いよいよ夏本番。夏と言えば、バーベキューやキャンプや花火大会など楽しいアウトドア行事がたくさん。しかし、蚊の多い季節でもありますよね。そこで今回は一般の虫よけ製品に関する問題点とgeefeeおススメの虫よけ対策をお伝えします。
虫よけスプレーに含まれる科学成分「ディート」に注意!
虫よけ対策といえば、ほとんどの人が市販のスプレーをイメージされることと思います。しかし、みなさんが使っているこの虫よけスプレー、成分表を見たことがありますか?その中に「ディート(DEET)」という化学薬品を見つけたら注意が必要です。欧米でこのディートの安全性に関して異論を唱えている科学者がいるのです。
ディートの正体とは?
1946年にアメリカで軍事用に開発されたディート[#] “ATSDR - Toxic Substances - DEET (N,N-Diethyl-Meta-Toluamide).” n.d. Accessed July 23, 2019. https://www.atsdr.cdc.gov/substances/toxsubstance.asp?toxid=201. 。虫よけ効果が強く、効力も長持ちするこのディートは、虫よけスプレーの原材料として長年民間でよく使用されています。
日本では、もう40年以上も使用されていますが、2016年にはディートの高濃度使用(30%マックス)が認可され、より濃度の強い製品が販売されるようになりました。厚生労働省によると「40年以上の間、薬事法に基づく副作用の報告はない」、とのこと。
ディートの危険性は?
厚生労働省のHP内の「ディートを含有する医薬品及び医薬部外品に関する安全対策について」には以下の記載があります。
・デューク大学の研究グループが行ったラット皮膚塗布試験に関する報告については、関係する他の報告に比べ低用量でディートの神経系への影響が認められているが、試験方法等の不備が見られるため、現時点では評価は困難である[#]Abou-Donia MB, Goldstein LB, Dechovskaia A, et al. Effects of daily dermal application of DEET and epermethrin, alone and in combination, on sensorimotor performance, blood-brain barrier, and blood-testis barrier in rats. J Toxicol Environ Health A. 2001 Apr 6;62(7):523-41. [#]Abou-Donia MB, Goldstein LB, Jones KH, et al. Locomotor and sensorimotor performance deficit in rats following exposure to pyridostigmine bromide, DEET, and permethrin, alone and in combination. Toxicol Sci. 2001 Apr;60(2):305-14. [#]Abdel-Rahman A, Shetty AK, Abou-Donia MB. Subchronic dermal application of N,N-diethyl m-toluamide (DEET) and permethrin to adult rats, alone or in combination, causes diffuse neuronal cell death and cytoskeletal abnormalities in the cerebral cortex and the hippocampus, and Purkinje neuron loss in the cerebellum. Exp Neurol. 2001 Nov;172(1):153-71. [#]Abdel-Rahman A, Dechkovskaia AM, Goldstein LB, et al. Neurological deficits induced by malathion, DEET, and permethrin, alone or in combination in adult rats. J Toxicol Environ Health A. 2004 Feb 27;67(4):331-56. 。
大切な家族の健康が気になる消費者としてはちょっと納得のできない言い訳のような説明にも見えますよね。ちなみに、2009年の別な研究では、その他の化学物質との組み合わせで運動と筋肉活動を引き起こす中枢神経系に有毒であることが示されています[#]Corbel V, Stankiewicz M, Pennetier C, et al. Evidence for inhibition of cholinesterases in insect and mammalian nervous systems by the insect repellent deet. BMC Biol. 2009 Aug 5;7:47. 。
では、厚生労働省による使用の際の注意事項をよく見てみましょう。
小児(12歳未満)に使用させる場合には、保護者等の指導監督の下で、以下の回数を目安に使用すること。なお、顔には使用しないこと。
・ 6か月未満の乳児には使用しないこと。
・ 6か月以上2歳未満は、1日1回
・ 2歳以上12歳未満は、1日1~3回
一般的な虫よけスプレーに含まれているディートの濃度(10%)ですと、1回で約2時間効果が持続します。キャンプなどで、1日中外にいる際などは、「2歳以上12歳未満は、1日1~3回」になりますので、最大6時間の持続がマックスということに。また、一般の濃度の例えば三倍の30%濃度ということを知らないで購入し、何回も何回も吹きかけるなんてことも十分あり得ますよね。
こうした安全性への懸念から、健康への悪影響が懸念されている化学物質を長時間体に塗るということへの疑問がわくとともに、何かもっと体に優しい代替物がないのかが気になってきます。
どうせ使うなら天然成分由来で虫よけを!
確かにディートの虫よけ効果は強いです。しかし、最近の研究[#]Zhu JJ, Cermak SC, Kenar JA, et al. Better than DEET Repellent Compounds Derived from Coconut Oil. Sci Rep. 2018 Sep 19;8(1):14053. によると、虫よけ効果として、ディート以外にも強力な虫よけ作用のある自然の物質があることがわかり、話題になっています。それは何かというと、なんとgeefeeでもおなじみのココナッツオイルから由来する脂肪酸(カプリル酸やラウリン酸)などの物質。実験で、蚊、ダニ、アブ、ナンキンムシなどに対してディートよりも強い虫よけ効果があることがわかっています。ココナッツオイルの虫よけ成分を含んだこのような製品であれば安心して虫を撃退。お子さんやペットにも使用できますね。なお、この研究によれば、通常のココナッツオイルを塗るだけでは虫よけ効果が少ないとのこと。上記脂肪酸がココナッツオイルの成分の大部分であるのでなぜ普通のココナッツオイルだとだめなのかちょっとわかりにくいのですが、今後geefeeスタッフでもココナッツオイルや食用のMCTオイルの虫よけ効果についても実験してご報告したいと思います。
なお、アロマセラピー愛好者には、上記製品にも含まれているユーカリオイル[#]Batish DR, Singh HP, Kohli RK. Eucalyptus essential oil as a natural pesticide. Forest Ecology and Management. 2008;256:2166–2174 や、レモン[#]Das NG, Baruah I, Talukdar PK, et al. Evaluation of botanicals as repellents against mosquitoes. J Vector Borne Dis. 2003 Mar-Jun;40(1-2):49-53. 、ラベンダーオイルやシナモンオイル[#]Fradin MS. Mosquitoes and mosquito repellents: a clinician's guide. Ann Intern Med. 1998 Jun 1;128(11):931-40. などについても虫よけ効果が報告されていることをお伝えします[#]Batish DR, Singh HP, Kohli RK. Eucalyptus essential oil as a natural pesticide. Forest Ecology and Management. 2008;256:2166–2174 。アロマセラピーでこうしたエッセンシャルオイルを使う場合と同じですが、直接原油を肌に塗るのは刺激が強すぎますが、無水エタノールや精製水にオイルを垂らして自作スプレーを作れば、即席の天然成分由来の虫よけスプレーが簡単に作ることができます。
食事もそうですが、一般的に人工的に合成された化学薬品よりも天然成分のほうがが体に優しいケースが多いと言えます。この夏、天然由来の虫よけスプレーを一度試してみる価値はありですね!
コメント
コメントを追加