大豆といえば、健康に良いとされる食品の代表格。大豆そのものはもちろん、豆腐や豆乳、納豆など、大豆製品はどれもヘルシーな印象がありますよね。しかし、近年の欧米では「大豆が健康に悪影響を及ぼす危険性がある」と指摘する声が、続々と上がっていることをご存知でしょうか? コメント ! 大豆に対して伝統的な固執のない欧米においては大豆のマイナス面に対する認識が広まるのが早く、米国の健康志向のコミュニティでは今や「家畜と貧困層の食べ物」といったイメージが根付いています。映画俳優などが豆腐を健康食と考えて食べていた時代はもはや過去の話なのです。 本当のところ、大豆は身体に良いのか、悪いのか。伝統的な健康食品の大豆をもう一度見直して、伝統食の深い知恵について再認識。
大豆が危ない!見逃せない4つの重大健康リスク
大豆といえば高タンパク低カロリー。健康的な食品の代表格として長い間、君臨してきました。特にベジタリアンにとって大豆は貴重なタンパク源。健康に欠かせない「畑の肉」として不動の地位を築いています。
また、大豆は美肌やアンチエイジングに効果的といわれるイソフラボンを豊富に含み、健康だけでなく、美容にも効果的なスーパー食材として、世界中でもてはやされてきたのです。
しかし、近年になって「大豆は危険だ」という声が、世界中のあちらこちらから上がり始めています。健康の専門家たちが危険性を指摘しているのは、遺伝子組み換えの大豆のことだけでなく、フィチン酸やレクチン、エストロゲンといった大豆本来が持つ成分にも及んでいます。いったい大豆が人体にどんな害を及ぼす恐れがあるというのでしょうか。一緒に確認してみましょう。
大豆のリスク1 米では遺伝子組み換え作物が約9割
遺伝子組み換え作物(Genetically Modified Organisms=GMO)が出回り始めたのは、今から20年以上前の1990年代。GMO先進国のアメリカでは、現在、市場に流通している大豆のなんと87%が遺伝子組み替え作物だそうです(GMOコンパス調べ)。
「身体によい良性バクテリアを死滅させる」「肝臓などの消化器官にダメージを与える」など、遺伝子組み替えによるさまざまなリスクが指摘されていますが、最も懸念されているのは遺伝子組換え(GM)大豆が除草剤や農薬の耐性をもっていること。つまり、GM大豆を食べると、グリホサートなどの有害農薬が破壊されずにそのまま体内に取り込まれ、胎盤や腎臓、へその緒などに深刻なダメージを与える可能性があるというのです。
また、ロシア科学アカデミーと遺伝子安全協会が行ったハムスター実験によると、GM大豆を食べたグループは乳児死亡率が上がったり、生殖能力が損なわれたりという影響がみられたそうです。遺伝子組換え食品を安心して口にするために、さらなる調査が望まれます。
大豆のリスク2 栄養素キラーのフィチン酸
コレステロールを低下させたり、良質なタンパク質を提供したり、身体にうれしい働きが満載の大豆ですが、実は他の栄養素を邪魔するフィチン酸も多く含まれています。
フィチン酸は強力な抗酸化作用がある一方で、鉄や亜鉛、カルシウム、マグネシウムなどの吸収を妨げて体外に排出してしまうミネラルキラーの側面も[#]Hurrell RF E al. Soy protein, phytate, and iron absorption in humans. - PubMed - NCBI [Internet]. [cited 4 Apr 2018]. Available: https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/1503071 [#]Hurrell RF. Influence of Vegetable Protein Sources on Trace Element and Mineral Bioavailability. J Nutr. Oxford University Press; 2003;133: 2973S–2977S. 。鉄や亜鉛などの主要ミネラルが欠乏すると、貧血、免疫力の低下、脱毛症など、健康の質が軒並み低下してしまいます。植物性タンパク質が欲しいからと大豆製品を過剰摂取すれば、フィチン酸の鉄拳が下ることになりそうです。
大豆のリスク3 レクチンの負の作用
大豆に多く含まれるレクチンは糖類と結合する性質を持つタンパク質。免疫機能を高めて風邪を予防したり、炎症や肌荒れを改善したりと、良い点ばかりが注目されていましたが、やはりレクチンにも悪い面があります。
レクチンの主な特徴として挙げられる血液凝結の作用はややもすると血流の劣化につながります。また、レクチンは大腸菌のエサとなり、大腸菌を異常発生させる恐れも指摘されています[#]Banwell JG E al. Phytohemagglutinin derived from red kidney bean (Phaseolus vulgaris): a cause for intestinal malabsorption associated with bacterial overgrowth in ... - PubMed - NCBI [Internet]. [cited 4 Apr 2018]. Available: https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/6822324/ 。何事も良い側面があれば、悪い側面もあるのですね。
-関連記事- 「「健康的な食事」が病気の原因?レクチンの謎に迫る。」
大豆のリスク4 エストロゲン作用で男性が女性化?
大豆イソフラボンは植物性エストロゲンと呼ばれ、女性ホルモンのエストロゲンとよく似た働きをします。不妊や更年期障害の緩和に有効なことから、女性にとっては女子力を上げるありがたい栄養素でもあります。
しかし、男性にとってこの植物性エストロゲンの影響が大きくなると、男性の乳房が膨らんだり、生殖機能が低下したりといった危険な兆候が出ることも[#]Martinez J, Lewi JE. An unusual case of gynecomastia associated with soy product consumption. - PubMed - NCBI [Internet]. [cited 4 Apr 2018]. Available: https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/18558591 。 コメント ! 男性なのに乳房ができてしまうなんて本当にあるの?と思われるかもしれませんが、日本の中年男性にものすごく多い現象です。心当たりのある方は大豆製品の摂取量が多いかどうか自身で検証してみてください。 また、女性でも過剰摂取は危険です。女性ホルモンが過剰になると、乳がんや子宮頸がん、多嚢胞性卵巣症候群などのリスクが高まります。大豆イソフラボンは、ホルモンに作用する栄養素だという点を肝に銘じておきたいところです。
-関連記事- 「男性らしさの源「テストステロン」とは?実は女性の心の健康にも重要って本当?」
大豆の健康神話を実現する最強の発酵食品“納豆”
米国産の90%近くの大豆が遺伝子組み換え作物で、栄養素の成分にも問題があるならば、もう大豆は食べない方がいいのでしょうか?
フィチン酸やレクチンの悪影響を避けて大豆本来のパワーを安全に取り入れるには、GMOではないオーガニック大豆で、かつ発酵させた“納豆”がお勧め。ヨーグルトなどの発酵食品が身体に良いことは広く知られていますが、納豆も押しも押されもせぬ発酵食品。ほうれん草やケールなどに含まれる貴重なビタミンK2を豊富に含み、「強い骨格を作り上げる」「脳の健康に良い影響を与える」「自然治癒力を高める」など、発酵食品の中でも最強レベルのスーパーフードなのです。
とはいえ、納豆の独特の匂いやねっとりとした感触がどうにも苦手という人も多いはず。そういう人は、同じく大豆の発酵食品である醤油や味噌もお勧めです。できればオーガニックの大豆を使用したものがいいでしょう。ただし、納豆や味噌、醤油はヒスタミンを多く含むので[#]Histamine contents and histamine-forming bacteria in natto products in Taiwan. Food Control. Elsevier; 2007;18: 1026–1030. 、アレルギーの心配な人は注意してくださいね。
大豆は過剰摂取に注意!オーガニック&発酵食品がお勧め
さて、大豆は健康に良いのか、それとも悪いのか――。大豆そのものは優良な健康食品には違いありませんが、遺伝子組み換えで生じた除草剤耐性が人体に深刻なダメージを与える可能性があることは事実です。また、美容やダイエットなどのちまたの不確かな情報を鵜呑みにして過剰摂取してしまうと、フィチン酸やレクチン、植物性エストロゲンの負の作用に悩まされることにもなりかねません。
遺伝子組み換えのない発酵大豆の納豆は、geefeeも納得の超優良健康食。大豆製品を食べるときは、「発酵」「オーガニック」「無農薬」などをキーワードに選ぶとよいでしょう。
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