地中海地域では生活の一部になっているオリーブ。その品種は数百種にのぼります。西洋ではいろいろな種類の違いを楽しんで食事に取り入れており、産地のテロワール(土壌、地勢、気候などの土地の性質)による微妙な味わいの違いまでこだわっているといいます。オリーブの木はとても生命力が強く、乾燥や高い気温もものともせず、数百年の時を超えて生きる力があります。そのあふれる生命力を、私たちにも分けてもらいましょう!
天然の健康成分がいっぱい!オリーブのパワーとは?
オリーブは糖類と炭水化物が少なく、脂肪は質の高い植物性脂肪です。グリーンオリーブは熟す前に収穫され、軽くてマイルドな味わい。ブラックオリーブは成熟後に収穫され、より芳醇で刺激的な味わいになりますが、熟すほど有効成分であるオレウロペインの含有量は減っていきます[#]Haris Omar, S. & Omar, S.H., 2010. Oleuropein in Olive and its Pharmacological Effects. Scientia pharmaceutica, 78(2), pp.133–154. 。
効果1:心疾患リスクを下げる
オリーブに含まれる脂肪分のうち75%以上は、血圧を下げ、心臓病のリスクを軽減させるオレイン酸。オリーブやオリーブオイルに含まれる一価不飽和脂肪酸は、血中コレステロール、LDLコレステロールを減少させ、心臓病の危険性を下げます[#]Carluccio, M.A. et al., 2007. Vasculoprotective potential of olive oil components. Molecular nutrition & food research, 51(10), pp.1225–1234. 。
効果2:抗酸化作用と抗炎症作用
オリーブは大量の抗酸化物質を含有しています。オリーブにだけ含まれると考えられている抗酸化物質オレウロペインは、体内でLDLコレステロールが酸化するのを防ぎ、酸化性ストレスを低下させます。また、炎症に関与する物質の活性化も抑制します[#]Haris Omar, S. & Omar, S.H., 2010. Oleuropein in Olive and its Pharmacological Effects. Scientia pharmaceutica, 78(2), pp.133–154. 。
さらに、エクストラバージンオリーブオイル(以下バージンオイル)に含まれる天然有機化合物オレオカンタールは、抗炎症作用があると報告されています[#]Rahmani, A.H., Albutti, A.S. & Aly, S.M., 2014. Therapeutics role of olive fruits/oil in the prevention of diseases via modulation of anti-oxidant, anti-tumour and genetic activity. International journal of clinical and experimental medicine, 7(4), pp.799–808. 。
効果3:アンチエイジング
地中海料理の健康効果はバージンオイルの一価不飽和脂肪酸やいろいろなフェノール合成物(オレオカンタール、オレウロペイン、ヒドロキシチロソール、チロソールなど)によるもの。これらの持つ抗炎症性および抗酸化特性には、アンチエイジング効果もあるといわれています。チロソールは、ストレスへの抵抗力を付け、寿命を延ばし、オレウロペインとヒドロキシチロソールおよびスクアレンは、紫外線から肌を守ってくれます。特にオレウロペインは肌のプロテクターとなり、肌で直接抗酸化作用を発揮します[#]Rahmani, A.H., Albutti, A.S. & Aly, S.M., 2014. Therapeutics role of olive fruits/oil in the prevention of diseases via modulation of anti-oxidant, anti-tumour and genetic activity. International journal of clinical and experimental medicine, 7(4), pp.799–808. 。
効果4:骨粗鬆症の予防
老化による骨粗鬆症についても、オリーブは良い影響を与えると考えられています。127人の高齢男性に2年間にわたりバージンオイルをふんだんに使用した地中海料理を摂取してもらったところ、骨の健康の基準であるオステオカルシンとⅠ型プロコラーゲン-N-プロペプチドが並行して増加しました。
また、バージンオイルのフェノール類は人間の骨芽細胞の増殖を刺激します。骨芽細胞は骨形成細胞なので、オリーブは骨の健康に効果的な成分を含んでいることを示しています[#]Fernández-Real, J.M. et al., 2012. A Mediterranean Diet Enriched with Olive Oil Is Associated with Higher Serum Total Osteocalcin Levels in Elderly Men at High Cardiovascular Risk. The Journal of clinical endocrinology and metabolism, 97(10), p.3792. 。
酸化には気を付けよう
オリーブオイルに含まれる脂肪分は一価不飽和脂肪酸が主体のため、植物性油脂にしては比較的酸化に強いのですが、それでもやはり酸化は避けられません。酸化した油脂は健康にとって大敵。開封から長期間経過したものは避け、開封後は冷蔵庫にて保管しましょう。
料理に使用する場合は、お皿に料理を盛り付けた後に上からタラーと垂らすだけにし、炒めるなどの調理用には使用しないことをお勧めします(炒め物などの調理用にはココナッツオイルかギーのような飽和脂肪酸主体の油脂がお勧めです)。バージンオイルが高価な理由は、それが低温で絞られ、酸化を防ぐように保管されているため。炒め物に使っては台無し、と思って使用するのがベストとgeefeeは考えます。
このようにオリーブは良質な植物性脂肪分と栄養価が豊富な食品。オリーブ果実とオリーブオイルを食生活にうまく取り入れて、美容と健康維持に役立ててください。
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