Skip to navigation メインコンテンツに移動
なかなか改善されない慢性蕁麻疹。ストレス以外で考えられる原因とは?
91  

なかなか改善されない慢性蕁麻疹。ストレス以外で考えられる原因とは?

geefee ポイント geefee ポイント

・IgG、IgE抗体検査で知る事ができる食物アレルギー以外でも注意したい仮性アレルゲン
・酸化した油や食品添加物、天然甘味料及び人工甘味料など一度排除して経過を観察すべき食品
・うつ病や自律神経の乱れなどの心理的原因の可能性

 

痒みやチクチクした痛みのような症状と共に皮膚の一部が盛り上がり赤みを帯びる膨疹(ぼうしん)が現れる蕁麻疹。こういった症状が一か月以上続くと慢性蕁麻疹と呼ばれますが[#]“Impact of chronic urticaria on quality of life and work in Japan: Results of a real‐world study” n.d. Accessed April 5, 2021. https://onlinelibrary.wiley.com/doi/full/10.1111/1346-8138.14502. 日本では10万人以上がこの慢性蕁麻疹であると言われています。しかし、慢性蕁麻疹の原因は不明なことが多く、病院で診察して貰ってもストレス性と言われ、症状を抑える薬を処方されるだけでなかなか根本的な解決策が見つからない人も多いはずです。直接大病に至るような疾患ではありませんが、とにかく毎日痒くてツライ、、、。今回は、そんな不快な思いをしている人のために、慢性蕁麻疹になりえる原因の可能性を探っていきます。

 

まずは食物アレルギーを疑う。

慢性蕁麻疹の原因の1つとして考えられるのが食物アレルギー。ほとんどの病院で最初の診察でアレルゲンとなっている食物を特定する食物アレルギーテストが行われます。結果次第では、毎日食べている小麦や牛乳などがアレルゲンとなっていることも。また、アレルギー体質は年齢や環境などで変化する可能性も。以前に問題なかった食物がアレルゲンになっている可能性もあるので、この食物アレルギーテストを行うことは基本中の基本。病院に行かなくても自宅で簡単にテストを受けることができます。

【関連記事】「検査もネットで自宅の時代?アレルギー検査キットに挑戦!

 

アレルギーテストの項目にない食物アレルギー

一般的なアレルギーテストは、遅延型アレルギー検査のIgG抗体検査と即時型アレルギー検査のIgE抗体検査の2種類があります。それぞれ検査可能な食物の種類は限られているため、これら以外の食物、例えばモツなどの内臓肉[#] [2] myDr. 2017. “Mammalian Meat Allergy - MyDr.com.au.” February 26, 2017. https://www.mydr.com.au/allergy/mammalian-meat-allergy/. やマリーゴールド[#]Corleone, Jill. 2011. “Can Tea Cause Hives or Itching of the Skin?” February 12, 2011. https://www.livestrong.com/article/379468-can-tea-cause-hives-or-itching.... などのハーブティーなどがアレルゲンになっている可能性は必ずしもゼロではありません。ただ、これらのアレルゲンが慢性蕁麻疹の原因になっているというよりは、アレルゲンを摂取する都度発生する急性蕁麻疹であることが多いため、アレルゲンの摂取を回避するだけで改善される可能性があります[#]Jaros, Joanna, Vivian Y. Shi, and Rajani Katta. 2020. “Diet and Chronic Urticaria: Dietary Modification as a Treatment Strategy.” Dermatology Practical & Conceptual 10 (1). https://doi.org/10.5826/dpc.1001a04.

【関連記事】「その体調不良は身近な食物に含む食物アレルギーかも?

 


 

 

酸化した劣化油

自然酸化した食用油により生じた酸化生成物が遅延型アレルギー反応を起こしたという研究結果があるように、酸化した調理油もアレルギー反応を引き起こす要因の1つになる可能性があります[#]“Oxidized Dietary Oils Enhance Immediate- And/or Delayed-Type Allergic Reactions in BALB/c Mice.” 2015. Allergology International: Official Journal of the Japanese Society of Allergology 64 (1): 66–72. 。古くなって自然酸化したものだけではなく調理の熱によって酸化した油ももちろん注意が必要です。この酸化油も上記のアレルギーテストの項目外。また、タンパク質や炭水化物などの食品と一緒に調理油が高温に熱せられると、過酸化脂質、アクリルアミド、AGEなどの有害物質を生成するので、食用油の管理を徹底し、使用する油の種類も酸化しにくいものを選び、揚げ物などの高温調理は避けるようにしましょう。

【関連記事】「揚げ物がタバコと同じくらい健康に悪いと言われる理由
 

 

仮性アレルゲンを疑う

少々やっかいなのが仮性アレルゲン。仮性アレルゲンは、非アレルギー反応にも関わらずヒスタミンやセロトニンなど食物に含まれる化学物質によって慢性蕁麻疹のようなアレルギー症状が引き起こされます。これは、食物アレルギーテストのIgG抗体検査やIgE抗体検査では見つけだすのは非常に困難。これらの化学物質はトマトやワイン、シナモンやクローブなどのスパイスをはじめ非常に多くの食品に含まれているので、蕁麻疹の症状が出る前に頻繁に食べている特定の食品などを個々に分析していく方法で見つけだす必要があります[#]Jaros, Joanna, Vivian Y. Shi, and Rajani Katta. 2020. “Diet and Chronic Urticaria: Dietary Modification as a Treatment Strategy.” Dermatology Practical & Conceptual 10 (1). https://doi.org/10.5826/dpc.1001a04. 。代表的な高ヒスタミン食は、チーズ・ヨーグルト・サワークリームなどの発酵乳製品、ワークラフトやキムチなどの発酵野菜、テンペ、醤油、納豆、味噌など、発酵大豆製品、ナス、ほうれん草、アボカドなど実は非常に多くあるので、以前の記事を参考にしてみてください。

【関連記事】「ヒスタミンを摂取しすぎるとアレルギーのような反応が?さまざまなヒスタミン対策を伝授!
【関連記事】「アレルギー症状の原因となるヒスタミンの影響を緩和する方法
 

 

食品添加物

健康意識の高い人は加工食品を食べずに自分で調理をする傾向があるので問題ないのですが、常に自炊するのはなかなか難しいのが現実でしょう。加工食品によく含まれている赤色2号(アマランス)や黄色4号(タートラジン)などの合成着色料や安息香酸などの保存料は比較的蕁麻疹を引き起こしやすいと言われています[#]Yadav, Sudha, Amitabh Upadhyay, and A. K. Bajaj. 2006. “Chronic Urticaria: An Overview.” Indian Journal of Dermatology 51 (3): 171. 。また、ある研究では、化学調味料MSG(グルタミン酸ナトリウム)に反応して蕁麻疹が悪化したケースも[#]Yadav, Sudha, Amitabh Upadhyay, and A. K. Bajaj. 2006. “Chronic Urticaria: An Overview.” Indian Journal of Dermatology 51 (3): 171. 。この研究では、15人中2人のみが食品添加物に反応して蕁麻疹を発症しました。人によってアレルギー反応を引き起こす食品群が異なるため、食品添加物を一切排除した食生活を一度実践してみると良いでしょう。

 

 

天然甘味料及び人工甘味料

一部の果物や発酵食品に自然に含まれる天然甘味料のエリスリトール[#]Shindou, Tatsuji, Yoshiyuki Sasaki, Hiromichi Miki, Toru Eguchi, Kiyokazu Hagiwara, and Tomio Ichikawa. 1988. “Determination of Erythritol in Fermented Foods by High Performance Liquid Chromatography.” Food Hygiene and Safety Science (Shokuhin Eiseigaku Zasshi) 29 (6): 419–22_1. により蕁麻疹が発生したケースも報告されています[#]Hino, H., S. Kasai, N. Hattori, and K. Kenjo. 2000. “A Case of Allergic Urticaria Caused by Erythritol.” The Journal of Dermatology 27 (3). https://doi.org/10.1111/j.1346-8138.2000.tb02143.x. 。ブドウ糖の発酵により作られた糖アルコールのエリスリトールは、「シリコンバレー式」甘味料マップでは、「身体に比較的安全と考えられる甘味料」とされているので健康を意識して頻繁に使用している人は要注意。また、甘味料の中でも多くの科学者たちによりその危険性が指摘されている人工甘味料のアスパルテームも蕁麻疹の原因になりうることが指摘されています[#]Roberts, H. J. 1996. “Aspartame as a Cause of Allergic Reactions, Including Anaphylaxis.” Archives of Internal Medicine 156 (9): 1027–1027. 。こういった甘味料は様々な加工食品などにも含まれているので、人工甘味料はもちろん、同じ糖アルコールのキシリトールやマルチトールなどが含まれた甘い飲み物や食べ物断ちをする良いチャンスだと思って一度完全に排除してみては?

 

歯の詰め物「アマルガム」

意外に思う人もいるかもしれませんが、歯の治療の際に使用される金属製の補綴(詰めもの・かぶせ)も蕁麻疹を起こす原因になる可能性があります[#]Yadav, Sudha, Amitabh Upadhyay, and A. K. Bajaj. 2006. “Chronic Urticaria: An Overview.” Indian Journal of Dermatology 51 (3): 171. 。特に、水銀と他金属との合金で安価なアマルガムは、最近こそ使用は避けられていますが、20年~30年前に使用全盛期だったため、中年期や高齢期の人の歯に現在進行形で使用されている可能性は大いにあります。溶けだした水銀が微量ながらも常に体内に取り込まれているので、蕁麻疹を含め倦怠感、頭痛、筋肉や関節の痛み、記憶力や集中力の欠如などその他の健康リスクの可能性も考えられます[#]Kall, John, Amanda Just, and Michael Aschner. 2016. “What Is the Risk? Dental Amalgam, Mercury Exposure, and Human Health Risks Throughout the Life Span.” Epigenetics, the Environment, and Children’s Health Across Lifespans, February, 159–206.  [#]Sjursen, Therese T., Per-Einar Binder, Gunvor B. Lygre, Vigdis Helland, Knut Dalen, and Lars Björkman. 2015. “Patients’ Experiences of Changes in Health Complaints Before, During, and after Removal of Dental Amalgam.” International Journal of Qualitative Studies on Health and Well-Being 10. https://doi.org/10.3402/qhw.v10.28157. 。アマルガムの詰め物を除去する際には、歯医者さんにご相談を!

 

ピロリ菌の感染

人などの胃の粘膜にすみつく急性の胃炎や下痢の原因となるピロリ菌。なんと世界人口のうちの約半数、日本だけでも6000万人感染していると言われています。症状があまり現れないことが多いのですが、胃潰瘍、十二指腸潰瘍、胃がんなどのリスクに関与しているため除菌治療をした方が良いと言われています。ある研究では、このピロリ菌が慢性蕁麻疹の原因に関与している可能性が示唆されています[#]Hagag, Magda M., Azza G. A. Farag, Nesreen G. Elhelbawy, and Eman G. D. El-Gendy. 2019. “A Study on Chronic Idiopathic Urticaria and Helicobacter Pylori Infection.” Menoufia Medical Journal 32 (1): 226. 。特に、胃が不調続きで慢性蕁麻疹の人は、医者に相談することをおススメします。

 

うつ病や自律神経の乱れなどの心理的原因

蕁麻疹の原因と診断されがちな心因性・ストレス性要因をもう少し具体的に見ていくと、うつ病や自律神経の乱れなどの心理的原因が慢性蕁麻疹と相互作用を起こしている可能性があります[#]Tat, Tugba Songul. 2019. “Higher Levels of Depression and Anxiety in Patients with Chronic Urticaria.” Medical Science Monitor: International Medical Journal of Experimental and Clinical Research 25: 115.  [#] Hashiro, M., and M. Okumura. 1994. “Anxiety, Depression, Psychosomatic Symptoms and Autonomic Nervous Function in Patients with Chronic Urticaria.” Journal of Dermatological Science 8 (2). https://doi.org/10.1016/0923-1811(94)90007-8. Tat, Tugba Songul. 2019. “Higher Levels of Depression and Anxiety in Patients with Chronic Urticaria.” Medical Science Monitor: International Medical Journal of Experimental and Clinical Research 25: 115. 。慢性蕁麻疹が心理的ダメージを与える場合と、心理的ダメージが慢性蕁麻疹を引き起こす場合との両者が考えられますが、慢性蕁麻疹の患者でうつ病や自律神経の乱れといった症状を持っている人も多いため、心理的ケアーも必要です。ビタミンDの持つ潜在的な免疫調整作用が蕁麻疹を改善する可能性も示唆されており[#]Jaros, Joanna, Vivian Y. Shi, and Rajani Katta. 2020. “Diet and Chronic Urticaria: Dietary Modification as a Treatment Strategy.” Dermatology Practical & Conceptual 10 (1). https://doi.org/10.5826/dpc.1001a04. 、うつ病にも効果が期待できるビタミンDを積極的にサプリや適度な日光浴から摂取するのも良いでしょう。

【関連記事】「うつ病と深い関係が!心と脳の健康に欠かせない栄養素ビタミンD」

 

 

自己免疫性蕁麻疹の可能性

意外と知られていないのが新しい概念であるこの自己免疫性蕁麻疹です。これはアレルギー反応を制御する上で主要な役割を果たすFcεRI(高親和性IgE受容体)やIgEに対するヒスタミン遊離性の自己抗体が蕁麻疹を引き起こすもの[#]https://doi.org/10.5826/dpc.1001a04. “[蕁麻疹診療ガイドライン].” n.d. Accessed April 5, 2021. https://www.dermatol.or.jp/uploads/uploads/files/guideline/1372913324_1.pdf. 。アレルゲンを自らの体内に持っているということになります。実は慢性蕁麻疹の多くがこの自己免疫性蕁麻疹であるとも言われています[#] Naseerudeen, N., Sandeep Khuraiya, Vinod Kumar Jain, Rajeev Khullar, and Dilip Kachhawa. 2019. “A Study of Various Investigative Modalities in Establishing the Cause of Chronic Urticaria.” Indian Journal of Allergy, Asthma and Immunology 33 (2): 98.  [#]“医学・医療の電子コンテンツ配信サービス.” n.d. Accessed April 5, 2021. https://webview.isho.jp/journal/detail/abs/10.11477/mf.1412903534?p=firs.... 。自己免疫性蕁麻疹を患っているかとうかを知るには、自己血清を皮内に注射し膨疹が生じるかどうかを観察するテストである「ASST(自己血清皮内テスト)」を受ける必要があります。この自己免疫性蕁麻疹と診断された女性が、治療により症状が改善された例もあるので[#]稔彦田中, 文朗北野, 麻美子桐谷, 良一亀好, 智靖羅., and 道広秀. 2005. “シクロスポリンが奏効した自己免疫性慢性蕁麻疹.” 日本皮膚科学会雑誌 115 (7): 1011–16. 、気になる人は専門の医者に相談してみましょう。

 

さまざまな環境要因

私たちの日常生活の中にも慢性蕁麻疹となりえる要因が多く潜んでいます。例えば、不衛生な部屋の黒カビやハウスダストをはじめ[#]Yadav, Sudha, Amitabh Upadhyay, and A. K. Bajaj. 2006. “Chronic Urticaria: An Overview.” Indian Journal of Dermatology 51 (3): 171. 、合成香料が含まれているトイレや車の芳香剤、家庭用の殺虫剤や蚊取りマット、非常に多くの化学薬品が含まれている香水などもその例[#]Caress, S. M., and A. C. Steinemann. 2009. “Prevalence of Fragrance Sensitivity in the American Population.” Journal of Environmental Health 71 (7). https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/19326669/.  [#]“Allergies: 2. What Kind of Skin Problems Are Known to Be Caused by Fragrance Ingredients?” n.d. Accessed April 5, 2021. https://copublications.greenfacts.org/en/perfume-allergies/l-2/2-skin-pr.... 。また、農薬の散布による吸引や[#]Manuskiatti, W., K. Abrams, D. J. Hogan, and H. I. Maibach. 2000. “Pesticide-Related Dermatoses in Agricultural Workers.” In Handbook of Occupational Dermatology, 781–802. Springer, Berlin, Heidelberg. PM2.5などの大気中の汚染物質も引き金になりえます[#]“PM 2.5: Spots and Skin Allergies.” n.d. Accessed April 5, 2021. https://www.samitivejhospitals.com/article/detail/pm-2-5-spots-and-skin-....

 


 

 

慢性蕁麻疹持ちの人は非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDS)に注意。

アスピリン、バファリンなどのNSAIDS(非ステロイド性抗炎症薬)が蕁麻疹を誘発する可能性が示唆されています[#]重篤副作用疾患別対応マニュアル].” n.d. Accessed April 5, 2021. https://www.mhlw.go.jp/shingi/2007/12/dl/s1213-4k.pdf. 。これは、NSAIDs(解熱鎮痛薬)不耐症、過敏症と呼ばれていますが、摂取したNSAIDsに誘発され、1時間~3時間で蕁麻疹と血管浮腫の症状が現れ半日から数日続くことも。アスピリン、バファリンなどの市販薬を内服している人は比較的多いのでは?

 

まとめ~なかなか改善されない慢性蕁麻疹。ストレス以外で考えられる原因とは?~
この慢性蕁麻疹があとどれ位続くのだろうか、、、といった不安や不快感を持って何もせず過ごしているのであれば、上記で述べた慢性蕁麻疹になりえる可能性の原因を1つ1つ除去しトライ&エラーを繰り返すことで原因を特定してみましょう。そもそも健康全般にとっても有意に働く内容がほとんどなので、体は喜ぶことでしょう。自分は大丈夫、、はもう卒業して可能な限り慢性蕁麻疹となっている原因を自ら探るようにしましょう。

コメント

コメントを追加