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食事を重視する歯科医が伝授!鉄を多く含む食材をご存じですか?サプリに頼らないで鉄を効率よく補う方法とは?
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食事を重視する歯科医が伝授!鉄を多く含む食材をご存じですか?サプリに頼らないで鉄を効率よく補う方法とは?

 

現在、瀧川歯科で歯科医を務める傍ら、複数の医療系の大学や専門学校での講師、食育や栄養関連のセミナー講師、料理教室の講師として活動している久野淳先生。 

従来の歯科の枠を飛び越えて、食事が口腔内、更には体全体の健康に及ぼす影響をテーマに、消費者目線での独自の調査や研究を重ねる「食事を重視する歯科医」が、今もっとも気になるヘルストピックを伝授します!

 

 

有経女性の約80%に認められると言われる鉄欠乏の症状。これに対して、食事ではなかなか鉄分が充分に摂れないということで、医師や専門家からへム鉄のサプリメントを勧められることがあると思います。実際に飲んでいる方も多いでしょう。

ヘム鉄のサプリメントや病院から鉄欠乏性貧血の改善のために処方される鉄剤を内服して、便がすぐ黒っぽくなる人は要注意です!鉄剤やサプリメントなどで安易に鉄を補おうとする前に消化管の環境を改善する必要があります。医師から処方される鉄剤を飲んで胃が気持ち悪くなる人は少なくありませんが、その他の体調不良の原因は腸内環境の悪化にあるかもしれませんよ。

そういう私自身が鉄不足男子なのですが(笑)鉄サプリで便がすぐ黒くなってしまいます。これは鉄が腸管から上手く吸収されずに排泄されている証拠です。こういう場合は、良かれと思って補給した鉄が、胃の中のピロリ菌や腸内の悪玉菌の餌として使われている可能性があるので要注意です!!

また貧血の治療に鉄のサプリメントを使用すると免疫力が弱まり感染症にかかりやすくなったというデータもあります。へム鉄のサプリメントを飲み続けて、体調を崩したという方の中にはこのように腸内環境の悪化や免疫力の低下が関わっていることも考えられます。

鉄が上手く吸収されない理由には、タンパク質が足りていない場合もありますが、何よりも明らかな鉄欠乏性貧血の人が鉄剤を飲んですぐ便が黒っぽくなってしまう場合には、鉄のサプリを内服する前に、まず腸内環境をしっかり整えることから始めましょう!そうでないと逆に体調崩すことになりますよ!!

 

サプリに頼る前にまずは食事から!

私は日々の臨床の中で、安易にサプリメントでへム鉄を勧める前に、食事の中から鉄を補給することを指導します。その人の食生活をしっかりと問診してから、必要に応じて腸内環境を乱している小麦製品や乳製品(グルテンやカゼインなど)があるか否か、その他糖類や糖質の過剰摂取、粗悪な油脂類の摂取、農薬や添加物などの悪影響が無いかなどについて調べていきます。

鉄欠乏性貧血や隠れ貧血などと診断されて、鉄のサプリメントを飲んでいる方は、できるだけ普段の食生活から効率よく鉄を補給する方法について正しく理解してくださいね!

 

非ヘム鉄とヘム鉄とは?

ここで、皆さんが口にする栄養素の鉄について、二種類存在することを説明しておきましょう。

鉄には、植物性食品に多く含まれる「非ヘム鉄(Fe+++:3価の鉄イオン)」と動物性食品に多く含まれる「ヘム鉄 (Fe++:2価の鉄イオン)」(鉄がタンパク質と結合した形)が存在します。よく医師から処方される鉄剤は、実は非ヘム鉄なんです。食材の非ヘム鉄よ りも吸収率が良くなる工夫がされているものの、吸収率の悪い非ヘム鉄を継続して内服していると、吸収されるときに発生する活性酸素によって胃粘膜が攻撃されてしまいます。処方された鉄剤を内服していると、胃部不快感を訴えるようになるのはこのためですね。また医薬品はほとんどが化学的に合成されたものなので、できるだけ自然なものをと考えている方ならば(ましてや妊娠中ならばなおさら)避けたいところですね。

非ヘム鉄の吸収率は摂取量のたったの2~5%ヘム鉄の吸収率は15~25%と、吸収率に約5倍~10倍ほどの大きな差があるので、動物性食品であり、ヘム鉄が豊富に含まれるレバーや魚介類は 鉄分補給に適しているということになります。

 

鉄分が含まれる食品とは?

色々とバランスよく食べているつもりでも、時に成長期のお子さんや有経女性において、何かと不足しがちな栄養素である鉄ですが、動物性の食材(肉類や魚介類など)にどれほどの鉄が含まれているかご存知ですか?

厚生労働省が定めた「日本人の食事摂取基準(2015年版)」の内容では、鉄の1日の摂取量について、

 

  • 成人女子推奨量:10.5mg
  • 成人男子推奨量:  7.5mg

 

と記されています。

 

100gあたりの鉄(ヘム鉄)の含有量の多い肉類(日本食品標準成分表2015年版 七訂のデータより)

 

第1位 豚レバー 13.0mg
第2位 鶏レバー 9.0mg
第3位 生センマイ(牛の第三胃) 6.8mg
第4位 鶏ハツ 5.1mg
第5位 鴨肉 4.3mg
第6位 馬肉 4.3mg
第7位 牛レバー 4.0mg
第8位 豚ハツ 3.5mg
第9位 コンビーフ缶 3.5mg
第10位 シカ肉(ニホンジカ) 3.4mg
第11位

シカ肉(アカシカ)
(蝦夷シカ肉:6.0mgとも言われる)

3.1mg
第12位 牛タン 2.5mg
  マトン 2.5mg
  和牛ヒレ 2.5mg
  豚タン 2.3mg

肉類といっても血の気の多い内臓系に多いのであって、豚や鶏や牛などの肉の部分には鉄はあまり含まれていないことを理解しておいてください(和牛ヒレ以外ランクインしていません)。

 

 

 

100gあたりの鉄(主にヘム鉄)の含有量の多い魚介類(日本食品標準成分表2015年版 七訂のデータより)

 

第1位 天然鮎の内臓(焼き) 63.2mg
第2位 天然鮎の内臓(生) 24.0mg
第3位 養殖鮎の内臓(焼き) 19.0mg
第4位 養殖鮎内臓(生) 8.0mg
第5位 ハマグリの佃煮(佃煮系は水分が抜けて鉄が多くなる) 7.2mg
第6位 ほや 5.7mg
第7位 天然鮎の焼き(身の部分)
(養殖鮎の焼きだと2.0mgと少ない)
5.5mg
第8位 シジミ 5.3mg
第9位 赤貝 5.0mg
第10位 うなぎの肝 4.6mg
第11位

うるめいわし丸干し(干物系は水分が抜けて鉄が多くなる)

4.5mg
第12位 真いわし丸干し 4.4mg
  ほっき貝 4.4mg
第14位 アサリ 4.4mg
第15位 イガイ(カラス貝、ムール貝の仲間) 3.8mg
第16位 ミル貝 3.3mg

 

※※魚類の中でも、マグロ、カツオ、サバなどは鉄が多く含まれているイメージですが、せいぜい100gあたり2.0mg以下であり、さほど含まれていないことを理解しておいてください。

 

 

 

ここでは何といっても!!!驚きの天然鮎の内臓!!!

な、なんと焼きで63.2mg!、生だと24.0mg!(生で食べれるのか?)

養殖の鮎の内臓だと、焼きで19.0mg、生だと8.0mgと少ないですが、それでも豚レバー(13mg)よりも多いです。ということで旬の天然鮎の塩焼きは、内臓もしっかり火を通して美味しく安全にいただきましょう!

続いて、魚介類の中で上位に登場する貝類ですが、赤貝を除いてアサリやシジミ、ハマグリなどは動物性の食材でありながら、非ヘム鉄なので…残念です。

 

 

番外編(日本食品標準成分表2015年版 七訂のデータより)

 

鶏卵(生の卵黄) 6.0mg(茹でた卵黄だと5.9mg)

 

鶏卵の卵黄(生)は、100gあたりの鉄は6mgと優秀なのですが、実はこれも貝類と同様に動物性の食材でありながら、非ヘム鉄なので…これもまた残念です。

 

 

ひじきや青のり、きくらげやほうれん草、プルーンなどをしっかり食べていても、これらは鉄は非ヘム鉄であるため、ほとんど吸収されていないということを十分に理解してくださいね!また、最近のひじきに関してはあまり鉄が含まれていないというデータが有るばかりか、ヒ素の汚染の問題でで、海外では危険な食材として敬遠されています(ある国では子供にひじきを食べさせないよう注意喚起しています)。

だからといって非ヘム鉄を含む食材を否定している訳ではなく、様々なリスク回避のためにヘム鉄も非ヘム鉄もいろんな食材から摂るようにしていきましょう。

 

鉄の吸収を促進、阻害する食材や栄養素

あと大切なこととして、鉄分の吸収を促進する他の食材(食べあわせ)についても知っておきましょう!お酢や梅干し、柑橘系など酸味の強いものが鉄の吸収を助けてくれます。さらにビタミンCは体内の鉄分(非へム鉄、へム鉄の両方とも)の吸収を助ける効果があります。また動物性タンパク質(ただし肉、魚のみ)も一緒に摂ると効果的です。

また重要な微量ミネラルである 銅、そしてCPP(カゼインホスホペプタイド:乳タンパクであるカゼインがすい臓から分泌されるトリプシンによって分解されることで生じる)も鉄の吸収を良くします。これらの食材や栄養素、調味料などとの食べ合わせも考慮しながら、鉄を多く含む食材を併せて摂りたいですね。

逆に鉄分の吸収を阻害するものには、お茶やコーヒーなどに含まれるタンニン(特に非へム鉄の吸収を阻害するため鉄を摂取後は1時間は空けること)、玄米や 豆類に含まれるフィチン酸、野菜(ほうれん草など)のアクの成分であるシュウ酸、過剰な食物繊維の摂取などが有名です。また抗酸化ビタミンであるビタミンEも鉄の吸収を妨げるため、鉄を摂取後のビタミンEのサプリメントに摂取については、飲む間隔を8時間はあけた方が良いと言われています。

 

 

 

健康診断やかかりつけ医院での簡単な赤血球数やヘモグロビンの値だけで鉄不足の有無を判断するのではなく、血清鉄やフェリチン(鉄貯蔵タンパク質)、UIBC(不飽和鉄結合能)やTIBC(総鉄結合能)などのデータと、鉄不足が疑われる臨床症状を総合的に判断して隠れ貧血などを見つけ出し、足りない鉄をサプリメントではなくて、食事を中心に補っていくことが最重要だと考えています!

 

 

 

 

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