ケトジェニックダイエットで不足する栄養素と適切な食品とは？

geefeeではウェブサイト開設当初からケトジェニックダイエットに関して定期的な記事やYOUTUBE動画を配信して情報を発信しつづけています。geefee読者の中でも、ケトジェニックダイエットを行っている人も多いのではないでしょうか？

適度なタンパク質、低糖質、そして高脂質の食事をすることで知られているこのケトジェニックダイエットにも、ケトフルーやダーティケトなどさまざまな注意点や懸念すべき点がありますが、今回は、ケトジェニックダイエットを行う際に不足する可能性のある栄養素とこれを補うのに適した食品にフォーカスを当ててみました。

ケトジェニックダイエットで不足がちな栄養素は？

多くの食品に糖質が含まれているため、ケトジェニックダイエット中は食事の種類がかなり制限されます。食事が制限されると潜在的に特定の栄養素も不足がちになり^{[#]Calton, Jayson B. 2010. “Prevalence of Micronutrient Deficiency in Popular Diet Plans.” Journal of the International Society of Sports Nutrition 7: 24.} 、健康にさまざまな悪影響を与える要因となりえます。

特に、以下の微量栄養素が低炭水化物ダイエットにおいて推奨摂取量に大幅に満たない傾向があることが分かっています^{[#]pubmeddev, and Et al Desrosiers TA. n.d. “Low Carbohydrate Diets May Increase Risk of Neural Tube Defects. - PubMed - NCBI.” Accessed February 20, 2020. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/29368448.} 。

葉酸（ビタミンB9）

ビタミンB群の一種である葉酸は、エネルギー生産、ホルモンバランス、遺伝子発現、気分制御等に関与するメチル化の基質となる物質です。葉酸レベルが低いと、認知機能障害、うつ病、疲労、および認知症、脳卒中、心臓病のリスクが高くなります^{[#]“Office of Dietary Supplements - Folate.” n.d. Accessed February 20, 2020. https://ods.od.nih.gov/factsheets/folate-HealthProfessional/.} 。また、葉酸とビタミンB6は互いに補因子であるため、豚肉や牛肉などのケトジェニック食から十分なビタミンB６が摂取されたとしても、葉酸が不十分であるとせっかく摂取したビタミンB6が機能しない可能性があります。

葉酸を多く含む食品：肝臓、卵黄、ナッツ、種子、アボカド
サプリメント：葉酸サプリメントではなく、体に吸収されやすい5-メチルテトラヒドロ葉酸サプリメントを選ぶようにしましょう^{[#] “[ENCODE Project Writes Eulogy For Junk DNA].” n.d. Accessed February 20, 2020. http://static1.squarespace.com/static/505e7a18e4b0a01995610030/t/5150982....} 。また、お肉をあまり食べない人はビタミンB6のサプリメントの摂取も忘れずに。400μg/日

電解質：ナトリウム、マグネシウム、カリウム

炭水化物を避けることで、エネルギー貯蔵庫であるグリコーゲンの貯蔵量が著しく減少します。グリコーゲンを保存するためには大量の水分を必要とするため、体がケトーシス状態に入るとこの水分が不要になり、水分とともに肝臓がナトリウムやマグネシウム、カリウムなどのミネラルが排泄されてしまいます。これにより、筋肉のけいれんや頭痛などが起こることがあります^{[#]Masood, Wajeed, and Kalyan R. Uppaluri. 2019. “Ketogenic Diet.” In StatPearls [Internet]. StatPearls Publishing.} 。

ナトリウムを多く含む食品：食塩
サプリメント：海塩やヒマラヤ塩　1,500-2,300 mg /日

マグネシウム多く含む食品：緑黄色野菜全般、アーモンド
サプリメント：クエン酸マグネシウムやグリシン酸マグネシウムなど　400 mg /日

カリウムを多く含む食品：ほうれん草、葉物野菜、サツマイモ
サプリメント：塩化カリウム粉末　2000 mg /日

ビオチン（ビタミンB7）

卵黄、肉、サーモンなど、ケトジェニックダイエットに適した食品に含まれる水溶性ビタミンのビオチン^{[#] “ビオチン.” 2018. Linus Pauling Institute. June 4, 2018.} は、不足しないように思われがちですが、マウスの研究で、ケトン補給食中のマウスが7週間後にビオチン欠乏症を発症。9週目には、脱毛や皮膚炎などの症状が現れたことが分かっています^{[#]pubmeddev, and Et al Yuasa M. n.d. “Consumption of a Low-Carbohydrate and High-Fat Diet (the Ketogenic Diet) Exaggerates Biotin Deficiency in Mice. - PubMed - NCBI.” Accessed February 20, 2020. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/24012088.} 。このことで髪や爪の健康に変化が起こる可能性があります。

ビオチンを多く含む食品：肝臓、卵黄、ナッツ、種子、アボカド
サプリメント：ビオチンサプリメント30μg/日 

コリン

炭水化物とたんぱく質を制限し高脂肪な食事を続ける中で、充分なコリン摂取しないと脂肪肝が悪化すると言われています^{[#]Schugar, Rebecca C., Xiaojing Huang, Ashley R. Moll, Elizabeth M. Brunt, and Peter A. Crawford. 2013. “Role of Choline Deficiency in the Fatty Liver Phenotype of Mice Fed a Low Protein, Very Low Carbohydrate Ketogenic Diet.” PloS One 8 (8). https://doi.org/10.1371/journal.pone.0074806.} 。コリンは、肝脂肪代謝の強力な調節因子で、これをもとに肝臓から脂肪を運ぶ働きをする非常に低密度のリポタンパク質粒子が生産されるのです。よって、脂肪を多く摂取するケトジェニックダイエットでは、コリンが不足がちになり、肝臓に脂肪が蓄積される恐れがあります。また、コリンの欠乏は、ビタミンB12、葉酸、メチオニンの不足にも関連してきます^{[#]pubmeddev, and Et al Compher CW. n.d. “Choline and Vitamin B12 Deficiencies Are Interrelated in Folate-Replete Long-Term Total Parenteral Nutrition Patients. - PubMed - NCBI.” Accessed February 20, 2020. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/11833752.} 。

日本では特に推奨摂取量が決められていないコリン。アメリカでは摂取量が不足しているというデータもありますが欠乏にまで至るケースはまれです^{[#]Steven H. Zeisel, Kerry-Ann da Costa. 2009. “Choline: An Essential Nutrient for Public Health.” Nutrition Reviews 67 (11): 615.  [#]“Office of Dietary Supplements - Choline.” n.d. Accessed February 20, 2020. https://ods.od.nih.gov/factsheets/Choline-HealthProfessional/.} 。しかし、ケトジェニックダイエットでは、コリンが通常より欠乏する傾向にあるので注意が必要です。

コリンを多く含む食品：卵、肝臓、肉、貝、ほうれん草
サプリメント：体に吸収されやすいCDP-コリンとアルファ-GPC　メーカー推奨量 
 

また、上記の栄養素だけではなく、下記の栄養素が推奨摂取量以下になりがち、ということが分かっています^{[#]“Low carbohydrate diets may increase risk of neural tube defects” n.d. Wiley Online Library. Accessed February 20, 2020. https://onlinelibrary.wiley.com/doi/pdf/10.1002/bdr2.1198.} 。ケトジェニックダイエット中に何を食べたら良いか迷った際などに活用してみてください。

ケトジェニックダイエット中でもバランスの取れた食事は可能です。もちろん、加工食品や植物油やマーガリンなどの質の悪い脂肪はNG。良質なたんぱく質、脂肪を摂取し、緑黄色野菜も多く摂り、足りない栄養素を補うことを心がけ、正しいケトジェニックダイエットを行うことで、より良いパフォーマンスが毎日出来るように意識を高めていきましょう。