2019年の世界で最も健康的な国ランキングで、和食が評価された日本が第4位にランクインされるなど、和食は健康に良いイメージがあります。でも、実際に最新の科学の目で見ると、健康にとても良い料理や食材もたくさんありますが、健康の観点から疑問符の付くものも多々あることが分かります。そこで、今回は2回に分けて、健康にとって良い和食、良くない和食を解説していきます!
伝統的な発酵食品
チーズやキムチやヨーグルト等、世界中で発酵させた食品が食べられていますが、醤油や味噌や漬物や納豆のような伝統的な日本の発酵食品も健康食品として日本のみならず世界中で注目を浴びています。特に日本で多く食されている発酵食品が大豆を原料とする納豆、醤油、味噌、など。大豆と言えば注意をしたいのがレクチンなどの反栄養素。しかし、大豆を発酵させることにより、こうした反栄養素が減るということが分かっています。また、有益な細菌が含まれていることでで、消化の改善[#]Ritchie M L And. n.d. “A Meta-Analysis of Probiotic Efficacy for Gastrointestinal Diseases. - PubMed - NCBI.” Accessed October 7, 2019. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/22529959. 、免疫力の向上[#]Et al King S. n.d. “Effectiveness of Probiotics on the Duration of Illness in Healthy Children and Adults Who Develop Common Acute Respiratory Infectious Conditions: A... - PubMed - NCBI.” Accessed October 7, 2019. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/24780623. が期待できる優れた食品です。
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これは注意!
米国などから輸入された大豆は遺伝子組み換えのものが多いので、できれば避けたいところ。納豆に関していえば、ワラを使用した伝統的な製法のものとスーパーの安い納豆とは全く別物との指摘があります(詳しくは例えばこちら)。また、納豆に付いてくるタレや辛子の人工着色料や化学調味料の問題も。したがって、納豆に関していえば現代の日本において日ごろから健康効果の高いものを入手するのは相当困難と言えます。醤油に関してはヒスタミンの量が多いのも気になります。漬物についても、健康に良いのははっきり言って自家製のものだけ。市販のものの大部分は、原材料表を見て一目瞭然の通り、化学調味料、保存料、着色料が含まれており、健康に気を使っている人は口にすべきでないと言えます。
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鍋料理・煮物・しゃぶしゃぶ
geefeeでは、科学的見地から、脂質の酸化やさまざまな有害物質の発生をもたらす高温調理である揚げ物や炒め物などは極力避け、低温調理を推奨しているわけですが、とりわけ健康的な調理法に鍋物や煮物が挙げられます。調理油も使わず簡単でレシピも豊富です。
中でもgeefeeスタッフがおススメなのはしゃぶしゃぶ!これ一品でお肉と野菜を豊富に一気にいただけちゃいます。しゃぶしゃぶを美味しく食べるにはお湯の適温が80℃目安と言われています。これは健康面でも嬉しい調理温度。加工や味付けをされていない新鮮なお肉をサッと低温のお湯に入れるだけです。野菜はじっくり煮て反栄養素をバッチリ減少させます。その他、様々な鍋料理、煮物やおでんなども、同じ低温調理という理由で、素材と味付けを正しく選択すればとても健康的な日本食と言えるでしょう。
これは注意!
せっかく低温調理で湯がいた素材も、添加物がたくさん入ったタレを使ってしまっては元も子もありません。タレは、シンプルに岩塩などのオーガニックな塩か、自家製のポン酢を工夫して作りましょう。ゴマダレ等もひと手間かけて自分で作れば無添加の美味しいタレが作れます。煮物はとかく塩分が多めになってしまいがちなのと砂糖を入れるレシピもあるので、注意が必要です。
馬刺し
外国では馬肉を食べることを敬遠する人が多いようなイメージですが、実は、ヨーロッパ諸国やモンゴル周辺国、カナダなどでも食されているのだそうです。しかし、日本では、生で食べる文化が郷土料理として、熊本などのある一定の地域で古くから根付いています。日常的に食卓に出てくるような一般的な食材ではないかもしれませんが、実はこれがとっても健康的。
馬刺しは、グリコーゲンや鉄分が牛肉や豚肉などに比べて多いことで知られているだけでなく、カロリーが低いことで注目を浴びています。また、不飽和脂肪酸のオメガ7のパルミトレイン酸が多く含まれているのです。このパルミトレイン酸は、インスリン感受性の改善[#]“What Are n-7 Fatty Acids and Are There Health Benefits Associated with Them? .” n.d. Accessed October 7, 2019. https://jandonline.org/article/S2212-2672(14)01769-9/fulltext. や肝臓脂質の代謝を促進、抗炎症作用[#]Weimann, Eleine, Maysa Braga Barros Silva, Gilson Masahiro Murata, Jose Ricardo Bortolon, Alexandre Dermargos, Rui Curi, and Elaine Hatanaka. 2018. “Topical Anti-Inflammatory Activity of Palmitoleic Acid Improves Wound Healing.” PloS One 13 (10). https://doi.org/10.1371/journal.pone.0205338. などの健康効果が期待できます。また、ビタミンB12の量が、牛ヒレ生1.6μg/100gに対し、7.1μg/100gと大変多いのも特徴。
これは注意!
生で食べる馬刺し、他のお肉に比べてO157等の食中毒の原因となりえる最近が少ないので比較的安心ですが、寄生虫などの食中毒の例もありますので、出来るだけ新鮮なものを選びましょう。
焼き芋(サツマイモ)
1700年代前半には既に食べられていたと言われる日本の伝統的な料理である焼き芋。料理というよりは、スナックのような感覚に近い食べ物ですが、焼き芋の元となるサツマイモは炭水化物源の中でも、比較的ビタミンやミネラルなどの栄養分が多く含まれるヘルシーな野菜です。また、ジャガイモなどに比べると反栄養素であるレクチンの含有量が低くアレルギーリスクが低いと言われています。また、活性酸素の除去や心臓病の予防効果など、うれしい健康効果も期待できます。これからの季節、スナック菓子の代わりに美味しく食べたいですよね。
これは注意!
皮部もレクチンが少ないサツマイモですが、残留農薬や焼き過ぎによる焦げ等はできれば避けたいもの。皮は剥いて食べるのが良いでしょう。また、他の炭水化物源と比べるとまだ低いとは言え、血糖値を上昇させる目安であるGI値が高いので、食べ過ぎに注意しましょう。あと、最近よく見かけるサツマイモで作ったフライドポテトですが、せっかくのヘルシーなサツマイモも油で揚げてしまうとむしろ体に悪いものに変わってしまいますのでご注意を。
和食=健康という、昔からあるイメージ。しかし、最新の科学的見地で見た場合、色々な和食の料理や食材の中でも明確に健康的なものは意外と限られています。しかも、これらの優良な食材もスーパーで買える現代バージョンだとかえって体に悪いものだったり、調理法についても知識がないと台無しになってしまったり、注意が必要。単に、和食の健康的な雰囲気に惑わされず、しっかりとした知識をもとに素材と調理法を選ぶことで、美味しい伝統的な食事の恩恵を得ることができるのです。
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