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脂肪(脂質)は太るし不健康という誤解。低脂肪食品が結果的に健康に与える悪影響とは?

脂肪(脂質)は太るし不健康という誤解。低脂肪食品が結果的に健康に与える悪影響とは?

geefee ポイント geefee ポイント

・認知機能の低下リスクを軽減する可能性のある高脂肪食
・脂肪と心臓病や2型糖尿病の関連性とは?
・肥満の原因は高脂肪ではなく高炭水化物
・炭水化物を極力避け食べるべきは良質な脂肪(脂質)

 

脂肪の摂り過ぎは太るし生活習慣病の原因になる、というのは日本では今でも常識。長年にわたり脂肪は悪者扱いされてきましたが、欧米では、脂肪が不健康であるなんていうのはナンセンスというのが新たな常識とされ、脂肪はむしろもっと摂るべきだということが多くの専門家により指摘されています。それでも厚生労働省が推奨する脂肪の摂取量は比較的少なめ。欧米であっても国家レベルでは日本と同じように新しい考え方に移れないケースもあって、アメリカもそう。そんな中で私たちはこの脂肪とどう向き合えば良いの?今回は、低脂肪食が健康にどのような悪影響を与えるのかを深堀していきます。

 

厚生労働省が公表している三大栄養素の割合

まずは、厚生労働省が発表している炭水化物、脂質、タンパク質の三大栄養素の推奨摂取量です。geefeeでも推奨している高脂質・低糖質のケトジェニックダイエットの三大栄養素の割合と比較してみました。

 

  厚生労働省 ケトジェニックダイエット
炭水化物 50~60% 5%以下
脂質 20~30% 75%
タンパク質 13%~20% 20%

 

厚生労働省とケトジェニックダイエットでは、糖質である炭水化物と脂質が大幅に逆転しています。ご飯やパンのような炭水化物をたっぷりと食べて、脂質は少なめというのが厚生労働省の示している目標値になりますが、脂質の摂取を抑える理由として、同省は、高脂質食は飽和脂肪酸摂取量を増加させ、飽和脂肪酸は血漿 LDL コレステロール濃度を上昇させ、冠動脈疾患のリスクを高くする、としています。しかし、最近の研究では、これらは間違った古い考え方で、むしろ高脂肪の食事のほうが基本的に健康に好影響を与えることが分かってきています。

 

脂肪は認知機能の低下リスクを軽減

食事が認知機能に与える影響に対する意見は様々で、低脂肪食が認知機能の低下リスクを軽減するという専門家もいますが、ある研究はその逆で、高炭水化物食が認知症の発症リスクを89%増加させ、逆に高脂肪食は認知症リスクを44%減少したことが示されています[#]“Eating Fat, Fighting Alzheimer’s - David Perlmutter M.D.” 2016. June 13, 2016. https://www.drperlmutter.com/eating-fat-fighting-alzheimers/. 。これは、コレストロール値と深く関りがあります。肉などで摂取する脂肪分は高コレステロール食として敬遠されがちですが、そもそも高コレステロールが体に悪影響を与えるというのは古い考え方。むしろ、HDL(善玉コレステロール)は、加齢に伴う認知機能の低下を軽減する可能性があります[#]Svensson, Thomas, Norie Sawada, Masaru Mimura, Shoko Nozaki, Ryo Shikimoto, and Shoichiro Tsugane. 2019. “The Association between Midlife Serum High-Density Lipoprotein and Mild Cognitive Impairment and Dementia after 19 Years of Follow-Up.” Translational Psychiatry 9 (1): 1–9. 。悪いのはLDL(悪玉コレステロール)。以前の記事を参考にしてみてください。また、高脂肪摂取による高コレステロールが起因の心臓も懸念されていますが、次のセクションで説明していきます。

【関連記事】「実は食事のコレステロール量を制限する必要はない、って本当?コレステロールの新常識
 

 

飽和脂肪酸と心臓病のリスク

チーズなどの乳製品や肉に含まれている飽和脂肪酸。心臓病のリスクを高める脂質として脂肪酸の中でも特に悪者扱いされています。でも、よく見ると、飽和脂肪酸は、確かにLDLを上昇させますが、それと共にHDLも上昇させ、トリグリセリド(中性脂肪)を低下させます[#]Harvard Health Publishing. n.d. “For a Heart Healthy Diet, Don’t Fixate on Fat.” Accessed April 12, 2021. https://www.health.harvard.edu/heart-health/for-a-heart-healthy-diet-don.... 。気になるのはLDLの上昇ですが、LDLの中でも冠状動脈性心臓病のリスクと関連したSmall dense LDLは、むしろ飽和脂肪酸によって減少するため、飽和脂肪酸が心臓の健康に悪いというのは早計と言えそうです。心臓病のリスク軽減のため飽和脂肪酸を不飽和脂肪酸に置き換えることを勧める専門家もいまだに多くいますが、不飽和脂肪酸のほとんどは植物性油。植物性油の持つその他の健康リスクをトータルで考慮すると、不飽和脂肪酸に置き換えることが正しい選択とは言えないでしょう[#]Harvard Health Publishing. n.d. “For a Heart Healthy Diet, Don’t Fixate on Fat.” Accessed April 12, 2021. https://www.health.harvard.edu/heart-health/for-a-heart-healthy-diet-don.... 。どちらにしろ、心臓病のリスクを懸念して脂肪の摂取を抑える必要性はあまりなさそうです。

【関連記事】「おさらいしよう。ほとんどの植物油が健康的ではない理由。

 


 

 

2型糖尿病と脂肪の関係性

2型糖尿病のリスクと関連付けられている高脂肪の摂取ですが、高脂肪食の代わりに高炭水化物食を食べると食後血糖値が急上昇してしまいます。この上昇の度合いを示す指標であるGI値の高い食品のほとんどはご飯やパンなどの炭水化物[関連記事:血糖値の急上昇を抑えるために避けたい高GI食品とは?]。これに対し高脂肪食は低GI食品なのです[#]Steinberg, Helmut O., Frankie B. Stentz, and Nandita K. Shankar. 2018. “Effects of a High-Carb vs. High-Fat Meal on Glycemia, Insulin, Interleukin-6, TNF-Alpha, and Apo-B.” Diabetes 67 (Supplement 1). https://doi.org/10.2337/db18-265-LB. 。高脂肪食が必ずしも2型糖尿病のリスクを抑えるわけではありませんが、低脂肪食、高炭水化物食であるとそのリスクは上がる可能性があるのです。ケトジェニックダイエットが2型糖尿病の血糖管理に対して有意性があることが示唆されていますので、過去の記事を参考に。

【関連記事】「ケトジェニックダイエットは2型糖尿病に良い?悪い?
 

 

肥満の原因は高脂肪ではなく高炭水化物

肥満の原因と思われがちな肉などの脂肪をダイエットの際に避ける人も多くいますが、低脂肪の食事は満腹感が低下し(カロリー不足)、過食する傾向にあるということが研究で指摘されています[#]Harvard Health Publishing. n.d. “Low-Carb, High-Protein Diets.” Accessed April 12, 2021. https://www.health.harvard.edu/healthy-eating/low-carb-high-protein-diets 。例えば、少なめの量の肉に対してご飯をおかわりしてガッツリと食べる人いますよね。十分なカロリーが脂肪で摂取されていないため、結果的に炭水化物で補うはめに。よって、低脂肪食は、高炭水化物食を導く要因になります。ベジタリアン系のダイエットでも同様な理由から超高炭水化物食になる傾向があります。何年か前に流行ったマクロビスイーツなどはこの典型。高脂肪食でカロリーを摂取したら太りそうな印象ですが、体内で素早く代謝されエネルギーとなる炭水化物の量が少なければ、体は脂質をエネルギーとして分解代謝し始めます。いわゆる脂肪燃焼です。これがgeefeeでも推奨している高脂質低炭水化物食のケトジェニックダイエットのメカニズムです[#]“Metabolism and Energetics.” 2007. June 3, 2007. https://healthengine.com.au/info/metabolism-and-energetics. 。一番よくないなのが、高脂質で高炭水化物の食事。余程の量の運動をしない限り代謝されないまま体に蓄積されやすくなります。

【関連記事】「劇的な効果があると話題のケトジェニックダイエットがもたらす体の変化と注意点

 


 

 

気になる乳製品。低脂肪ではなく全脂肪のものを

全脂肪乳製品が健康に悪いという印象が強いのは、上記でも述べた飽和脂肪酸に対する誤解が原因。スーパーなどで市販されている牛乳の多くが低脂肪なため、低脂肪牛乳を飲んでいる読者も多いかと思いますが、ある研究では、低脂肪乳の方が全脂肪乳よりも肥満になるリスクが上がるだけではなく、糖尿病のリスクも上がることが分かっています[#]“[低脂肪乳のほうが脂肪分が少なく健康的?].” n.d. Accessed April 12, 2021. https://www.j-milk.jp/knowledge/food-safety/h4ogb40000005yxi-att/a161733.... 。ただ、日本では全脂肪ミルクを手に入れるのは比較的困難な上に、全脂肪乳であっても牛乳自体に一定の健康リスクが伴うことは覚えておきましょう。乳製品の代わりに、飽和脂肪酸のMCT(中鎖トリグリセリド)が豊富に含まれているココナッツミルクのほうが健康に良い場合が多いので、牛乳の代わりに料理などに活用してみては?

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大切なのは良質な脂肪(脂質)をしっかり食べること。

一概に脂肪と言っても種類はさまざまありますよね。脂肪であればなんでも良いわけではありません。例えば、脂肪が豊富な供給源の1つでもある調理油。上記のセクションでも少し触れましたが、オメガ3とオメガ6の摂取バランスが崩れる恐れのある一般的な植物性油は、酸化もしやすく可能な限り避けたい油。それよりも、オリーブオイルやアボカドなどの一価不飽和脂肪酸や、MCTオイル、バター、ココナッツ油などの飽和脂肪酸を摂取するようにしましょう。特に摂取をさけるべき最悪な油はトランス脂肪酸。さまざまな健康リスクが懸念されています[関連記事:日本では先進諸国では珍しく規制されてない。でも絶対避けたい身近なトランス脂肪酸食品。]。ほとんどの加工食品には、安価な植物性油やトランス脂肪酸が使用されています。意外な加工食品にも含まれているので、必ず成分表示を見るようにしましょう。あと、どんなに体に良い油を使っていても揚げ物は健康にとってものすごくマイナスなので是非控えましょう。

 

では、良質な脂肪にはどんな食品があるのでしょうか? 以下にまとめてみました。

 

 

良質な脂肪が含まれた食品は非常に限られているので、上記のような食品をあまり食べていない人は、低脂肪な食事パターンの傾向か質の悪い脂肪を摂取しているかのどちらかでしょう。同時にタンパク質も摂取できる食品も多いので、バランスよく積極的に食べてみてくださいね。

 


 

 

まとめ~低脂肪食品が結果的に健康に与える悪影響とは?~
減量のために脂肪を食べるのを控えているのに、なかなか痩せない、、そういう人はたくさんいるのでは?でも、肥満の原因は低脂肪から誘因される高炭水化物食である可能性があるのです。また、気になるコレステロール値や糖尿病のリスクも低脂肪だからといって回避できるとは言い切れません。むしろ、高脂肪食でしっかりとカロリーを摂取し、炭水化物をしっかり減らすことで体調が好転することが期待できます。その代表的な減量法がケトジェニックダイエット。食事から炭水化物を極力排除し良質な脂肪とタンパク質を摂取することで体調の良い変化を実感できますよ。

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