ガンの危険因子とケトジェニックダイエット (糖質制限)
geefeeでもさまざまな記事で重ねて推奨しているケトジェニックダイエット。食べる総カロリーのうち約75%を脂質、20%をタンパク質、そして5%以下を糖質の割合で行う食事法です。糖質5%以下というと白米で言えば一日に茶碗一杯分程度。
では、このケトジェニックダイエットによってガンの危険因子をどのように検証することができるのでしょうか?
厚生労働省によると、ガンの危険因子は喫煙や飲酒、食生活などの一般的な生活習慣の乱れや、環境中の発ガン物質など非常におおまかです。また、よく耳にするのが遺伝による要因ですが、これは家族内での相似した生活習慣や肥満体質などが要因となりうるため、単純に親から子に受け継がれる遺伝子が要因でガンが発症するのはたったの5-10%だと言われています[#]Family Cancer Syndromes. Available: https://www.cancer.org/cancer/cancer-causes/genetics/family-cancer-syndr... 。このように、特定が困難なガンの危険因子ですが、多くの研究で糖質が危険因子の1つである可能性が示唆されています[#]Makarem N, Bandera EV, Lin Y, Jacques PF, Hayes RB, Parekh N. Consumption of Sugars, Sugary Foods, and Sugary Beverages in Relation to Adiposity-Related Cancer Risk in the Framingham Offspring Cohort (1991-2013). Cancer Prev Res . 2018;11. doi:10.1158/1940-6207.CAPR-17-0218 。すなわち、ケトジェニックダイエットがガンの発症、もしくはガンの発症に繋がりうる以下のような危険因子に有意に働く可能性があると言われているのです。
IGF-1(インスリン様成長因子1)レベル
インスリンと類似点が多い分子構造を持つIGF-1(インスリン様成長因子I)は、細胞増殖を促進するホルモンで、ガン細胞の発生や増殖に関連しています[#]Shanmugalingam T, Bosco C, Ridley AJ, Van Hemelrijck M. Is there a role for IGF-1 in the development of second primary cancers? Cancer Med. 2016;5: 3353–3367. doi:10.1002/cam4.871 。糖質を制限することでIGF-1レベルを低下させることができるのですが、注目すべきはIGF-1のレベルを上昇させるタンパク質の摂取量。総カロリーの20%程度の適度なタンパク質量であるケトジェニックダイエットは、IGF-1レベルの上昇を抑える可能性があるのです[#]Levine ME, Suarez JA, Brandhorst S, Balasubramanian P, Cheng C-W, Madia F, et al. Low protein intake is associated with a major reduction in IGF-1, cancer, and overall mortality in the 65 and younger but not older population. Cell Metab. 2014;19: 407–417. doi:10.1016/j.cmet.2014.02.006 。ガン予防の側面でみた場合、ケトジェニックダイエットの際のタンパク質の量を5-15%に調整するのが適しているという専門家もいますので、ケトジェニックダイエットの特徴の1つである低タンパク質も有意に働く可能性があります[#]Ochsner Health. Keto diet and cancer: What’s the latest research? Ochsner Health System; 11 Oct 2020. Available: https://blog.ochsner.org/articles/keto-diet-and-cancer-whats-the-latest-... 。
高血糖と2型糖尿病
慢性的な高血糖により発症する糖尿病は、大腸ガン、肝臓ガン、膵臓ガンのリスクと関連しガンのリスクが20%高くなるとも言われています[#]がん. Available: http://dmic.ncgm.go.jp/general/about-dm/070/020/04.html 。以前の記事でも掲載しましたが、糖質を制限するケトジェニックダイエットは、食後の血糖値とインスリン値の上昇を抑え、膵臓への負担を減らしインスリン抵抗を緩和する効果があります。単純なカロリー制限ダイエットだと糖質も非糖質もただのカロリーとして計算されてしまうため、ケトジェニックダイエットの方が血糖値のコントロールの改善に効果的だと考えられます。
肥満や体重増加
肥満は、大腸ガン,乳ガン,前立腺ガン等の危険因子の1つです。禁煙の次に肥満対策がガンの予防に繋がるとも言われています[#]河田純男. 肥満症と癌. 日本内科学会雑誌. 2011;100: 975–982. doi:10.2169/naika.100.975 。色々あるケトジェニックダイエットの効果の1つに体重減少があります[#]Paoli A. Ketogenic diet for obesity: friend or foe? Int J Environ Res Public Health. 2014;11: 2092–2107. doi:10.3390/ijerph110202092 [#]Dashti HM, Mathew TC, Hussein T, Asfar SK, Behbahani A, Khoursheed MA, et al. Long-term effects of a ketogenic diet in obese patients. Exp Clin Cardiol. 2004;9: 200–205. Available: https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/19641727 。適切な体重管理はガンの予防に繋がるのです。
コメント
コメントを追加