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便利なカット野菜は実は加工食品?その安全性は?
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便利なカット野菜は実は加工食品?その安全性は?

geefee ポイント geefee ポイント

・次亜塩素酸ナトリウムで殺菌されているカット野菜
・懸念すべきカット野菜を殺菌する際に発生する化学物質のトリクロロメタン(クロロホルム)やDBP(消毒副生成物)
・殺菌処理した際の細菌数や栄養素は?

 

スーパーやコンビニなどで売っているサラダ仕立てのカット野菜。共働きの家庭や、日々忙しく過ごしている人にとって、下準備の手間が省けて非常に便利な食材。生野菜を切って詰めただけのような印象があるこのカット野菜ですが、実はそうでもないのです。今回は、このカット野菜の安全性にフォーカスしていきます。

 

次亜塩素酸ナトリウムで殺菌されているカット野菜

加熱せずに袋詰めにされるカット野菜は、調理過程における重要管理事項として厚生労働省より殺菌が義務付けられています。よって、このカット野菜は生野菜ではなく、加工食品に分類されます。この殺菌の工程で使用されているのが次亜塩素酸ナトリウム液。大腸菌などの細菌の増殖リスクを抑える等、品質と安全性を保持するために重要な働きがあるのですが[#]“Bactericidal Effects of Fresh-Cut Vegetables and Fruits after Subsequent Washing with Chlorine Dioxide” n.d. Accessed March 3, 2021. https://www.researchgate.net/publication/267772142_Bactericidal_Effects_.... 、問題はこの次亜塩素酸ナトリウム液自体の安全性。アメリカでは日本と同様に使用されていますが、ヨーロッパではその安全性が疑問視され使用禁止となっています。

 

カット野菜を殺菌する際に発生する化学物質のトリクロロメタン(クロロホルム)やDBP(消毒副生成物)

製紙工場、有害廃棄物工事や埋め立て地などから放出されるトリクロロメタン(クロロホルム)は、目、皮膚、肝臓、腎臓、神経系に害を及ぼす可能性がある化学物質。工事現場で働く人がトリクロロメタンを吸引し健康リスクに繋がる可能性がアメリカのCDC(アメリカ疾病対策予防センター)によって指摘されています。さて、上記の次亜塩素酸ナトリウムとpH調整剤として広く加工食品に使用されているクエン酸とが化学反応を起こしてこのトリクロロメタンが発生することが研究で分かっています[#]“Formation of Trichloromethane in Chlorinated Water and Fresh-Cut Produce and as a Result of Reaction with Citric Acid.” 2015. Postharvest Biology and Technology 109 (November): 65–72. 。pH調整剤としてこのクエン酸がすべてのカット野菜に使用されているかどうかは不明ですが[#]藤村亮太郎, and 山川真美. 2012. カット野菜の製造方法. WIPO 2012073835:A1. World Patent, filed November 25, 2011, and issued June 7, 2012. https://patentimages.storage.googleapis.com/e7/b3/83/595699fb76f01c/WO20.... 厚生労働省では特に規制がされていないため、使用されていても不思議ではありません。

また、次亜塩素酸ナトリウムが化学反応を起こすのはクエン酸だけではありません。野菜に含まれる有機物も次亜塩素酸ナトリウムに反応し消毒副生成物であるDBP(フタル酸ジブチル) が生成されることも[#]“Formation of Disinfection Byproducts in Wash Water and Lettuce by Washing with Sodium Hypochlorite and Peracetic Acid Sanitizers.” 2019. Food Chemistry: X 1 (March): 100003. 。このDBPは毒性が強く、心臓に悪影響を与える化学物質です[#]“Exposure to DBP Induces the Toxicity in Early Development and Adverse Effects on Cardiac Development in Zebrafish (Danio Rerio).” 2019. Chemosphere 218 (March): 76–82.

また、このトリクロロメタン(クロロホルム)やDBPは、水道水で洗浄することで濃度のレベルを減少させることができると言われています[#]久保田浩樹, 佐藤恭子, 佐々木伸夫, 河村葉子, 小関良宏, and 穐山浩. 2012. “次亜塩素酸ナトリウム処理によるカットキャベツからの揮発性ハロゲン化合物の生成.” 日本食品化学学会誌 19 (2): 94–103.  [#]“Formation of Disinfection Byproducts in Wash Water and Lettuce by Washing with Sodium Hypochlorite and Peracetic Acid Sanitizers.” 2019. Food Chemistry: X 1 (March): 100003. 。「洗わず食べれる」や「洗って食べましょう」といった表示をカット野菜の商品のパッケージでよく見かけますが、どうしてもカット野菜を使用する際は、必ずよく洗浄することをおススメします。

 


 

 

殺菌処理した方が細菌数が増えて栄養素が減る?

ここに興味深い研究結果があります。
塩素を使用した殺菌処理、無塩素処理のカットキャベツを10℃で4日間保存したところ、塩素処理したキャベツの細菌数が無塩素処理のキャベツに比べて激増したのです。

 

  生菌数(個/g)
無処理 400,000
無殺菌 200,000
10分浸漬 1,000,000
20分浸漬 9,300,000
30分浸漬 8,600,000

 

無処理=カットのみ
無殺菌=カット+水処理

 

また、塩素処理の時間が長ければ長いほど細菌数が増えたという驚くべき結果に。10℃といえば冷蔵庫位の温度です。

この原因は、塩素処理によりキャベツ本来の抗菌作用が壊れたことによると報告されています[#]“[次亜塩素酸ナトリウムによるカットキャベツの殺菌と日持ちへの影響].” n.d. Accessed March 3, 2021. http://202.238.149.18/periodical/reseach/24/N24P044.pdf. 。塩素処理方法や時間によっては更に悪化する可能性も考えられ、ニンジンやタマネギも抗菌作用を持つのでキャベツ以外の野菜でもこういった結果が起こるかもしれません。

日本ではカット野菜は安全だとされていますが、上記のようなデータがあることは無視できません。少なからず体に悪影響を与えていると考えられます。

また、カット野菜の栄養価ですが、この同じ研究でビタミンCの減少を比較したところ、

 

塩素処理によるビタミンCの変化(10℃ 4日間貯蔵後)

  全ビタミンC(mg/100g)
無処理 48.95
無殺菌 47.05(100)
10分浸漬 40.14(85.3)
20分浸漬 38.66(82.2)
30分浸漬 38.16(81.1)

 

塩素処理することで若干ビタミンCが失われているのが分かります。これも、塩素処理が長ければその分ビタミンCを損なうことに。横着せずに、カットされていない野菜を買って自分で調理するのが一番なのです。

 

 

まとめ~便利なカット野菜は実は加工食品?その安全性は?~
カット野菜を使用する理由は、手間が省けるから、ですよね。しかし、その手間が省けた分、体には多少なりとも有害物質が入り込んでいる可能性があることを忘れてはいけません。解決策は簡単。野菜は新鮮なものを丸ごと買って自ら洗ってカットすること。可能な範囲で体への害が少ない選択肢を日ごろから実践し、これを積み重ねることで健康に向かうのだということを積極的に意識していきましょう。

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