もっと詳しく!グラスフェッド・ビーフの5つの恩恵とは!?
1. へルシーな脂肪分が豊富
・オメガ3を多く含む
オメガ3は、栄養学的には健康維持に欠かせない必須脂肪酸として位置づけられています。体内で作ることができないため、食事から積極的に摂取するしかないのですが、牧草で飼育された牛は、グレインフェッド・ビーフより比較的多くオメガ3を含むことが着目されています[#]McAfee, A.J. et al., 2011. Red meat from animals offered a grass diet increases plasma and platelet n-3 PUFA in healthy consumers. The British journal of nutrition, 105(1), pp.80–89. 。
・脂肪燃焼作用
グラスフェッド・ビーフには共役リノール酸(CLA)がグレインフェッド・ビーフの約2~3倍多く含まれています[#]Daley, C.A. et al., 2010. A review of fatty acid profiles and antioxidant content in grass-fed and grain-fed beef. Nutrition journal, 9, p.10. 。CLAは健康を促進し、脂肪を燃焼させる機能があるため、体重が気になる方にもお勧めです[#]Gaullier, J.-M. et al., 2007. Six months supplementation with conjugated linoleic acid induces regional-specific fat mass decreases in overweight and obese. The British journal of nutrition, 97(3), pp.550–560. [#]Whigham, L.D., Watras, A.C. & Schoeller, D.A., 2007. Efficacy of conjugated linoleic acid for reducing fat mass: a meta-analysis in humans. The American journal of clinical nutrition, 85(5), pp.1203–1211. 。
・血中コレステロール値を調整
CLAはグラスフェッド・ビーフの最大の栄養価といっても過言ではなく、血中悪玉コレステロールを下げるという研究もあります[#]Derakhshande-Rishehri, S.M. et al., 2015. Association of foods enriched in conjugated linoleic acid (CLA) and CLA supplements with lipid profile in human studies: a systematic review and meta-analysis. Available at: https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/25379623. 。また、グラスフェッド・ビーフは飽和脂肪酸の一種であるステアリン酸も多く含んでおり、こちらも悪玉コレステロール値を下げ、血中コレステロール値を調整する機能性を示しています[#]Bonanome, A. & Grundy, S.M., 1988. Effect of dietary stearic acid on plasma cholesterol and lipoprotein levels. The New England journal of medicine, 318(19), pp.1244–1248. [#]Li, Y. et al., 2015. Transcriptomic Profiling of Spleen in Grass-Fed and Grain-Fed Angus Cattle. PloS one, 10(9), p.e0135670. 。
・血糖値を健康なレベルに
良質な脂質を含む健康的な食事は、血糖値を安定させるということが最近の研究で分かってきています。2016年、『the Journal of Endocrinology and Metabolism』という学術誌において、肥満児に対してCLAが及ぼすインスリン反応の研究が発表されました。CLAを摂取した被験者とそうでない被験者では、CLAを摂取した被験者のほうがインスリンの反応が向上したという結果が出ています[#]Garibay-Nieto, N. et al., 2017. Effects of Conjugated Linoleic Acid and Metformin on Insulin Sensitivity in Obese Children: Randomized Clinical Trial. The Journal of clinical endocrinology and metabolism, 102(1), pp.132–140. 。インスリン感受性が高まることは、血糖値を健康なレベルにコントロールすることにつながります。
2. ホルモン剤・抗生物質の心配が少ない
アメリカでは抗生物質の約80%が肉牛のような家畜に使用されるといいます[#]Martin, M.J., Thottathil, S.E. & Newman, T.B., 2015. Antibiotics Overuse in Animal Agriculture: A Call to Action for Health Care Providers. American journal of public health, 105(12), pp.2409–2410. 。牛舎で飼育されているグレインフェッド・ビーフには、病気の発生を減らし、成長率を高めるため、多くの場合、餌に抗生物質を入れています。日々食卓にあがる牛肉に実は抗生物質が残留している可能性がある…。それを口にする私たち人間への影響はどうなのでしょうか。しかも牛肉を頻繁に食べる人の場合は…?
その点グラスフェッド・ビーフは必要に応じてホルモン剤が投与されることもありますが、広々とした牧草地帯で育つ牛たちには抗生物質は基本的に必要ありません。グラスフェッド・ビーフではホルモン剤や抗生物質の投与量はグレインフェッド・ビーフに比べて格段に少なくなっています[#]Noyes, N.R. et al., 2016. Characterization of the resistome in manure, soil and wastewater from dairy and beef production systems. Scientific reports, 6, p.24645. 。あなたの身の一部になる食べ物だからこそ、気を付けたいですよね。
3. 抗酸化作用
グラスフェッド・ビーフにはカロテノイドやビタミンEなどの抗酸化作用を持つ物質が多く含まれているので、生活習慣病の予防や美容にも良いといわれています。
4. カビ毒の回避
穀物を食べて育った牛や工場で生産される肉には、草を食べて育った牛に比べ、カビの二次代謝産物として産生されるカビ毒(マイコトキシン)が含まれているといわれます。穀物飼料に生えているカビがその最大の原因と考えられていますが、野生の草を食べて育った牛にはその心配がありません[#]Gallo, A. et al., 2015. Review on Mycotoxin Issues in Ruminants: Occurrence in Forages, Effects of Mycotoxin Ingestion on Health Status and Animal Performance and Practical Strategies to Counteract Their Negative Effects. Toxins, 7(8), pp.3057–3111. [#]Alshannaq, A. & Yu, J.-H., 2017. Occurrence, Toxicity, and Analysis of Major Mycotoxins in Food. International journal of environmental research and public health, 14(6). Available at: http://dx.doi.org/10.3390/ijerph14060632. 。
5.牛にも人にも、環境にも良い
グラスフェッド・ビーフはグレインフェッド・ビーフに比べて栄養価が高いことはお話ししましが、グラスフェッド・ビーフは健康に良いだけではありません。環境にも優しい食品なのです。伝統的なグラスフェッド・ビーフの飼育・生産方法は温室効果ガスを削減し、生物多様性を促進するという研究がなされています (異論を唱える学者もいますが)[#]Collins, S.L. et al., 1998. Modulation of diversity by grazing and mowing in native tallgrass prairie. Science, 280(5364), pp.745–747. [#]Koneswaran, G. & Nierenberg, D., 2008. Global farm animal production and global warming: impacting and mitigating climate change. Environmental health perspectives, 116(5), pp.578–582. 。
環境に負担をかけず、また薬剤を投与せずに健康に育った牛、そしてそれを口にする人間にも栄養価の高い食品、それがグラスフェッド・ビーフなのです。
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