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血中脂質のLDL(悪玉)コレステロール値が高い場合の対処法。
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血中脂質のLDL(悪玉)コレステロール値が高い場合の対処法。

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・心筋梗塞などのリスクが伴う可能性のあるLDLコレステロールが上がる主な原因
・ケトジェニックダイエットとLDLコレステロールの関連性とは?
・LDLコレステロールと同じくらい悪いとされる残留コレステロール

 

健康診断を受けたことのある人であれば自分のLDL(悪玉)コレステロールとHDL(善玉)コレステロールの数値を見たことがあると思いますが、血中に含まれる脂肪分であるこれらの血中脂質のうち、特にその数値を注視すべきなのがLDLコレステロールです。血中のLDLコレステロールが増えると血管壁に蓄積しさまざまな疾患を誘発させる可能性があります。このコレステロールを下げるために食事に気を使っている人は多いと思いますが、実際に効果のある方法で実践されているか不安ですよね。飽和脂肪酸を比較的多く摂取する傾向にあるケトジェニックダイエット中の人の場合にはなおのことそうですよね。今回は、誤解されがちなLDLコレステロールについてお伝えしていきます。

 

ポイントはLDLコレステロール値を低く抑えること

コレステロールを抑えるためにコレステロール値の高い肉などを避ける人がいますが、幾つか種類のあるコレステロールの中でも注視すべきなのはその数値が高いと心筋梗塞などのリスクが伴う可能性のあるLDLコレステロール。また、一方で、血管壁にたまったLDLコレステロールなどの余分なコレステロールを取り除き肝臓に戻す働きのあるHDLコレステロールの数値が低いとむしろ心臓病などのリスクが伴い、適切な数値であれば心臓病などの疾患から保護する役割を持ちます[#]n.d. Accessed August 30, 2021. https://medlineplus.gov/magazine/issues/summer12/articles/summer12pg6-7..... 。よって、一番の問題は、HDLコレステロール値が低くてLDLコレステロール値が高いケース。この両者は相対関係にありますが、最近の研究では、HDLコレステロールが増加したからと言って、高めのLDLを相殺できるわけではないということが報告されていますので、LDLコレステロールをいかに上げないか、もしくは下げるかが重要なポイントになります[#]“Rethinking Good Cholesterol.” 2017. July 1, 2017. https://www.health.harvard.edu/heart-health/rethinking-good-cholesterol.

 

LDLコレステロール値が高いと起きやすくなる疾患とは?

肝臓で生成されたワックス状の脂肪物質であるコレステロールは血液を通して全身に運ばれますが、HDLコレステロールは、全身の不要なコレステロールを回収し肝臓に運びこむ役割。一方、LDLコレステロールは動脈壁に蓄積し動脈硬化を引き起こし血管が詰まる原因となります[#]“High Cholesterol.” n.d. Accessed August 30, 2021. https://www.mayoclinic.org/diseases-conditions/high-blood-cholesterol/sy.... 。この状態が放置されると動脈硬化の原因であるプラークが形成され血管がどんどん狭くなりアテローム性動脈硬化症を引き起こすことに。血がドロドロとしている、といった表現がされるのはこういった状態のことです。このアテローム性動脈硬化症は進行すると心筋梗塞や脳梗塞といったリスク要因になりますが、血中のLDLコレステロール値が高いからといって特に自覚症状が伴うわけではないので、健康診断などで少なくとも4年~6年に一度は定期的に検査を行うことがCDC(アメリカ疾病予防管理センター)では推奨されています。若くて健康的だからといっても油断は禁物。特に自覚症状のない健康な成人を対象にした27年間の追跡研究では、LDLコレステロールレベルが高い人の心血管疾患死亡リスクが70%~90%増加というデータがあるので、特に自分のコレステロール値を把握していない人は注意が必要です[#]“Young, Healthy People Still Vulnerable to CVD If Their LDL Cholesterol Is High.” n.d. Accessed August 30, 2021. https://www.sciencedaily.com/releases/2018/08/180820085150.htm.

 

 

LDLコレステロール値が上がる主な原因は?

肥満や運動不足やアルコールや喫煙などがLDLコレステロール値が上がる原因になると言われていますが、食事について言えばトランス脂肪酸は大きなリスク要因の一つ。トランス脂肪酸は以前の記事でもお伝えしたように、HDLコレステロールを減らし、LDLコレステロールを増やすことが多くの研究で示されている脂質です[#]“Trans Fat Is Double Trouble for Your Heart Health.” 2020. February 13, 2020. https://www.mayoclinic.org/diseases-conditions/high-blood-cholesterol/in.... 。スナック菓子やクッキーなどの焼き菓子をはじめ加工肉や揚げ物など非常に多くの加工食品に含まれているので、LDLコレステロール値が高い人は、その他の慢性疾患の危険因子にもなりうるこのトランス脂肪酸を食事から一切排除すべきです。なお、心臓病のリスク要因になるのでは、と議論の的になっている牛肉などの食用肉に含まれている飽和脂肪酸ですが、とかくLDLコレステロール値を上げる食品として多くのメディアで悪い脂質として紹介されています。しかし、LDLコレステロールといっても実は幾つか種類が存在し、飽和脂肪酸が増加させるのは、粒子が大きく比重の軽いlarge buoyant LDL。逆に、LDLコレステロールの中でも動脈硬化性が強い超悪玉コレステロールのsmall dense LDLを減少させる働きがあると言われています[関連記事:賛否両論の飽和脂肪酸の健康への影響。摂取すべき?止めるべき?]。よって、注視すべきLDLコレステロールの中でも特にこのsmall dense LDLを増加させないようにするべきで、特に大きな疾患を抱えていない人であれば、飽和脂肪酸を無理に避ける必要はないのです。避けるべきは、飽和脂肪酸などの肉ではなく、肉などと一緒に食べるフライドポテト等の揚げ物やソーセージなどの加工食品なのです。

 

 

また、LDLコレステロールの酸化は少々やっかい。酸化したLDLは血管壁を傷つけ、血管拡張作用を損なう可能性があります。研究では、オリーブオイルのポリフェノールがLDL参加を減らすことが分かっていますが、ひまわり油などのオメガ6(リノール酸)は、LDL酸化を促進する可能性があることが報告されています[#]DiNicolantonio, James J., and James H. O’Keefe. 2018. “Omega-6 Vegetable Oils as a Driver of Coronary Heart Disease: The Oxidized Linoleic Acid Hypothesis.” Open Heart 5 (2): e000898.  [#]Aguilera, C. M., Mesa, M. C. Ramirez-Tortosa, M. T. Nestares, E. Ros, and A. Gil. 2004. “Sunflower Oil Does Not Protect against LDL Oxidation as Virgin Olive Oil Does in Patients with Peripheral Vascular Disease.” Clinical Nutrition 23 (4). https://doi.org/10.1016/j.clnu.2003.11.005. 。また、酸化油が生成するフリーラジカルは、LDLコレステロール粒子と反応しLDL酸化を引き起こすことが指摘されていますので[#]Jennifer Moll, Phar. n.d. “Understand How Oxidized LDL Cholesterol Affects the Body.” Accessed August 30, 2021. https://www.verywellhealth.com/what-is-oxidized-ldl-698079.  [#]“How to Choose and Use Healthy Cooking Oils.” 2020. October 20, 2020. https://health.clevelandclinic.org/how-to-choose-and-use-healthy-cooking.... 、揚げ物、焼き物などの酸化した油が含まれた食事を避け、適切な油選びを行うことはとても重要なのです。

【関連記事】「揚げ物がタバコと同じくらい健康に悪いと言われる理由

 


 

 

ケトジェニックダイエットとLDLコレステロール

ケトジェニックダイエットとかパレオダイエットを実践すると飽和脂肪酸を比較的多く摂取することになりやすいのですが、ある研究では、低炭水化物及び高脂肪の食事を1年間実践したグループは、HDLコレステロール値が上昇し、総コレステロール、中性脂肪及びLDLコレステロール値が下がったというとても良い結果が報告されています[#]“Effect of Low-Calorie versus Low-Carbohydrate Ketogenic Diet in Type 2 Diabetes.” 2012. Nutrition 28 (10): 1016–21. 。また、肥満患者がケトジェニックダイエットを実践した別の研究でも同じような結果に[#]Dashti, H. M., T. C. Mathew, T. Hussein, S. K. Asfar, A. Behbahani, M. A. Khoursheed, H. M. Al-Sayer, Y. Y. Bo-Abbas, and N. S. Al-Zaid. 2004. “Long-Term Effects of a Ketogenic Diet in Obese Patients.” Experimental and Clinical Cardiology 9 (3). https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/19641727/. 。ただ、3週間という短期的なケトジェニックダイエットの場合、総コレステロール値とLDLコレステロール値が両方とも上がるという結果も報告されているため[#]Retterstøl, K., M. Svendsen, I. Narverud, and K. B. Holven. 2018. “Effect of Low Carbohydrate High Fat Diet on LDL Cholesterol and Gene Expression in Normal-Weight, Young Adults: A Randomized Controlled Study.” Atherosclerosis 279 (December). https://doi.org/10.1016/j.atherosclerosis.2018.10.013. 、長期的にみる必要がありそうです。また、ケトジェニックダイエットの食品の種類は当然飽和脂肪酸だけではありません。アボカド、オリーブオイル、ナッツなどの一価不飽和脂肪酸が豊富に含まれた食品はLDLコレステロールを減らす可能性が研究でも示唆されています[#]Grundy, S. M. 1989. “Monounsaturated Fatty Acids and Cholesterol Metabolism: Implications for Dietary Recommendations.” The Journal of Nutrition 119 (4). https://doi.org/10.1093/jn/119.4.529. 。また、青魚などから摂取できるオメガ3脂肪酸は、中性脂肪の減少を促進する可能性があることに加えてlarge buoyant LDLを増やし、small dense LDLを減らし、HDLコレステロールも増やすという研究結果があります[#]Jennifer Moll, Phar. n.d. “Can Fish and Omega-3 Fatty Acids Lower Cholesterol?” Accessed August 30, 2021. https://www.verywellhealth.com/can-fish-oil-omega-3-fatty-acids-lower-ch.... 。ここで大切なのがオメガ6とのバランス。オメガ3とオメガ6の摂取比率が1:11に比べて1:3の方が上記の効果がより顕著に得られることが分かっているので[#]J. Chris Bradberry, Daniel E. Hilleman. 2013. “Overview of Omega-3 Fatty Acid Therapies.” Pharmacy and Therapeutics 38 (11): 681. 以前の記事でお伝えしたこの両者の適切な比率を極力意識するべきなのです。オメガ3が血液をサラサラにし心臓病のリスクを低めると言われているのはこのため。以前の記事を参考にしてみてください。

 

ちなみにケトジェニックダイエット開始4ヵ月後のgeefeeスタッフの健康診断結果はこちら。

 

 

LDLコレステロールが下がり、HDLコレステロールが上がり中性脂肪が下がっています。LDLコレステロールはもう少し減らす必要がありますが、かなり良い結果です。体重も減りお腹周りもすっきりです。

ただし、極端な数値の異常がある人は食事法だけでは対応しきれない可能性がありますので、必ず食事パターンも含めて医師の指示に従うようにしましょう。逆に、ちょっと数値が高めという程度にも関わらずコレステロールを下げる処方薬(もちろん副作用あり)を勧められた場合には、食事を気を付ければ薬が不要なのではないか、と医師にしっかり確認しましょう。

また、ケトジェニックダイエットがLDLコレステロールを減らすからといって、食事を加工食品に頼るといった間違った方法で実践すると逆効果。正しく実践するようにしましょう。

【関連記事】「そのケトン食ダイエットのやり方は間違っている?「ダーティケト」の問題点から学ぶ食品添加物の害。

 

LDLコレステロールと同じくらい悪いとされる残留コレステロール

研究では、残留コレステロールが虚血性心疾患を引き起こすリスクがLDLコレステロールの2倍だということが分かっています[#] “Study Finds Much Higher Levels of Ugly Cholesterol in Blood than Earlier Thought.” 2019. August 2, 2019. https://www.news-medical.net/news/20190802/Study-finds-much-higher-level.... 。残留コレステロールとは中性脂肪が豊富なリポタンパク質。特に肥満な人の血中にこの残留コレステロールが多く存在していることが分かっているため、肥満気味の人は中性脂肪値にも注視する必要があります。この残留コレステロールは放っておくとどんどん蓄積されるため、最近やや太り気味な傾向や健康診断での中性脂肪値が以前よりちょっと上昇している場合は楽観視せず、早めに対処することをおススメします。

 


 

 

まとめ~血中脂質のLDL(悪玉)コレステロール値が高い場合の対処法。~
血中にどんどん蓄積されていくコレステロール。中でもLDLコレステロールと中性脂肪は放っておくと心臓病のリスクが増加しますので、やや数値が高い程度だからといって放っておくのは得策ではありません。生活習慣の改善を心掛けるのはもちろんですが、ケトジェニックダイエットを実践しているgeefeeのスタッフの健康診断での数値が改善されたように、食事を見直すだけでも改善されることが期待できます。ただし、飽和脂肪酸を摂るのを避けるのではなく、まずはトランス脂肪酸が含まれている食事を一切断ち、炭水化物などの糖質を減らすことからはじめましょう。

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