砂糖は避けたいけど、人口甘味料もあまり健康に良くないイメージがありますよね。健康の観点からどのように甘味を使うのがベストなのか。これはなかなか複雑な問題。そうしたなか、健康への弊害が比較的少ない甘味料としてよく挙げられるのがステビアとキシリトールです。今回はこれらの甘味料の利点についてフォーカスしたいと思います。
ステビアもキシリトールも100%天然由来!
ステビアは、1500年以上にわたりパラグアイを中心に南米諸国で使われてきた100%植物由来の甘味料。砂糖の300倍甘く、カロリーゼロ。食べても血糖値が上がりません[#]Ashwell, Margaret. 2015. “Stevia, Nature’s Zero-Calorie Sustainable Sweetener.” Nutrition Today 50 (3):129–34. 。
キシリトールも果物や野菜の中から見つかった天然由来の甘味料。身体が通常の糖代謝をしていれば、体内でも生成されるものです[#]“Human Metabolome Database: Showing Metabocard for D-Xylitol (HMDB0002917).” n.d. Accessed October 29, 2017. http://www.hmdb.ca/metabolites/HMDB0002917. [#]Ur-Rehman S, Et al. 2013. “Xylitol: A Review on Bioproduction, Application, Health Benefits, and Related Safety Issues. - PubMed - NCBI.” 2013. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/24915309. 。
この2つには、どのような健康機能があるのでしょうか。
ステビアの健康機能
南米では、何世紀にもわたりお茶として飲まれたり、伝統的な薬用ハーブとして使われたりしてきました。また、日本では1970年代からステビアの研究をしており、安全性が認められています。
- 抗菌作用と抗酸化作用
ステビアは抗菌作用が強く、特定の細菌の成長を阻害すると考えられています[#]Lemus-Mondaca, Roberto, Antonio Vega-Gálvez, Liliana Zura-Bravo, and Kong Ah-Hen. 2012. “Stevia Rebaudiana Bertoni, Source of a High-Potency Natural Sweetener: A Comprehensive Review on the Biochemical, Nutritional and Functional Aspects.” Food Chemistry 132 (3):1121–32. 。虫歯の原因となるミュータンス菌への抗菌作用があることが報告されています[#]Gamboa, Fredy, and Margarita Chaves. 2012. “Antimicrobial Potential of Extracts from Stevia Rebaudiana Leaves against Bacteria of Importance in Dental Caries.” Acta Odontologica Latinoamericana: AOL 25 (2):171–75. 。また、ステビアのエキスは、高度な抗酸化作用を示し、ある研究ではビタミンEや緑茶よりも高い効力があると報告されています[#]Lemus-Mondaca, Roberto, Antonio Vega-Gálvez, Liliana Zura-Bravo, and Kong Ah-Hen. 2012. “Stevia Rebaudiana Bertoni, Source of a High-Potency Natural Sweetener: A Comprehensive Review on the Biochemical, Nutritional and Functional Aspects.” Food Chemistry 132 (3):1121–32. 。
- 血糖値を下げる
健康な人がステビアエキスの成分であるステビオサイドを摂取したところ、血糖値が減少したという研究結果があります[#]Anton, Stephen D., Corby K. Martin, Hongmei Han, Sandra Coulon, William T. Cefalu, Paula Geiselman, and Donald A. Williamson. 2010. “Effects of Stevia, Aspartame, and Sucrose on Food Intake, Satiety, and Postprandial Glucose and Insulin Levels.” Appetite 55 (1). NIH Public Access:37. 。食後に血糖値とインシュリンの急激な上昇を避けることは、様々な生活習慣病のリスクを減らすためにとても重要です。
- 血圧が安定する
またある研究では、ステビアエキスの1つであるステビオサイドを2年間にわたり食事に取り入れただけで、血圧が高めな人の血圧が低下し、安定したという結果が出ています[#]Hsieh MH, Et al. 2003. “Efficacy and Tolerability of Oral Stevioside in Patients with Mild Essential Hypertension: A Two-Year, Randomized, Placebo-Controlled Study. - PubMed - NCBI.” Accessed February 12, 2018. 。
キシリトールの健康機能
キシリトールは砂糖のように甘いですが、カロリーは33%低く、ガムやミント、飲料、スイーツ、歯磨き粉などに使われてきました。日本を含む全世界35カ国以上で食品、医薬品、健康食品に使用が認められています。
- 虫歯予防
砂糖は口腔内のバクテリアのエサとなり酸を作らせます。この酸が虫歯の原因になりますが、キシリトールはバクテリアのエサになりません。ある研究では日常的に使ったところ、虫歯菌が飢餓状態になり、73%も死滅したと報告されています[#] Bahador, A., S. Lesan, and N. Kashi. 2012. “Effect of Xylitol on Cariogenic and Beneficial Oral Streptococci: A Randomized, Double-Blind Crossover Trial.” Iranian Journal of Microbiology 4 (2):75–81. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/14693305. 。口腔内がアルカリ性になり、プラークや虫歯が減って歯のエナメル質の再石灰化も進みます[#]Mäkinen, K. K., P. L. Mäkinen, H. R. Pape Jr, P. Allen, C. A. Bennett, P. J. Isokangas, and K. P. Isotupa. 1995. “Stabilisation of Rampant Caries: Polyol Gums and Arrest of Dentine Caries in Two Long-Term Cohort Studies in Young Subjects.” International Dental Journal 45 (1 Suppl 1):93–107. [#]Miake, Yasuo, Yoji Saeki, Mitsuru Takahashi, and Takaaki Yanagisawa. 2003. “Remineralization Effects of Xylitol on Demineralized Enamel.” Journal of Electron Microscopy 52 (5):471–76. 。
- 血糖値の上昇率が低く低カロリー
キシリトールは消化が遅く50%しか吸収されませんので、血糖とインシュリン分泌にほとんど影響しません。血糖上昇率はかなり低いため、血糖値が安定し、糖耐性が良くなります。食欲が抑制されて摂取量が減り、体重が増えないとのことです。メタボリックシンドロームや肥満に悩んでる人にとっても理想的な低カロリーの甘味料として注目されています[#] Amo, Kikuko, Hidekazu Arai, Takashi Uebanso, Makiko Fukaya, Megumi Koganei, Hajime Sasaki, Hironori Yamamoto, Yutaka Taketani, and Eiji Takeda. 2011. “Effects of Xylitol on Metabolic Parameters and Visceral Fat Accumulation.” Journal of Clinical Biochemistry and Nutrition 49 (1). The Society for Free Radical Research Japan:1. 。
- 中耳炎予防
キシリトールは虫歯菌だけでなく、中耳炎や副鼻腔炎の主な原因となる肺炎球菌も抑制します。ある研究によると、保育所に通う子どもたちにガムもしくはシロップでキシリトールを与えると、中耳炎を30~40%減らせたそうです[#] Uhari, M., T. Kontiokari, and M. Niemelä. 1998. “A Novel Use of Xylitol Sugar in Preventing Acute Otitis Media.” Pediatrics 102 (4 Pt 1):879–84. 。
- 骨を強くする
現在は、歯だけでなく骨組織を再石灰化する能力も研究されています。動物実験では、キシリトールが骨密度を上げることがわかっており、骨粗鬆症の予防または治療に効果が見込まれています[#]Sato, Hirokazu, Yoshiaki Ide, Masanori Nasu, and Yukihiro Numabe. 2011. “The Effects of Oral Xylitol Administration on Bone Density in Rat Femur.” Odontology / the Society of the Nippon Dental University 99 (1):28–33. 。
ステビアとキシリトールの注意点
このように様々な健康機能のあるステビアとキシリトールですが、注意点がないわけではありません。以下、そのいくつかを列挙します。
- ブタクサアレルギーの人はステビアでもアレルギー症状が出る可能性あり
もしあなたが秋のブタクサシーズンにアレルギー症状が出る人なら、ステビアにもアレルギー症状が出るかもしれません。それぞれのたんぱく質が似通っているためです。
- キシリトールの食べ過ぎによる胃腸への影響
キシリトールは消化されにくいため、大量に摂取すると下痢の症状が出てしまう恐れがあります。 健康な成人の場合、1日の摂取量を体重1kgあたり0.4g(例えば体重60kgの人ならおよそ24g)までに量を抑えるようにしましょう[#]Oku, T., and S. Nakamura. n.d. “Threshold for Transitory Diarrhea Induced by Ingestion of Xylitol and Lactitol in Young Male and Female Adults. - PubMed - NCBI.” Accessed February 12, 2018. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/17484374. 。また、胃腸のガスが発生しやすい人にとっては、症状が悪化する恐れがありますので注意してください(キシリトールが小腸内の菌のエサになるため)。
ステビアとキシリトールは砂糖の代替品というだけではなく、複数の健康機能があります。とはいえ、いくらでも食べてよい、というものではありません。低糖質の生活をしている中で、たまに甘いものが食べたくなったら、これらの甘味料を上手に使って、潤いのある健康生活を送る手助けにしてみてはいかがでしょうか。
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