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最近アメリカで話題の人工肉ハンバーガーって体にいいの?
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最近アメリカで話題の人工肉ハンバーガーって体にいいの?

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・健康面で物議を醸しだしているアメリカで流行ビーガンバーガーとは?
・大豆や加工肉の持つ健康リスクが懸念される人工肉
・食べるなら必須アミノ酸がすべて入ったグラスフェッドミートを

 

日本ではあまり浸透していませんが、海外ではベジタリアンやビーガンなどの食生活は、思想上の理由だけではなく、健康法の1つとしてトレンドになっています。実際にマーケティングによる健康的なイメージに感化された一般の人たちの間でも食生活に取り入れられ、ビーガン食マーケット規模は拡大しています。

海外の流行が時間差で流行する傾向にある日本でも、レストランのメニューなどでビーガン向けの料理が増えるなどの動きが見られます。今回は、最近話題になりつつあるビーガン食、すなわち肉以外の素材を肉に見立てて調理した食事が健康に良いのかどうかに焦点を当てます。

 

植物由来の人工肉を使ったビーガンバーガー

お肉を使用せずにお肉のような味や食感を味わえる人工肉は、一般的に大豆や小麦粉由来のたんぱく質(グルテン)や乳製品、キノコなどを使って作られています。一時期、日本のハンバーガー店「フレッシュネスバーガー」で、大豆をベースにしたベジタリアンバーガーを提供していましたが、最近ではモスバーガーでソイモスという大豆ベースのハンバーガーを販売しています。とはいえ、例えばソイモスの場合だと、原材料に

 

卵、乳、小麦、大豆、牛、鶏肉

 

と表記されていることから見ても、100%植物性というわけではなく、味に関しても、お肉の食感や味がするというよりは、あくまでも、それっぽく仕上げているハンバーガーというのが実際に食べた感想です。そんな中、日本にも上陸間近という噂の「インポッシブルバーガー」が昨年から話題になり始めています。

 

アメリカで今最も話題のインポッシブルバーガーの安全性は?

植物由来の人工肉や乳製品を製造・開発するアメリカの企業「インポッシブル・フーズ」によって開発された人工肉を使用して作られている「インポッシブル・バーガー」は、アメリカや香港で1000以上もの店舗で提供され、アメリカで最も消費されている人工肉バーガーといえます。現代の残酷な工業用畜産産業に対抗することを目指して開発されたこの人工肉、その動機は称賛すべきと思うものの、その食品としての健康面に関して問題提起がなされています。まず、このインポッシブルバーガーの原材料を見てみましょう[#]“What Are the Ingredients?” n.d. Impossible Foods. Accessed March 9, 2020. http://faq.impossiblefoods.com/hc/en-us/articles/360018937494-What-are-t....

 

 

主な原材料
水、大豆タンパク質濃縮物、ココナッツ油、ヒマワリ油、天然香料
 

2%以下
ジャガイモタンパク質、メチルセルロース、酵母エキス、培養デキストロース、食品澱粉変性、大豆レグヘモグロビン、塩、大豆タンパク質分離物、混合トコフェロール(ビタミンE )、グルコン酸亜鉛、塩酸チアミン(ビタミンB1)、アスコルビン酸ナトリウム(ビタミンC)、ナイアシン、塩酸ピリドキシン(ビタミンB6)、リボフラビン(ビタミンB2)

 

人工肉をよりジューシーでリアルな肉に近づけるために使用されている原材料の中には食品添加物が目立ちます。牛肉100%の通常のハンバーガーと比べ、こちらは添加物が多く含まれた加工食品と言えます。また、オメガ6多価不飽和脂肪酸を多く含むヒマワリ油はあまり健康的な原材料とは言えません。

【関連記事】「料理に使う食用油、健康のためにはどれがいいの?代表的な5つの油を徹底比較!

しかし、この中で特に健康被害が懸念されているのが遺伝子組み換えの大豆レグヘモグロビンと大豆タンパク質なのです。

 

遺伝子組み換え成分「大豆レグヘモグロビン」を使っているハンバーガー

マメ科の植物の根粒に存在するヘムタンパク質であるレグヘモグロビンのDNAを使用し、遺伝子組み換えされた大豆をベースに作られたのがインポッシブルバーガー。このレグヘモグロビンは、最終的にはラットの研究により安全性が確認され[#]Fraser, Rachel Z., Mithila Shitut, Puja Agrawal, Odete Mendes, and Sue Klapholz. 2018. “Safety Evaluation of Soy Leghemoglobin Protein Preparation Derived From Pichia Pastoris, Intended for Use as a Flavor Catalyst in Plant-Based Meat.” International Journal of Toxicology 37 (3): 241. 、FDA(アメリカ食品医薬品局 )によって承認を得ていますが、CFS(食品安全センター)は、人に対して安全かどうか十分にテストされていないと主張し訴訟も起こしています。実際に、このハンバーガーを食べてアレルギー反応や胃の不快感などを覚えた事例も報告されているため健康性、安全性に関してはまだまだ疑問が残っている状態です。

また、大豆たんぱく質には、必須アミノ酸で体内で合成できないメチオニンが不足しているため[#]pubmeddev, and Friedman and Brandon. n.d. “Nutritional and Health Benefits of Soy Proteins. - PubMed - NCBI.” Accessed March 9, 2020. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/11312815. 、栄養素の面でもお肉の代替食品として理想的とは言えません。

また、遺伝子組み換えといえば、以前geefeeの記事でも紹介した除草剤との関連性。除草剤に耐えられるように設計された遺伝子組み換えの大豆ですから、その栽培のお過程で多くの除草剤が撒かれます。除草剤の健康被害は周知のとおり。ちょっと心配です。

 

ケンタッキーフライドチキンのお肉も人工肉の時代へ?

アメリカのカリフォルニアに本部を置く、人工肉を製造・開発する食品テクノロジー企業「ビヨンドミート」。アメリカの大手チェーンスーパーマーケット「ホールフーズ」でも販売展開していることで知られています。アメリカで加速する人工肉の人気と需要に伴い、「ビヨンドミート」と「ケンタッキーフライドチキン」が植物ベースのフライドチキンの開発をはじめました。ケンタッキーフライドチキンの社長のKevin Hochmanは、「植物由来のチキンは、従来の鶏肉を使用したフライドチキンと見分けが付かない程忠実に再現可能」、と話しています。また、ビヨンドミートも、「植物由来の食品は、動物由来の食事に関連する健康上のリスクを回避できる良い選択だ」、と主張しています。

しかし、ビヨンドミートの製品には、各種の保存料や着色料、またグルテン等が含まれるため、加工食品に伴う健康リスクがあると考えられています[#]Rico-Campà, Anaïs, Miguel A. Martínez-González, Ismael Alvarez-Alvarez, Raquel de Deus Mendonça, Carmen de la Fuente-Arrillaga, Clara Gómez-Donoso, and Maira Bes-Rastrollo. 2019. “Association between Consumption of Ultra-Processed Foods and All Cause Mortality: SUN Prospective Cohort Study.” BMJ 365 (May). https://doi.org/10.1136/bmj.l1949. 。このケンタッキーの人工肉問題も今後物議を醸し出しそうです。

 

 

グラスフェッドミートで健康的な赤肉を!

すべての自然肉が健康に良いわけでもありません。特に、カビや農薬に汚染され、成長ホルモンが混ざった穀物を食べて飼育されたグレインフェッド・ビーフは、健康の観点からは問題点がないわけではありません[#]Alshannaq, A. & Yu, J.-H., 2017. Occurrence, Toxicity, and Analysis of Major Mycotoxins in Food. International journal of environmental research and public health, 14(6). Available at: http://dx.doi.org/10.3390/ijerph14060632.

また、(全てがそうとは限りませんが)残酷な飼育現場を見れば誰しもベジタリアンになろうかと思ってしまうでしょう。そこで、やはり食べるなら牧草を食べて育ったグラスフェッドのお肉。必須アミノ酸が全て摂れ、その他の栄養素の宝庫である赤肉は貴重な栄養源なのです。食べるなら、健康へのマイナス面が少なくプラス面の多いグラスフェッドのものを。しかも動物愛護的観点からも、牧草飼育の方が動物にとって人道的な飼育方法であることは間違いありません。

【関連記事】「食べるならグラスフェッド・ビーフ! その驚きの栄養価とは!?

 

 

肥満体国アメリカでは、健康志向ブームにのって、人工肉を使ったファーストフードなどが台頭し始めていますが、植物由来で作られた加工食品である肉もどきは、人間が大昔から食べていた本物の肉と比べ、まったく別の食品と捉えるべき。お肉を食べたくない菜食主義の人や健康上の理由でお肉を避けなければならない人が、お肉の食感を味わうためのツールとしては良いかもしれませんが、植物由来=健康という安易なマーケティングの罠にはまらないようにしましょう。加工食品をオススメしないgeefeeとしては、この植物由来の人工肉には大きな疑問を感じます。ハンバーガーを食べたいのであれば、グラスフェッドのハンバーガーが食べれる神宮前のハンバーガー店「THE BURGERS」や、「抗生物質入り牛肉の品質」の調査結果でA判定を獲得した日本でもおなじみのバーガー店「シェイクシャック」など品質の良い本物の肉を扱ったお店で食べるのをgeefeeとしては推奨いたします。あ、あとハンバーガーと言えば付け合わせにフライドポテトを食べたくなってしまいますが、フライドポテトはタバコを吸うのと同じくらい健康に悪いので、極力控えるようにしたいところ。ハンバーガーをその分多く食べたほうが健康にはよっぽどましなのです。

【関連記事】「揚げ物がタバコと同じくらい健康に悪いと言われる理由

 

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