Skip to navigation メインコンテンツに移動
気になるケトジェニックダイエットと筋肉量の相関関係
99  

気になるケトジェニックダイエットと筋肉量の相関関係

geefee ポイント geefee ポイント

・筋肉の収縮のためのエネルギー源となる炭水化物から接するグリコーゲン
・ケトジェニックダイエットにおける筋肉とエネルギー、グリコーゲン、テストステロンの関係性とは?
・ケトジェニックダイエット中の運動に欠かせないタンパク質

 

低炭水化物、高脂肪の食事法であるケトジェニックダイエットに関する情報はgeefeeでも度々特集していますが、その効果としてまず体に顕著に現れるのが体重の減少です。ケトジェニックダイエットを実践しているgeefeeのスタッフも1か月で4kg減少(2か月経過の現在では6kg減少)の成果が表れていますが、同時に筋肉量も落ちるのでは?という懸念もありますよね。特に、炭水化物を摂取しないと筋肉量が落ちると言われていたりしますが、科学的な観点では実際どうなのでしょうか?今回はケトジェニックダイエットと筋肉量にフォーカスしていきます。

 

 

炭水化物が筋肉に必要な理由。

人の身体の大切なエネルギー源となるタンパク質・脂質・炭水化物の三大栄養素の中で、炭水化物は体内でブドウ糖に変換された後にその一部がグリコーゲンとして筋肉に蓄えられます[#]“What Is Glycogen?” n.d. Accessed May 24, 2021. https://www.musclesound.com/2016/05/23/what-is-glycogen/. 。筋肉の主成分はタンパク質になりますが、このタンパク質の分解を抑える働きと筋肉の収縮のためのエネルギー源となるのがこのグリコーゲンです。また、炭水化物の摂取によって分泌が促進されたインスリンはアミノ酸(タンパク質)を筋肉に運び、筋肥大を促進する働きを持ちます。このため筋肉トレーニングの前後にはエネルギー不足を防ぐために炭水化物が必要と言われています。

 

 

このように、炭水化物が筋肉の成分となるわけではなく、あくまでも筋肥大を補助する役割を果たすのです。では、炭水化物の摂取を極力控える食事法であるケトジェニックダイエットを実践すると筋肉量や筋肉トレーニングにどのような影響があるのでしょうか?

 

ケトジェニックダイエットと筋肉の関係性

厳密なケトジェニックダイエットでは、1日に摂取するカロリーのうち炭水化物などの糖質から摂取する割合を5%以下にすることを目標とするため、上記で述べた炭水化物による筋肥大の効果は期待できません。よって、長い間、ケトジェニックダイエットは筋肉増強には不向きだという見解を述べた記事が多くのメディアで示されてきました。しかし、近年さまざまな研究結果によりケトジェニックダイエットが筋肥大を妨げるわけではないということが分かっています。そのポイントを以下にまとめました。

 

脂質で運動エネルギーを補充

炭水化物の摂取が運動や身体活動のエネルギーになるということは上のセクションで説明しましたが、炭水化物がエネルギーとして使い果たされると、脂質がエネルギーとして利用・燃焼され始めます。これをケトーシス状態と呼びます。よって、低炭水化物でも運動パフォーマンスに影響を及ぼさない上に、脂肪が燃焼されるため体重減少も期待できます。

しかし、ケトジェニックダイエットを始めた数週間は体がケトーシス状態に切り替わっていく期間であるため、体力や持久力不足が起こる可能性も[#] Sherrier, M., and H. Li. 2019. “The Impact of Keto-Adaptation on Exercise Performance and the Role of Metabolic-Regulating Cytokines.” The American Journal of Clinical Nutrition 110 (3). https://doi.org/10.1093/ajcn/nqz145. 。しかし、これはあくまでも一時的なもの。逆に、ケトジェニックダイエットが機能しているサインでもあるので、この期間を乗り越えれば通常あるいはそれ以上のパフォーマンスが期待できます。

 

グリコーゲンはどこへ?

体がケトーシス状態に切り替わっていく期間に、低炭水化物の食事により枯渇したグリコーゲンを補充するためにアミノ酸(タンパク質由来)をブドウ糖に変換する糖新生が体内で起こります。この糖新生により、タンパク質が分解、すなわち筋肉量の低下の可能性が気になりますが、これも体がケトーシス状態に切り替わるとケトン体がエネルギー源として利用されるため糖新生による筋力の低下は防止できると言われています[#]MacMillan, Amanda. 2010. “How Can Glycogen Be Replenished on a Low-Carb Diet?” Livestrong.com. November 23, 2010. https://www.livestrong.com/article/315538-how-can-glycogen-be-replenishe....  [#]MarcAurele, Lisa. 2017. “Gluconeogenesis: Should You Fear It If You’re Low Carb?” December 22, 2017. https://lowcarbyum.com/gluconeogenesis/.  [#]Volek, J.S., and Phinney, S.D. (2012). The Art and Science of Low Carbohydrate Performance. (Beyond Obesity LLC ).  [#]Nair, K. S., Welle, S. L., Halliday, D., & Campbell, R. G. (1988). Effect of beta-hydroxybutyrate on whole-body leucine kinetics and fractional mixed skeletal muscle protein synthesis in humans. J Clin Invest, 82(1), 198-205. 。この糖新生を補うだけのタンパク質や脂質をしっかりと摂取するケトジェニックダイエットでは、あまり心配はなさそう。ケトーシスに関する基礎知識は過去記事を参照にしてくださいね。

【関連記事】「劇的な効果があると話題のケトジェニックダイエットがもたらす体の変化と注意点

 

テストステロンの増加

加齢に伴い減少傾向にある男性ホルモンのテストステロンですが、テストステロンの減少は筋肉量の低下の原因になりうることは以前の記事でもお伝えした通り。ある研究では、ケトジェニックダイエットがテストステロンレベルを増加させる可能性が示唆されています[#]Paoli, Antonio, Pasqualina Cancellara, Pierluigi Pompei, and Tatiana Moro. 2019. “Ketogenic Diet and Skeletal Muscle Hypertrophy: A Frenemy Relationship?” Journal of Human Kinetics 68 (August): 233. 。これもグッドニュースですね。

 

 

 

また、ケトジェニックダイエットが体操選手の筋力量に影響を与えず脂肪量及び体脂肪率が減少したという研究結果や[#]Paoli, A., K. Grimaldi, D. D’Agostino, L. Cenci, T. Moro, A. Bianco, and A. Palma. 2012. “Ketogenic Diet Does Not Affect Strength Performance in Elite Artistic Gymnasts.” Journal of the International Society of Sports Nutrition 9 (1). https://doi.org/10.1186/1550-2783-9-34. 、低炭水化物食のグループ及び一般的な西洋型の食事のグループに分け筋肉トレーニングを10週間行った比較研究によると、両グループ共に同様の筋肉量増加を示したことが分かっています。炭水化物を摂取しないと筋力が低下、もしくは筋肥大を妨げるという単純な図式ではなさそうです。

 

ケトジェニックダイエット中の運動に欠かせないタンパク質とエネルギー補給源

筋肉タンパク質合成速度が筋肉タンパク質分解速度を超えると骨格筋(筋原線維)が増えるため、筋肉の増強にはタンパク質は不可欠となりますが、摂取すべきタンパク質の量は身体活動レベルによって人それぞれ。研究データに基づいた以下の数値を目安にしてみてください[#]Aragon, Alan A., Brad J. Schoenfeld, Robert Wildman, Susan Kleiner, Trisha VanDusseldorp, Lem Taylor, Conrad P. Earnest, et al. 2017. “International Society of Sports Nutrition Position Stand: Diets and Body Composition.” Journal of the International Society of Sports Nutrition 14 (1): 1–19.  [#]Wu, G. 2016. “Dietary Protein Intake and Human Health.” Food & Function 7 (3). https://doi.org/10.1039/c5fo01530h.

 

あまり運動しない:体重1kg当たり1g
適度な運動:体重1kg当たり1.3g
激しい運動:体重1kg当たり1.6g

 

また、運動中のエネルギー補給に欠かせないと言われているのが糖質ですが、ケトジェニックダイエットを実践している人が補給すべきはナトリウム、カリウム、マグネシウムなどの電解質。特に低炭水化物食は塩分不足になる可能性が指摘されており[#]Mac, Lorenz. n.d. “Keto Gains: How to Build Muscle Without Carbs.” Accessed May 24, 2021. https://perfectketo.com/keto-bodybuilding/. 、運動量の多い人はナトリウム不足になることがあります。とは言っても、間違ってもスポーツドリンクは飲まないように。大量の糖質が含まれていますので。

【関連記事】「食事を重視する歯科医が伝授!熱中症対策のスポーツドリンクって…本当に必要なのでしょうか?

 

 

また、MCTオイルや筋肉の増強を促進すると言われている有機酸の一種であるクレアチンは、ケトジェニックダイエット実践者には強い味方です。クレアチンの摂取方法については以前の記事を参考に。
 

 

まとめ~気になるケトジェニックダイエットと筋肉量の相関関係~
確かに炭水化物などの糖質は筋肉量と深い関りがありますが、筋肉を維持、増強するために不可欠というわけではありません。ケトジェニックダイエット中でアスリートや激しい身体活動を伴う労働環境にいる人は、タンパク質の量を意識的に調整する必要がありますが、自宅で筋肉トレーニングやエクササイズを行うレベルの運動量であれば、さほど気にすることはなさそう。体がケトーシス状態に移行中の最初の2週間位は筋力の低下が起こる可能性があるので、そこで諦めずにケトジェニックダイエットを実践しながら通常通りの運動やトレーニングを行うことで筋肉量を落とさず体重減少も期待できます。体が必要としているエネルギーを炭水化物に頼る必要は全くないのです。

コメント

コメントを追加