これまでにシアバター配合のハンドクリームやリップクリームを使ったことはありますか? シアバターを配合したプロダクトは確かに皮膚をしっとりと潤わせてくれます。漠然と肌にいいというイメージもありますが、その製法や成分を知ると、もっとシアバターのとりこになるでしょう。
シアバターが原産地から世界中に広まるまで
シアバターとは、西アフリカから中央アフリカに生息するシアーバターノキの実から採れる植物性油脂のことです。地元の人たちは、シアバターを食用油脂として利用したり、厳しい日差しから肌や髪を守るために全身に塗ったりしています。そのほか、けがの手当てや赤ちゃんのボディケアに使われるなど、シアバターは昔から日常生活に欠かせない万能薬のような存在でした。
1980年代、西アフリカを訪れたヨーロッパの化粧品メーカーがその効能に着目し、さまざまなスキンケアアイテムを開発、今では誰もが知る化粧品原料となっています。また、西アフリカ諸国でも有力な輸出品目としてシアバターの生産が根付いてきました。
シアバターはどうやって作られる?
シアバターは、実の中にある種子の胚の部分から作られます。熟して地面に落ちたシアバターノキの実を女性たちが拾い集め、粉砕、焙煎したのち、脂肪分を丁寧に抽出します。
それぞれの工程で卓越した技術が必要とされるので、品質維持のために現在も大部分の工程が手作業で行われています。また、シアバターの製造は、ほとんどが女性の手によって行われるため、フェアトレードによりアフリカ女性の自立をサポートする活動も活発です。
シアバターの7つの有効成分
このようにシアバターは作り手を大事にする活動も盛んですが、それはシアバターがとても優れたスキンケア原料であるからこそです。シアバター(未精製)の主な成分は、次の7つといわれています。
ステアリン酸
抗酸化作用に優れた脂肪酸で、肌を保護してくれます。
オレイン酸
人間の皮脂にも含まれる飽和脂肪酸で、肌なじみが良く、高い保湿力を誇ります。
トリペンテンアルコール
肌を柔らかく保つ成分です。
アラントイン
抗炎症成分で、肌荒れを改善します。
カロテノイド
皮膚や粘膜の修復を助ける成分です。
トコフェロール
天然のビタミンEで、抗酸化作用があります。アンチエイジング成分として衰えた肌を活性化する働きがあります。
桂皮酸
UVケア効果を持つ天然成分です。
肌なじみの良いオレイン酸がブースターのように働き、これら天然の有効成分を角質層に導き、肌や髪を健やかにしてくれるというわけですね。まさに天然の美容クリームです。
未精製vs精製 そのメリットとデメリットは?
有名なシアバタークリームの缶を開けると、中には白いクリームが入っています。これは精製されたシアバターの色で、精製の度合いにより色や香りが違ってきます。未精製でオーガニック認定を受けたシアバターは、ベージュや黄色に寄った色合いで、野性味のある甘いナッツのような香りがします。手触りはコクがあり、少しザラつきを感じるものもあります。ここから精製を重ねていくと、色はより白く、特徴のある香りは取り除かれて無臭に近くなり、なめらかなテクスチャーになります。
未精製のシアバターは、不純物を含んでいます。そのため肌の敏感な方は刺激を感じることがあるかもしれません。しかし、不純物とされるものは、カロテノイド、クロロフィル、レシチン、トコフェロール(ビタミンE)など、いわゆるスキンケアにとても有用な成分ですから、未精製シアバターのほうが栄養をたっぷり含んでいるといえます。
逆に、敏感肌や子どもには、刺激成分を取り除いた精製シアバターを選ぶほうが無難といえるでしょう。その場合、溶剤を使わない精製技術や、オーガニック認定されている精製シアバターを選ぶことをお勧めします。未精製と精製のシアバターを使い比べたら「えっ?これが同じシアバターなの?」と思うほどの違いを感じることでしょう。
灼熱のアフリカで人々の肌を守り続けてきたシアバター。ショップの棚にはさまざまなシアバタークリームや石鹸が並んでいます。あなたの肌や髪だけでなく、シアバターの作り手にも潤いが届く製品を見つけに行きませんか?
著者プロフィール |
-原澤さゆり-
九州在住のフリーライター。勤め人時代に10年ほど大阪に住み、ポジティブ思考を叩きこまれる。掌蹠膿疱症にかかるも、トライ&エラーをおそれず様々な角度から自分の肌と向き合い寛解。「肌が楽だと生きるのが楽」をモットーに執筆活動中。
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