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消化機能を改善するタンパク質分解酵素を充実させる方法。
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消化機能を改善するタンパク質分解酵素を充実させる方法。

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・特に高齢者に不足がちなタンパク質分解酵素の機能
・食品に含まれるタンパク質分解酵素
・消化不良やその他期待が出来る効果とは?
・サプリメントを摂取する際の注意点
 

 

消化や吸収、代謝、分解、排泄など、体内で起こる化学反応を加速させる触媒機能を有するタンパク質である酵素にはたくさんの種類がありますが、特に大切なものの一つに主に消化を助ける働きをするタンパク質分解酵素があります。お肉をたくさん食べると消化不良を起こすと感じている人も多いのではないでしょうか?日本では、消化を助けるために消化酵素を食事とともに摂取する習慣は広まっていませんが、欧米ではかなり浸透していて、消化力の落ちた高齢者などによって様々な消化酵素のサプリが使用されています。そんな消化酵素の中でも、今回は、タンパク質分解酵素についてお伝えします。

 

タンパク質分解酵素の機能とは?

肉や魚や卵などに含まれるタンパク質を消化しアミノ酸に分解するのを助けるタンパク質分解酵素は、ペプチダーゼ、プロテアーゼまたはプロテイナーゼとも呼ばれ、細胞分裂、血液凝固、免疫機能、タンパク質のリサイクル等、体内で非常に細やかで重要な機能も果たします[#]Mótyán, János András, Ferenc Tóth, and József Tőzsér. 2013. “Research Applications of Proteolytic Enzymes in Molecular Biology.” Biomolecules 3 (4): 923. 。人の体内では、主に膵臓で生成されるトリプシンとキモトリプシン、胃で生成されるペプシン[#]“Proteolytic Enzyme.” n.d. Accessed August 3, 2020. https://www.britannica.com/science/proteolytic-enzyme. がありますが、例えば、トリプシンが十分に生成されないと、栄養素を消化または吸収する能力の低下や膵炎[#]“Acute Pancreatitis Pathogenesis.” 2009. December 8, 2009. https://www.news-medical.net/health/Acute-Pancreatitis-Pathogenesis.aspx. などを引き起こす可能性があります。

また、高齢になると肉類や魚介類中心の食生活を敬遠しがちになります。これは、噛む力の低下や持病などが原因として考えられますが、消化液の分泌量が減り消化酵素の作用が弱くなるのも原因の1つとして考えられます[#]Landi, Francesco, Riccardo Calvani, Matteo Tosato, Anna Maria Martone, Elena Ortolani, Giulia Savera, Emanuela D’Angelo, Alex Sisto, and Emanuele Marzetti. 2016. “Protein Intake and Muscle Health in Old Age: From Biological Plausibility to Clinical Evidence.” Nutrients 8 (5). https://doi.org/10.3390/nu8050295. 。タンパク質の摂取が減少することで筋肉量も減少する傾向にあるので[#]Landi, Francesco, Riccardo Calvani, Matteo Tosato, Anna Maria Martone, Elena Ortolani, Giulia Savera, Emanuela D’Angelo, Alex Sisto, and Emanuele Marzetti. 2016. “Protein Intake and Muscle Health in Old Age: From Biological Plausibility to Clinical Evidence.” Nutrients 8 (5). https://doi.org/10.3390/nu8050295. 、しっかりとタンパク質を摂取する必要がありますが、同時に消化酵素の補充も心掛ける必要があります。

 

 

食品に含まれるタンパク質分解酵素とは?

体内でも生成されるタンパク質分解酵素ですが、食品からも摂取が可能です。特に、パパイヤにはプロテアーゼ、パイナップルにはブロメラインと呼ばれる強力なタンパク質分解酵素が含まれています。よく南国の料理でお肉と一緒にパイナップルを食べたりしますが、これは消化吸収を促進させるため[#] “[キウイフルーツの消化促進効果に関する研究動向].” n.d. Accessed August 3, 2020. https://www.jstage.jst.go.jp/article/eiyogakuzashi/72/6/72_292/_pdf. 。しかし、これらのフルーツは糖質が高めだったり日本ではお値段も高めだったり。どうしても食品から摂取をしたいのであれば、タンパク質分解酵素であるプロテアーゼが含まれている生姜がおススメ[#]“Website.” n.d. Accessed August 3, 2020. https://www.researchgate.net/publication/286019913_Properties_of_proteol.... 。消化器系の調子の改善も期待ができます[関連記事:風邪対策時だけじゃない!?生姜に隠されたさまざまな健康効果とは?]。また、キャベツを漬けた発酵食品のザワークラフトやキムチも、発酵プロセスの際にタンパク質分解酵素が発生すると言われています[#]Swain, M. R., M. Anandharaj, R. C. Ray, and Parveen Rani R. 2014. “Fermented Fruits and Vegetables of Asia: A Potential Source of Probiotics.” Biotechnology Research International 2014. https://doi.org/10.1155/2014/250424.  [#]Muss, C., W. Mosgoeller, and T. Endler. 2013. “Papaya Preparation (Caricol®) in Digestive Disorders.” Neuro Endocrinology Letters 34 (1). https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/23524622/.

 


 

 

消化不良の改善だけじゃないタンパク質分解酵素の効果

タンパク質分解酵素の最も一般的な効果は消化と吸収の改善。IBS(過敏性腸症候群)患者126人を対象に行われた研究では、パパインタンパク質分解酵素が、ガス、便秘、腹痛等の一般的な消化不良の症状を軽減する可能性があることが示されています[#]“[耐酸性を有する乳酸菌の検索].” n.d. Accessed August 3, 2020. https://www.jstage.jst.go.jp/article/jhej/58/6/58_6_337/_pdf. 。また、アミラーゼやプロテアーゼ等の酵素群と食物繊維の一種であるβグルカン、ビタミンB群の1種である栄養素のイノシトールを混ぜたサプリメントを摂取したIBS患者の消化機能が改善された研究結果や[#]“Effect of Beta-Glucan, Inositol and Digestive Enzymes in GI Symptoms of Patients with IBS.” 2012. October 17, 2012. https://www.europeanreview.org/article/957. 、ブロメラインが潰瘍性大腸炎やクローン病などの炎症性腸疾患の炎症を軽減する可能性を示す研究結果もあります[#]Onken, Jane E., Paula K. Greer, Brian Calingaert, and Laura P. Hale. 2008. “Bromelain Treatment Decreases Secretion of Pro-Inflammatory Cytokines and Chemokines by Colon Biopsies In Vitro.” Clinical Immunology 126 (3): 345.

また、ブロメラインは、術後の腫れや痣などの回復の有効性[#]Ho, Derek, Jared Jagdeo, and Heidi Waldorf. 2016. “Is There a Role for Arnica and Bromelain in Prevention of Post-Procedure Ecchymosis or Edema? A Systematic Review of the Literature.” Dermatologic Surgery: Official Publication for American Society for Dermatologic Surgery [et Al.] 42 (4): 445–63.  [#]“SAGE Journals: Your Gateway to World-Class Research Journals.” n.d. Accessed August 3, 2020. https://journals.sagepub.com/action/cookieAbsent. 、カイコに含まれる細菌から抽出されたセラペプターゼは、歯科手術後の腫れと痛みを軽減等[#]Murugesan, K., K. Sreekumar, and B. Sabapathy. 2012. “Comparison of the Roles of Serratiopeptidase and Dexamethasone in the Control of Inflammation and Trismus Following Impacted Third Molar Surgery.” Indian Journal of Dental Research: Official Publication of Indian Society for Dental Research 23 (6). https://doi.org/10.4103/0970-9290.111243. 、炎症を抑える効果があると言われています。

このように、タンパク質分解酵素には、主に消化不良の改善と炎症を抑える2つの効果が期待できるのです。

 

糖質が気になる人はサプリメントで。

上記に述べたパパイヤやパイナップルは果糖をはじめとした糖質の多さが気になります。そこで注目されるのがサプリメント。タンパク質分解酵素はサプリメントでの摂取も可能ですが、アメリカの薬品や化粧品の安全性や有効性を承認する公的機関であるFDA(アメリカ食品医薬品局)では認証されていません。そのため、さまざまな種類の酵素がブレンドされた品質の保証が不明なサプリメントが出回っていることが多いので注意が必要です。定評のあるブランドのものを選ぶか、アメリカの製品試験、検査、認証機関であるNSFに認証されたこのような商品を選ぶのも一案。また、上記で述べたように、タンパク質分解酵素のサプリメントには、消化の改善や炎症の改善といったように用途によって種類が分かれるため、購入前に用途や成分表をしっかりと確認し、食事の直前、もしくは食事と一緒に摂取すると効果的です[#]“When to Take Digestive Enzymes: Just as Important as Which You Take – Deerland Probiotics and Enzymes.” n.d. Accessed August 3, 2020. https://www.deerland.com/chew/when-to-take-digestive-enzymes/. 。代謝物がある場合のみ機能しますので、食事をしない時やタンパク質を摂取しない時は効果が出ませんのでサプリメントの摂取を控えるように。推奨摂取量の確認も忘れずに!

 

 

タンパク質分解酵素の潜在的な副作用

タンパク質分解酵素は、一般的に安全と言われていますが、大量に摂取すると下痢や吐き気や嘔吐などの問題が起こる可能性があります[#]“Proteolytic Enzymes.” n.d. Accessed August 3, 2020. https://www.mskcc.org/cancer-care/integrative-medicine/herbs/proteolytic.... 。よって、サプリメントでの摂取の際は推奨量をしっかりと守り、同時にタンパク質分解酵素を含んだ食品を食べる場合はその分摂取量を調整しましょう。また、ブロメラインによるアレルギー反応[#]Kampen, V. van, R. Merget, and T. Brüning. 2007. “[Occupational Allergies to Bromelain].” Pneumologie 61 (3). https://doi.org/10.1055/s-2006-955001. 、ワルファリンなどの抗凝固薬を妨害する可能性も[#]Norwood, D. A., C. K. Parke, and L. R. Rappa. 2015. “A Comprehensive Review of Potential Warfarin-Fruit Interactions.” Journal of Pharmacy Practice 28 (6). https://doi.org/10.1177/0897190014544823. 。特定のお薬を服用している人は、医師に相談してから摂取しましょう。

 

タンパク質分解酵素の活用法~まとめ~
多くの人が悩まされている消化器系の不調の原因や改善方法はさまざま。体内で重要な役割を果たすタンパク質分解酵素を補充することは、消化の不調の改善方法の1つになる可能性があります。食事から摂取する場合は生の生姜のすりおろしや、糖質の量に注意しながらパパイヤやパイナップルの果物類。よりおススメなのがサプリメントからの摂取で、品質の良いものを選び容量には注意するように。

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