最初に簡単な質問をしましょう。ただし究極の質問です。あなたの回答を2つの選択肢から直感で選んでください。
食品用のひとさじのオイルを顔に塗ることと、顔に塗る化粧用のオイルをひとさじ飲むこと。一つ選べと言われたらどちらを選ぶでしょう。なんとなく前者を選びませんか?化粧品だと常温での保存や、ばい菌対策のために、食するには適さない保存料が使われることが多くなってしまいます。一方、食品用のオイルは、冷蔵が必要だったり長期保存が利かなかったりという点はありますが、純粋に健康の面から見たら、フレッシュであればあるほど肌にとっても魅力的。酸化したオイルは危険なので、食べるにも塗るにも遠慮したいところです。リーズナブルかつアグレッシブに美容と健康を考えるgeefeeユーザーの皆様に、今回は食品用のグレープシード油をスキンケアに取り入れることをご提案します!
スキンケアに適したグレープシードオイル
今回ご紹介するのはスーパーマーケットでもよく見かけるグレープシードオイルです。『シリコンバレー式』の食事では調理に使うオイルとして特にはお勧めしていませんが、スキンケアオイルとしてはとても優秀なのです。さっそくですが、オイルの特性を知るために成分(脂肪組成)を見てみましょう。
グレープシードオイルの脂肪酸組成 [#] Kamel, B. S.; Dawson H.; Kakuda Y. (1985). “Characteristics and composition of melon and grape seed oils and cakes”. Journal of the American Oil Chemists' Society 62 (5): 881–883. doi:10.1007/BF02541750
脂肪酸
種類
%
リノール酸
オメガ-6不飽和脂肪酸
69.6%
オレイン酸
オメガ-9不飽和脂肪酸
15.8%
パルミチン酸(ヘキサデカン酸)
飽和脂肪酸
7.0%
ステアリン酸(オクタデカン酸)
飽和脂肪酸
4.o%
α-リノレン酸
オメガ-3不飽和脂肪酸
0.1%
パルミトレイン酸(9-ヘキサデセン酸)
オメガ-7不飽和脂肪酸
1%未満
グレープシードオイルはオメガ-6不飽和脂肪酸が70%近くを占めているのが特徴です。オメガ-6は特別に意識しなくても、現代人の食生活では十分な量を補えているといわれています。調理オイルとして日常的に使うと過剰に摂取することになるので要注意ですが、グレープシードオイルは特に指の滑りがよいので肌に塗るにはお勧めです。
未精製と精製、どちらを選ぶ?
オイルのラベルを見ると、原産地はEU諸国やチリなど。そうです、ワインの製造過程で出る大量のブドウのタネが原料なのです。最近はタネのないブドウが多く流通しているので気が付かないかもしれませんが、ブドウの種子は油分に富んでいるとはいえません。このブドウの種子からどうやって油を取り出すのでしょうか。
抽出方法は主に圧搾方式です。非加熱で圧搾する、いわゆる「コールドプレス」がヘルシーな植物油の抽出方法の代表的なものですが、油分の少ない物質から効率的にオイルを取り出すためには、高温をかけた上で圧搾したり、化学溶剤を使って搾油したり、あるいはその2つを併用することもあります。食用のグレープシード油には抽出方法が書かれていないものがほとんどですが、ブドウの種子からコールドプレスのみで大量のオイルを得ることは難しく、なんらかの熱や溶剤が加えられていることがほとんどのようです。また、化粧品原料の精製グレープシードオイルは溶剤を添加した圧搾方式がほとんどです。
そして未精製タイプと、精製タイプが流通しています。未精製と表示されているものは、主にチリ産で緑色。少し粘度があり、クセのある香りがします。一方、精製オイルはうすい黄色で、サラッとした感触です。主張のある香りはありません。いずれも保湿に優れ、肌なじみが良い性質を持つので、シワやストレッチマークを解消する働きがあるといわれています。
左-未精製 右-精製
未精製と精製のどちらがお勧めか?と聞かれたら、「精製」です。なんとなく未精製のほうが肌にいいのでは?という印象を持ちがちですが、肌の弱い人だと少し刺激を感じることがあるかもしれません。そしてグレープシードオイルをお勧めする理由は、とてもテクスチャーが軽く、伸びが良いこと。そしてその香りの主張のなさです。においって結構気になりますから、ここはポイントです。
精油をブレンドしてリラクセーション効果を高める
筆者は化粧品グレードのグレープシードオイルを購入したことがありますが、化粧品原料の会社から一斗缶で購入したにもかかわらず、ラベルは食用となっていました。経験則、体感上ですが、確かに精製グレープシード油は肌に伸ばしたときに食用と化粧品用の違いを感じにくいオイルの一つだと思います。他のオイルにはない独特の軽いテクスチャーを生かして、マッサージやクレンジングに超お勧めのオイルです。コストフォーマンスの良い食用油だからこそ、たっぷり惜しみなく使うことができますよ。ただし初めて肌に塗るときは、二の腕の内側でパッチテストをしてトラブルが起きないか確認してくださいね。
またグレープシードオイルはほぼ無臭なので、精油をブレンドして香りを楽しみながらマッサージすることもできます。たとえば、むくみ解消のためにはジュニパーベリー、筋肉をほぐすためにラベンサラ、心地よい眠りを迎えるためのラベンダーなど。アロマセラピー(芳香療法)に興味があれば、ブレンドする精油を選ぶことで、リラクセーション効果をより高めることができます。
※精油を選ぶときには、ご自分の体質と精油の禁忌がバッティングしないことを十分確認してください。
オイルマッサージをオンオフ切り替えのスイッチに
オイル適量を手に取って体温で温め、顔や頭皮に指を滑らせてマッサージしましょう。指の動きはゆっくり、下から上へ。小鼻のポツポツが気になる方は、指の腹で優しくクルクルとマッサージしてください。眉の下やこめかみは、やさしく指圧すると頭もスッキリ。毛穴の汚れまできれいに浮かせてくれますし、マッサージにより血行も良くなり、むくみもとれてスッキリします。
マッサージの後はティッシュで押さえてオイルを吸わせてください。電子レンジで蒸しタオルを作って拭き取ったら、それはもうスペシャルケアです。その後はお好みにより石けんで洗いましょう。シャンプー前の頭皮マッサージもお勧めです。初めてのときはベタつきが気になるかもしれませんから、お休みの前日にトライしてみてください。
オンタイムにパフォーマンスを上げるには、心と体を休める時間を作り、きちんとオフに切り替える習慣を持つことが大切です。たっぷりのオイルを使ったクレンジングやマッサージは、オフのスイッチを入れるルーティンに最適。お肌の汚れを落とすだけではなく、モヤッとした気分もクリアにしてくれることでしょう。
著者プロフィール
-原澤さゆり-
九州在住のフリーライター。勤め人時代に10年ほど大阪に住み、ポジティブ思考を叩きこまれる。掌蹠膿疱症にかかるも、トライ&エラーをおそれず様々な角度から自分の肌と向き合い寛解。「肌が楽だと生きるのが楽」をモットーに執筆活動中。
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