人間の体にとって、空気中の酸素濃度は30%が適量とされており、古代の地球はこのくらいの酸素があったと考えられています。しかし、現代の私たちは酸素濃度21%の中で生活しています。そこで、現代社会で体を健康に保つために酸素補給が有効なのでは?との仮説が立てられます。
酸素は、血液をリフレッシュし、細胞組織を活性化します。酸素は私たちの体のエネルギー活動に深くかかわっており、通常よりも多い酸素補給によりさまざまな健康効果があったとしても不思議ではありません。
酸素カプセルとは?
体内の酸素は、ヘモグロビンと結びついた結合型酸素と、血液やリンパ液にじかに溶け込み抹消組織まで届く溶解型酸素の2種類があります。通常の肺呼吸では結合型でしか酸素を運べません。脳や腎臓、肝臓、皮膚は毛細血管が多いため、血流が悪くなりやすいのです。隅々の細胞にまで酸素を供給するには、この「溶解型酸素」がより多く必要になります。
高気圧酸素カプセルの気圧を上げると、酸素が血液、体液の中に溶け込み溶解型酸素が増えます。溶解型酸素は血管が詰まっていたとしても体液などの別ルートを通って酸素を運ぶことができます。これにより酸素不足に陥った全身の細胞に十分な酸素を補給し、若返りを促進するという仕組みです。(リラクシアHPより抜粋)
そもそも、この酸素カプセルがちまたで流行り出したのは10年以上前。今やトップアスリートの世界や美容・健康業界では定番になりつつあります。健康推進サイトを運営しているgeefeeとしても、一度は体験しておきたいところ。そこで今回、東京の六本木にあるリラクゼーションサロン「リラクシア」を訪ね、「高気圧酸素カプセル&酸素ボックス」を体験してきました。さて、酸素を補給することで体にどのような変化があるのでしょうか?
まずはカウンセリングを受けてコースを選択
受付を済ませたら、まずは簡単なカウンセリングから。その日の体調などもありますから、カプセル内に入れるコンディションかどうかはしっかりと確認しましょう。ここで、耳抜きの仕方も教えていただきます。希望の方には着替えもあります。どうせなら、なるべくリラックスして臨みたいものですよね。
次にコースを選びます。時間は30分、60分、90分、120分、180分から選べますが、お店の方曰く、40分くらいから効果が発揮されるとのことですので、60分を選択。気圧は最大1.3まで選べ、初心者は1.2くらいから始めるのがお勧めのようですので、昔から耳抜きが苦手な僕は、10分くらいかけて1.2気圧に上がるように設定していただきました。ちなみに、1.2気圧で水深2m、1.3気圧で約3mにいる状態だそうです。
いよいよカプセルの中へ!
こちらがカプセルです。そのままどこか違う世界へ飛ばされてしまいそうな形をしています。そういえば、サプリメントにもカプセルのものがあります。人はカプセルの中に未知なる健康を託しているようです。Cryo体験のときもそうでしたが、実はかなり緊張しました。ジェットコースターなどのアトラクションに乗るような感覚。いや、どうなるか予想もつかない未知の世界なので、それ以上の不安感が……。
身長180cm弱の僕の体が余裕ですっぽりと入るサイズ感です。全長2mくらいでしょうか? 幅もシングルベッドくらいのサイズはありますので、うつ伏せ、仰向け、横向きなどの体勢も可能で、中での圧迫感などは全然ありませんでした。想像以上に余裕のある作りで安心しました。
気圧が見る見るうちにに上昇!
店員さんから一通り中の設備の説明を受けて、いよいよ酸素カプセルが起動です。扉が閉まると、スピーカーから店員さんの声が聞こえるようになっています。何かあればいつでも外の世界とコミュニケーションが取れるので安心です。酸素が吹き込まれるホース型の装置もあります。冷房のスイッチ、ミニライトや緊急のボタンなど必要な物はそろっているようです。
気圧を表示するモニターの数値が見る見るうちに上昇。同時に耳に違和感が……。飛行機に乗ったときと同じような現象です。一生懸命耳抜きをしますが、苦手な僕はかなり苦戦。耳がキーンとする状態が続き、気圧が1.2に到達。
それくらいから耳の違和感も落ち着き、水深2m相当の気圧の世界での60分間の旅が始まりました。本を読んだり、携帯やタブレットで仕事をする人もいるとのことですが、僕は当然そんな準備も余裕もありませんので、ただただ手を前に組んでジッとしていました。
さて、ここでこの酸素カプセルの健康効果についておさらいしておきましょう。
記憶力の向上 |
全身の酸素消費量の20~25%は脳で消費すると言われています。
脳の働きが活発になると、通常よりたくさんの酸素が必要となります。
そして、酸素が十分に供給されると、脳は活発に働いているα波を出している状態になります。
この状態は、集中力や記憶力が高まっていることを示します。 |
乳酸の分解 |
疲れは、筋肉に乳酸が溜まっていくと感じるようになってしいます。
肩のコリや身体のだるさも乳酸の仕業です。
酸素はこの乳酸を炭酸ガスと水に分解して体外へ排出します。
プロ野球チームやサッカーチームなどが酸素カプセルをチーム内に設置しているのは、
この効果を狙ってのことが多いのです。 |
ダイエット |
糖分や脂肪を燃焼させる脂肪分解酵素のリパーゼが活動するためには、十分な酸素が必要です。
酸素を身体に取り込むことで、新陳代謝をアップさせ、脂肪燃焼を促進し、普段の基礎代謝が高まります。
また、体内の脂肪量には脳内の物質も関係してきます。
脳に酸素を大量に取り込むことで、身体の脂肪量を調節する脳内物質のレプチンが増えてくるといわれています。
このレプチンが正しく働くことで、余分な脂肪を溜め込まないように脳が身体に指令を出してくれます。
そうすることで、太りにくい体質を作ることにもつながるのです。 |
ケガの回復 |
イングランド代表のサッカー選手、ベッカム選手が、ワールドカップ直前に骨折をした後、驚異的な回復を見せました。
この時ベッカム選手が使ったといわれるのが高気圧酸素療法です。
酸素カプセルも、ケガの回復には同じような効果があるといわれています。
というのも、筋肉や靭帯の損傷や骨折などで傷ついた細胞を再生するには、多くの酸素を必要とするからです。
また、手足の末端にまで届く溶解型酸素は、細胞の活動を活発にし、血行を促進します。 |
健康肌へのサポート |
酸素カプセルで細胞に届けられる溶解型酸素は毛細血管も通りやすいため、皮膚細胞の活性化も期待でき、新陳代謝も活発になるため、皮膚の再生サイクルが正しく整えられ、美肌効果が期待できます。 |
(以上、株式会社タイムワールドHPより)
当然、個人差はあるかと思いますが、以上のような効果が期待できるとのことです。特にお店の方がおっしゃっていたのは、二日酔いの回復に効果的で、眼球の充血や眼精疲労もなくなるということです。この酸素カプセル効果は72時間持続するようなので、定期的に週2回通うことでより効果が出るというのがお店の方の見解です。でも気になるのは自ら実感できる効果ですよね!
1.2気圧の不思議な世界
さて、酸素カプセル初体験ということもあり、カプセル内で何をしてよいのか分からない僕はとにかくじっとしてただけ。カプセルの中だからなのか、気圧が理由なのかは分かりませんが、時間が経過する感覚がマヒしていたような気がします。全くもって時間の感覚がない! 60分間何もすることがないと、だいたい携帯を触ったり、普段あまり考えたりしないような余計なことを考えたりしそうですが、頭の中は完全に無の状態。最後の方は寝ていたのか起きていたのかも分からないほどで、あっという間に60分が経過。60分間の時間が切り取られたような感覚のままカプセルから出ると、何ともスッキリした気分と体内がなんだかザワザワしているような感じがしました。
お店の方から頂いたジャスミン茶を飲みながら、あらためて頭の中がスッキリしていると思いました。今回は、特にすごい疲労感があったとか二日酔いだったとかではなかったので、直接的に実感できる効果はなかったのですが、直感的に、「また入りたい」と思えるような空間だったことは確かです。体が再度入りたがっている。これってかなりすごいこと。そして、5日後に再びカプセルの中へ!
1.3気圧にチャレンジ!
1.2気圧の世界では物足りず、好奇心旺盛な僕は、早速5日後に1.3気圧の酸素カプセルに挑戦してきました。この1.3が酸素カプセルで一般的に提供することができる最大値のようです。
2回目となると、不安や緊張感はなく、むしろ期待感しかありませんので、身も心も完全に委ねることができると思ったのですが、1.3の壁はなかなか厚かった! 1.3に上昇する時間を今回割と早く設定してもらったため、5分くらいの間でどんどん気圧が上昇。そもそも耳抜きが苦手なので、気圧の上昇についていけず、ものすごい耳の痛みを覚えました。かなり苦しかったのですが、気圧が1.3に到達すると、だんだん慣れてきて、次第にリラックス。前回同様、いや、それ以上に体が再生し、整えられている感じがしました。身も心もキュッとなるんです。その日も、集中力の高い1日を過ごすことができました。
私たちの目では見ることのできない空気中の酸素や二酸化炭素。気圧も同様です。目では見えないから、体や細胞や脳で感じるしかありません。体は、体が欲しているものや必要としているものに対して敏感で正直であり、常にアンテナを張っています。体がマッチしたという感覚はとても大切だと思います。一方、そんな感覚はさまざまなダイエット法や健康法を試していても健康法がある中でもなかなか出会えるものではありません。今回の酸素カプセルは、体も脳も全身の細胞もハッピーな感覚になれるような不思議な空間でした。その意味ではかなり貴重な体験。ちなみに、1.3気圧は、胎内とほぼ同じ気圧だそう。なんだか納得ですね!
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