な機能を阻害すると指摘する専門家もいます。また、閉塞性が酵母と真菌が成長するための暖かく湿った環境を作り出す可能性も。カンジダ症(真菌感染症)の発症例も報告されています[#]Campbell, Judith R., Elena Zaccaria, and Carol J. Baker. 2000. “Systemic Candidiasis in Extremely Low Birth Weight Infants Receiving Topical Petrolatum Ointment for Skin Care: A Case–Control Study.” Pediatrics 105 (5): 1041–45. 。
・ホルモンバランスが崩れる
初潮から妊娠、出産、閉経まで女性の体をコントロールするホルモンであるエストロゲンとプロゲステロンのバランスが保たれていることで美と健康が保たれています。一方、石油精製製品には、エストロゲン優勢を誘発する内分泌かく乱物質が含まれている可能性が研究で分かっています[#] Vrabie, C. M., A. Candido, M. B. van Duursen, and M. T. Jonker. 2010. “Specific in Vitro Toxicity of Crude and Refined Petroleum Products: II. Estrogen (alpha and Beta) and Androgen Receptor-Mediated Responses in Yeast Assays.” Environmental Toxicology and Chemistry / SETAC 29 (7). https://doi.org/10.1002/etc.187. 。このエストロゲン優勢の状態に陥ることで、更年期障害などさまざまな症状や病気を引き起こす原因となります。
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