喉や風邪に薬よりも効果が期待できるハチミツ
ハチミツをお湯に入れて飲むと喉の痛みを抑えられる、というおばあちゃんの知恵のような話を聞いたことがある人もあるかもしれません。これは、インド・スリランカ伝統医学アーユルヴェーダに起因するとも言われていますが、あながち間違いではないという研究結果が2020年8月に発表されました。
ウイルスが鼻粘膜から呼吸器粘膜に感染し、鼻から喉に急性の炎症症状が起きることを上気道感染症と呼びますが、これがいわゆる風邪の症状です。通常、これを治療する際には抗生物質や風邪薬が使用されますが、特に抗生物質の過剰処方は薬剤耐性を悪化させ薬が効かなくなるという悪循環に[#]Abuelgasim, H., C. Albury, and J. Lee. 2020. “Effectiveness of Honey for Symptomatic Relief in Upper Respiratory Tract Infections: A Systematic Review and Meta-Analysis.” BMJ Evidence-Based Medicine, August. https://doi.org/10.1136/bmjebm-2020-111336. 。しかし、今回の研究では風邪の症状には市販の風邪薬や抗生物質よりもハチミツが優れているということが報告されています。これは、ハチミツの抗菌、抗ウイルス作用によるものと考えられていますが、あまり詳しくは解明されていません[#]Chang, X., J. Wang, S. Yang, S. Chen, and Y. Song. 2011. “Antioxidative, Antibrowning and Antibacterial Activities of Sixteen Floral Honeys.” Food & Function 2 (9). https://doi.org/10.1039/c1fo10072f. 。
また、ハチミツの蜜源植物は多くの種類がありますが、特にクローバーのハチミツは他のハチミツよりも抗菌能力が高いと考えられています。蕎麦のハチミツは、小児を対象にした研究では市販の咳止め薬よりも効果的であるという報告も[#]Paul, I. M., J. Beiler, A. McMonagle, M. L. Shaffer, L. Duda, and C. M. Berlin. 2007. “Effect of Honey, Dextromethorphan, and No Treatment on Nocturnal Cough and Sleep Quality for Coughing Children and Their Parents.” Archives of Pediatrics & Adolescent Medicine 161 (12). https://doi.org/10.1001/archpedi.161.12.1140. 。なお、これはハチミツ全般に言えることですが、1歳未満の乳児は乳児ボツリヌス症にかかるリスクがあるので与えないようにしましょう。
風邪のひき始めや重度ではない軽い風邪の症状の際には、すぐに風邪薬や抗生物質に頼るのではなく、一時的にハチミツを飲んで風邪の症状の様子を見てみるのも良いかもしれません。
コメント
コメントを追加